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彼女をNTRれたら、彼女のお姉さんと付き合うことになって、それ以上にラブラブになりました  作者: beru


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第八話 元カノとの縁が嫌でも切れそうにない

 翌日――

「であるからして、この公式は……」

 授業中も昨日の由乃さんとのデートの事が頭から離れず、先生の話も全く頭に入らない。

 ヤバイ、由乃さん可愛すぎて、早く彼女とまた会いたくて、何も手が付かない。

 恋は盲目というが、完全に由乃さんの虜になってしまったみたいだ……。

 奈々子と付き合っていた時ですら、ここまでではなかったので、恐るべき破壊力。


「それではこの問題を……大倉」

「はい」

 なんて由乃さんの事を考えていると、奈々子が先生に当てられて、数学の問題を解答していく。

 くそ、あいつも頭は良いんだよな……まあ、そんな事はどうでもいいんだが、こうして見るとやっぱり由乃さんと似た感じはある。

 姉妹ってだけはあるが、なんで性格はああも違うのか……少しは姉を見習えと言いたい。

 とはいえ、あいつがフッてくれたおかげで今は由乃さんと付き合えてんだ。

 むしろ、感謝すらしたいくらいだよ。お前より遥かに最高な彼女だしな。


「えー、進路希望調査書を配るので、来週までに提出するように」

 授業が終わり、帰りのホームルームで担任が進路希望調査書を配布し、進路をどうするか考える。

 由乃さんと同じ大学行きたいなあ……三つ違いだから、現役で受かれば、一年は一緒の大学に通えるんだよな。

 だが、俺の学力だとかなり厳しいし、受かっても一年だけだと考えると、うーんっとなってしまう。

 しかし、一年だけでも同じ大学に通えると言うなら、頑張ってみようかな。

 なにより、少しでも由乃さんと肩を並べるようになりたいんだよな。


「ねえ、奈々子。志望校とか決めている?」

「ん? 志望校かあ……うーん……」

 何てことを考えている最中に、教室で奈々子が女子の友達と志望校について話しているのが耳に入る。

 あいつ、進路はどうするんだろう……なんて思っていると、

「まだハッキリとは決めてないけど、お姉ちゃんと同じ大学に行きたいかなー」

「ぶっ!」

 と、奈々子が言っているのが聞こえてしまい、引っくり返りそうになる。


「お姉さんと同じ大学に?」

「うん。私の偏差値じゃちょっと厳しいかもだけど、お姉ちゃんと同じなら、色々とわからない事も教えてもらいそうで気が楽そうだし。それにキャンパス凄くキレイなんだよ。去年、大学の文化祭に行ってさ」

「へえ」

 おいおい、奈々子も由乃さんと同じ大学目指すってか?

 由乃さんと同じ大学には行きたいけど、奈々子と四年間一緒ってのはちょっと嫌かも……だって、俺を振った女だぞ。


 学部が違えば顔を合わす機会は少ないかもしれないけど、そうでなくても顔を合わせる機会が増えるのは確かなので、ちょっと考えてしまう。

「はあ……帰るかな」

 奈々子の話をこれ以上、盗み聞きをしてもしょうがないので、今日の所は家に帰ることにする。

 進路については、まあもう少し考えておこう。

 俺を振った元カノなんかと、これ以上、関わりたくはないと思いながらも、由乃さんとも同じ大学に行きたいとジレンマで、頭が拗れそうになってしまう。


「あ、由乃さんからだ……」

 家に着いた所で、由乃さんからラインでメッセージが着たので、見てみると、

『ヤッホー。陸翔君、今、ちょっと良い?』

 おお、ちょうど由乃さんと話がしたいなと思っていたので、ちょうどいい。


「はい」

『陸翔君、こんにちは』

「こんにちは。どうしたんですか?」

 通話に切り替えると、由乃さんの声の背後が、結構騒々しいので、もしかして大学に居るのかな?

『今、ちょっと大学にいるんだけどね』

「あ、やっぱりそうなんですか。えっと、何か?」

『くす、別に用事はないんだけどね。ちょっと声が聞きたくなっちゃって」

 おお……俺の声が聞きたいからって、電話してきたのか。


 純粋に嬉しいぞ。

「あはは、そうですか。俺も由乃さんの声聞きたいなって思っていたんですけど、いつ空いているのかよくわからなくて」

『そうだよね。大学の講義は大体、四時には終わるよ。あと、バイトが週に三回か四回は入っているから……遅いときは、夜の十時過ぎまでバイトが入っていることもあるから、十一時になれば空いているよ』

 夜の十一時まで、フリーの時間がないのか……それは、ちょっと寂しいな。


 由乃さんも色々と忙しいのはわかるけど、学校が違うので、会える機会が平日はほぼないのがきつい。

「確か塾でバイトしているんですよね?」

『うん。私は小学生の担当だよ』

 小学生の担当という事は、高校生の俺は対象外か……くそ、由乃さんと同じ塾に行くってのはどっちにしろ無理だな。


「由乃さんに勉強教えてもらいたいなあ……今度、一緒にやりません?」

『ふふ、もちろん良いよ。陸翔君、成績はどのくらい?』

「あんまり良い方ではないですね。由乃さんと同じ大学が良いなって思っているんですけど」

『私と? くす、嬉しいな。でも、通えるのは一年だけだし、四年になると授業も殆どなくなって、就活中心になっちゃうから……』

「ああ、やっぱりそうなんですか」

 うーん、そうなると、同じキャンパスで会う機会はあまりないのかも。


 でも、由乃さんと肩を並べたいので、やっぱり同じ……いや、奈々子も来るとなると話は別だ。

『あ、でも……奈々子も私と同じ大学が良いって言っていたけど……』

「そうなんですか」

『うん。去年、学園祭にも来ていたよ。キャンパスが綺麗で気に入ったみたいで』

 何と由乃さんにも同じ大学に行きたいと言っていたのか。

 くそ、そうなると悩んでしまうな……。


『あの、奈々子とは同じクラスなんだよね?』

「ええ」

『えっと、喧嘩とかしてない?』

「してませんよ。あまり、話をしないようにはしていますけどね。やっぱり気まずいですし」

 正直、関わるのが嫌なんだけど、同じクラスだと嫌でもあいつの顔を毎日見る事になるからな。


『そ、そう。それならよかった……やっぱり、気まずいよね。あの子は学校で元気にやっている?』

「まあ、やっているんじゃないですか」

『なら、いいけど……奈々子も、あなたの事、嫌いになった訳じゃないと思うの。実際、陸翔君の事、家で悪く言った事は一度もないし……』

 ほう。なら、何で他の男に乗り換えたのかね……。


『こんな事、陸翔君の頼むのどうかと思うけど、奈々子に何かあったら、すぐ私に言ってね。正直、変なトラブルに巻き込まれないか心配で……』

「わかりました。大丈夫ですよ。もうあいつとの事は吹っ切れていますし」

『うん、ありがとう。それじゃ、もう切るね』

「はい。それじゃまた」

 と俺に頼み、由乃さんは電話を切る。

 由乃さんに奈々子のことを頼まれてしまったが、複雑な気分。

 どんだけ由乃さんに心配かけさせてんだよと、呆れてしまったのであったが、まあ由乃さんの頼みなら仕方ないか。




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