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彼女をNTRれたら、彼女のお姉さんと付き合うことになって、それ以上にラブラブになりました  作者: beru


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第十八話 元カノのイビリが続く

「ふふ、この前は楽しかったなー」

 休み時間、由乃さんの家にお邪魔した時の事を思い出すと、どうしても顔が緩んでしまう。

 いやー、由乃さんと一緒にいると、本当に癒やされるなあ。

 理由は何であれ、あの人と付き合えてよかった。だが、問題は……。


「奈々子なんだよなあ……」

 由乃さんとの仲を裂こうとしているみたいだが、どんな嫌がらせをしてくるのか。

 まさか、家で俺の悪口を由乃さんに言っていたりしないだろうな?

 そうなると阻止しようがないので、どうにもならないが、自分だって好き放題、男漁りしているくせによく俺の文句言えるよ。

 逆恨みも甚だしいが、由乃さんと付き合う以上は奈々子の事も無視出来ないからなあ。


「何、ニヤニヤしてんの、気持ち悪い」

「え? な、奈々子……いつの間に……」

 なんて、休み時間に人気のない廊下で考えていると、また奈々子が俺の前にやってきた。

「さっきから、居たよ。てかさ、マジで家来るの止めてくれない? 元カレってだけでも何されるかわからないのに、人の家をラブホ代わりにされたら、堪らないんだけど」

「は? してねーよ! 俺は由乃さんとただ映画見ていただけだ」

「どうだか。ウチのお姉ちゃん、あれからやたらソワソワしていたし、なにかやったの間違いないでしょ」

 う……まあ、押し倒したりはしたけど、一線は超えてないぞ。

 やれば由乃さんに迷惑かかるのは俺でもわかるんだし、そこまでデリカシーがないことはやらない。


「陸翔って、本当性格悪いよね。わざわざ私の家にまで押しかけて、お姉ちゃんと仲良いところ見せつけるなんて。どういう神経しているのよ」

「はあ? 俺が誰と付き合おうが、お前にだけは文句言われたくないね。大体、別れろって言ったのは……」

「それが嫌がらせって言ってんのよ。私、そんなに悪いことした? 元カノの姉に手を出すなんて、悪趣味にも程があるでしょ。本当、最悪。あんたのせいで、私、家でもめっちゃ気まずい気分なんだからね。どんだけデリカシーないのよ」

「…………」

 えーっと……こいつは何を言っているんだ?

 そもそも、俺を振ったのは何処の誰だっけ? 他に好きな男がいるとかなんとか言って、さっさと乗り換えたお前にすべての原因があるんじゃないの?


(まいったな……ここまで、逆切れされるとは思いもしなかった)

 そりゃ、姉が元カレと付き合っていますなんてのは、複雑な気分なんだろうけど、そうなったのは全部お前のせいだろ。

 何で、俺のせいになるわけ?

「あのさ。奈々子、自分の立場わかっているの? 俺はお前とは別れる気は一切なかったのに、お前の方が一方的に振ったんだよな?」

「一回、フラれたくらいで、私のお姉ちゃんに手を出すのが非常識って言っているのがわからないの? そんなの聞いた事ないし、当てつけとしか思えないじゃない。そんな理由でお姉ちゃんと付き合っているなら、ますます許せないわ」

「そんな訳ないだろ! 俺は、本当に由乃さんが……」

「きゃっ! 何するのよっ!」

 ちょっとカっとなってしまい、奈々子の腕を掴むが、何をするのってのは俺のセリフだ。


 こいつ、マジで俺と由乃さんを別れさせたいみたいだな……そんな事、させて堪るかよ。

「ちっ……お前の思い通りにさせないからな」

「ふん。ムカついた? ゴメンね、性格悪い義理の妹で。でも、陸翔も考える事ね。私とお姉ちゃんの両方と付き合っていましたなんて、世間に知られたら、どんな目で見られるか。あー、怖い。陸翔だけ変な目で見られるのはどうでもいいけど、お姉ちゃんまで妹の彼氏横取りした、泥棒猫呼ばわりされちゃうかもねー」


「お前……何が言いたいんだよ? そんなに別れて欲しいのか?」

「さあね。じゃあ、もうこれで。どうぞ、お姉ちゃんと仲良く。陸翔なんか、どう見てもお姉ちゃんとは釣り合わないけど、いつまでも続くと良いわねー」

「おい、待て! くそっ!」

 と吐き捨てて、奈々子は俺の元から小走りで立ち去っていくが、人気の多い廊下に行ってしまったので、俺もそれ以上、追う事が出来なかった。

 くそ、あいつ本当に俺と由乃さんを……性格悪いなんてもんじゃないだろ。

「ふん、負け犬の遠吠えだろ。精々、言ってろ」

 家で気まずいとか、お前の自業自得だろうとしか言えんわ。

 でも、由乃さんは奈々子想いの優しいお姉さんだから、今の奈々子を見たら、どう思うのか……一応、相談した方が良いかもしれないけど、


「ふん、元カノのイビリ、思い知ったか。あーあ、つまんないの。お姉ちゃん、さっさと愛想尽かさないな、あんなクズ男」

 全く、男ってのはどいつもこいつもロクでもない。

 こっちが少しいい顔をしてやれば調子に乗って。

 特に陸翔なんか最悪すぎる。私以外、好きにならないとか言っておいて、天然で純粋なお姉ちゃんに手を出すなんて、信じられないっ!

 ムカつく、ムカつく、ムカつく……私だけじゃなく、お姉ちゃんに八つ当たりするなんて、マジで許せない。


 付き合っている間、あんだけ良い思いをさせてやったのに、あの仕打ちは何なの?

 今までモテなかったくせに、学園のアイドルの私と何か月だけでも付き合えたんだから、感謝されこそすれ恨まれる筋合いなんてないのに、ヨリを戻せと泣きつくどころか、数日もしない内にウチの姉にまで……汚らわしいったら、ありゃしない。

「まあ、定期的にイビっておけば、お姉ちゃんとも気まずくなるよね」

 その内、お姉ちゃんと付き合うのも嫌になるだろうけど、もう一押し必要かな。


「ああ、ムカつくな、くそ」

 家に帰ったあともさっきの奈々子の理不尽なイビリを思い出すたびに、腹が立って仕方ない。

 これから学校に行くたびに、あんなことを言われないといけない訳?

 流石にちょっと耐えられないんだけど……由乃さんにちょっと相談した方がいいかな?


「出るかな……あ、出た。あの、由乃さん」

『どうしたの、陸翔君?』

「え、えっと……すみません、ちょっと相談がありまして……」

『相談? 何?』

「えっと……奈々子の事なんですけど……」

『奈々子? どうしたの? もしかして、喧嘩でもした?』

 う……素直に言うべきか……いや、いずれ知られそうだし、

「あの、俺と由乃さんが付き合っていること、反対されてます?」

『ん? 別に私には何も言ってないけど……ああ、でも年下に手を出すとか悪趣味~~みたいな事は言われているかな』


 まあ、それはそうかもしれないけど、由乃さんには優しいんだなあいつは。

 ということは俺がひたすらイビられているだけ……なら、まだ良いか。

「すみません、あんま家でイチャつくなって言われて……」

『ぷ……そんな事言ったの? 奈々子も彼氏を何度も家に連れ込んでいるのに』

「あー、俺以外の男も?」

『うん。もう、しょうがない子だね。それで喧嘩になったの? だったら、私の方からも言っておくから。ね?』

「は、はい」

 それ以上は何も言えず、取り敢えず、由乃さんに一言言われれば、収まるだろうと淡い期待を抱いておく。

 


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