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彼女をNTRれたら、彼女のお姉さんと付き合うことになって、それ以上にラブラブになりました  作者: beru


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第五十八話 元カノとの和解に一歩近づく?

「ほら、早く並ぶ」

「ちょっ……押さないでくださいよ」

 俺も奈々子も露骨に嫌がっていたにも関わらず、由乃さんは俺たちの背中を押して、強引にウォータースライダーの列に並ばせる。

 もう、何を考えているんだよ……由乃さんもそんなに俺と奈々子によりを戻して欲しいのか?

 嫌だよ、冗談じゃない。

 奈々子の本当の性格を知った今、付き合っていた頃みたいな目では二度と見れんわ。


「ったく、何でこんな事に……」

「文句があるなら帰ればいいじゃん。俺は一人で滑るし」

「うるさい! お姉ちゃんが言うから、仕方なくよ! あんたもそうでしょ!」

「そうだけどさ……」

 俺も奈々子も由乃さんに嫌われたくない一心で言う通りにしているだけっぽいが、こんなんじゃ仲直りなんて無理だって。

 由乃さんもわからないのかなあ……奈々子が俺を嫌いまくってることくらい、一緒に住んでりゃわかるだろうになあ。


「えっと、体をくっつけないといけないんだっけ?」

「変なところ触ったら、殺すからね」

「触らねえよ……じゃあ、行くぞ」

 俺達の番になってしまい、奈々子を前に座らせ、奈々子の肩に軽く触れながら、滑り出す。

 よく見れば奈々子もスタイルは良いんだよな……健康的な体つきをしているって言うか。

 はあ……本当なら、彼氏彼女の関係でプールに行っていても不思議じゃなかったのに、どうしてこんなギスギスした雰囲気になっちまったんだか。


「お疲れさまー。ふふ、もうちょっと密着していればよかったんだけど、まあ奈々子にセクハラされても嫌だし、このくらいで許しておくわ」

「許すって……」

 下のプールに着水し、プールサイドに上がると、由乃さんもニコニコ顔で俺たちを出迎えてそう言ってきたが、この人は奈々子と浮気しても良いって言っているのか?

 この際、ハッキリさせておこう。

「由乃さん、ちょっといいですか?」

「ん?」

「あのー、俺と奈々子を仲直りさせたいって言いますけど、どうしてそこまでさせるんですか?」

「どうしてって言われてもねえ……私の妹と仲良くしてほしいって、そんなに不思議?」

「いえ……」

 由乃さんに聞くと、彼女はキョトンとした顔をしてそう答えるが、不思議と言われてもこっちが不思議なんだって。


「俺と奈々子により戻せって言いたいんじゃないんですよね?」

「ん? よりを戻したいの?」

「いえ、そういうことじゃ……」

 回りくどい言い方は嫌いなので、ストレートに由乃さんに聞くと、由乃さんも一瞬、表情を強張らせる。

「よりを戻すのは駄目よ。陸翔はもう私の物だからね。奈々子の物にはさせないよ」

「あ、そうですか」

 今の話を聞いて、少しだけホッとする。

 そうだよな……今さら、奈々子とよりを戻させようなんて考えがあるわけないか。


「まあ、どうしても奈々子と仲良くしたいなら、こっそりやることね。たまに二人で遊びに行くことくらいは良いけどね」

 こっそりって、それ本当にいいのか?

 そんな気は全くないけど、由乃さんも何を考えているのかわからないなあ。

「そろそろお昼ご飯にしましょうか。あら、奈々子はどこかしら?」

「え? いないですね……」

 いつの間にか奈々子を見失ってしまい、あたりを探す。

 どこに行きやがったんだよ、あいつは……あ。


(あれは……奈々子?)

 周りを見渡すと、波のプールの近くで二人組の男に声をかけられていた。

 ナンパか……こういうプールでもあるんだな。

「あらー、男の子に声をかけられているじゃない」

「ですね」

 見た目は可愛いから、ああやって声はかけられるんだなあ。

 由乃さんだって美人だから、俺がしっかり傍にいないと不安なんだが、さっきウォータースライダーに奈々子と並んでいた時は大丈夫だったんだろうか?


「ちょっと、陸翔」

「何ですか?」

「どうしてボーっとしているの? 奈々子、困っているじゃない。早く行ってあげて」

「え? 困っていますかね……」

 遠目だったので表情はよくわからなかったが、困っているようには……普通に楽しそうにしているじゃん。

「もう、奈々子が変な男に絡まれてもいいの? 彼女の前なんだから、少しはカッコイイところを見せなさい」

「は、はい」

 俺としては放置しておきたかったんだが、由乃さんに連れて来いと言われたら、放置は出来ないか。


「ねえ、いいじゃん。一緒に昼でも食べようよ。奢るからさ」

「でもー、今日は……」

「おい、奈々子」

「あ、陸翔……」

 見た目、かなりチャラそうな男どもにナンパされてぶりっ子ぶっていた奈々子に声をかけると、

「昼、食いに行くぞ」

「う……うん」

「ちっ、彼氏持ちかよ」

 何しに来やがったと言わんばかりの顔で奈々子は俺をにらみつけていたが、男どもの方が俺を彼氏と勘違いしてくれて、さっさと退散してしまった。


 おいおい、もうちょっと粘ってくれよ。

 俺としてはむしろ奈々子を連れて行ってほしかったんだけどさー……まあ、由乃さんが心配するから、仕方なく連れ戻しに来たんだけどな。

「由乃さんが一緒に昼を食おうって」

「ふん。助けに来るの遅いじゃない」

「あ、やっぱり困っていたんだ」

 礼を言われるのを期待してた訳じゃないが、もっと早く助けに来いと言ったのはちょっと意外だった。


「ナンパなんか慣れっこだし怖くもないけどさ。今日はお姉ちゃんもいるし。ああいうチャラ男どもとお姉ちゃんを絡ませたくはなかったの」

「へえ、そういうことね」

 奈々子としては付いていきたかったんだけど、由乃さんを巻き込みたくなかったのか。

 ま、奈々子にしてはまっとうな理由じゃないか。

「奈々子ー、大丈夫だった?」

「お姉ちゃん。うん、平気よ」

「そう。もう、心配しちゃったわ。あんまり変な男に付いていっちゃ駄目よ」

「わかっているよ。ゴメン、心配かけて」

 なんて話していると、由乃さんが駆け寄ってきて、奈々子に抱きついて頭を撫でる。

 やっぱり妹だけあって心配なんだなあ。


「奈々子、陸翔にお礼を言った?」

「え?」

「助けてもらったんでしょう? だったら、ちゃんと彼にお礼を言わないと。私の彼氏なんだし、しないとお姉ちゃんも怒っちゃうぞ」

「う、うん……ありがとう……」

「どういたしまして」

 すげえ嫌そうな顔をしながらも由乃さんに促されて、奈々子は俺に礼を言う。

 別に礼なんか言ってほしくもなかったんだけどな……。


「うん、よろしい。陸翔、私からもありがとう。妹を助けてくれて」

「いえ……由乃さんの頼みですので?」

「私の頼み? まさか、私が言わなかったら助けなかったって事?」

「いや、そういうわけじゃないです!」

「くす、そうよね。えへへ、陸翔も少しは頼りになるなあ。ね、後でお礼をするから、してほしいプレイがあったら言ってね♪ 陸翔が好きな事なんでもしてあげるから」

 と、小声でさりげなく由乃さんが大胆なことを言ってきたが、プレイってさあ……。

 すっかりエロエロな彼女になってしまったなと苦笑してしまったが、既成事実を作られてはかなわないので慎重にしないとな。


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