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彼女をNTRれたら、彼女のお姉さんと付き合うことになって、それ以上にラブラブになりました  作者: beru


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第十七話 今カノと大人な関係になりたい

「うーん、一気見はしばらくぶりだったかな。どうだった?」

「アハハ、あんまり恋愛映画とか観ないんですけど、見入っちゃいましたね」

 二時間弱の映画が終わり、紅茶を飲みながら、しばらく余韻に浸るが、まあ映画自体は割と面白かった。

 難病ヒロインとの恋愛モノで二度目だから、ストーリーはわかっていたんだけど、それでも

「高校生の男子が好きな映画ってよく分からなくて……もしかしたら、つまんないかなって、不安になったんだけど……」

「いえ、楽しめましたよ」

「そう。今度は陸翔君の好きな映画、一緒に観に行きたいな。どんな映画が好き?」

「い、いえ……それこそ、由乃さんが楽しめるかどうか……」

 俺というか、男子高校生が好きな映画なんて、由乃さんにはガキっぽ過ぎて合わない可能性が高いし、何か恥ずかしい。


 うーん、こういう所でちょっと差というか遠慮が出ちゃうんだよな。

 同級生だったら、もっと気兼ねなく、アニメやらアクション映画やらも一緒に観に行けそうなんだけど……って、奈々子の時もそうでもなかったか。


「んもう、あんまり遠慮しないで良いのに。今でも、奈々子と一緒に映画観に行ったりもするよ」

「いえ、遠慮というか……何か、子供っぽく見られそうで……」

「子供……んもう、私だってまだ二十歳になったばかりだよ。世間的には全然、子供なんだから」

「そ、そんなことは……」

 世間的にはそうでも俺から見たら、全然大人なので、どうしても俺の方が遠慮してしまう。


 ヤバいな……却って、由乃さんにも気を遣わせてしまったか。

「そんなものだよ。だから、もっと気兼ねなく接してくれて良いんだからね。同級生と話すのと同じ様に」

 と、由乃さんは俺の手を握りながら、寄り添い、そう優しく言ってくれたが、そんな所が俺よりずっと大人なんだよなあ。

 やっぱり、三歳差って大きいよ。

「私と陸翔君、三つしか違わないんだしさ。ウチの両親もそうだよ。お父さんとお母さん、ちょうど三歳差だし。ウチのお父さんの方が上だけどね」

「あー、そういうものですか」

 両親の話をするなら、ウチの両親も四歳離れているので、そう考えると、三つくらいの差は大した年齢差じゃないのかもしれないけど……。


「あ、でも陸翔君はまだ未成年だしね。そこは、ちょっと私の方が考えないといけないけど……」

「ですよね。あー、俺も早く成人したいです」

「ふふ、大丈夫だよ。そんなに焦らなくても」

 いずれ成人になるのは確実なんだけど、やっぱり少しでも早く追い付きたいんだよな。


「今すぐ大人になりたいんですよね。そうすれば、由乃さんとその……こんな事も」

「きゃっ!」

 と言って、由乃さんの肩に手を置き、その場で彼女を押し倒す。

 ちょっと大胆かもしれない……けど、彼女の部屋に招かれて二人きりって事は、こういう事態も想定はしているはずだよな?


「り、陸翔君……えっと、その……」

「す、すみませんっ! で、でも俺は由乃さんとその……」

 大人な関係になりたい。

 もちろん、迷惑なのはわかっているんだけど、やっぱり男としては……。

「ええっ! あ、あの……いきなり、言われても……ま、待って。そう。シャワー浴びてかないと、その……」

「いえっ! 今すぐしたい訳じゃないんです。すみません、驚かせて」

「そ、そう……」

 突然、俺に迫られて、由乃さんも動揺してしまったみたいだが、流石にここで本当には出来ないので、すぐに彼女から離れる。


 くそ、もしかしてそのまま本当にやっても良かったんだろうか……でも、ここはラブホではないのだ。

 万が一、由乃さんのご家族が帰ってきたら、その時は俺達の関係も終わりになるだろう。

「ごめんね……嫌な訳じゃないんだけど、その……陸翔君は、高校生だし、何かあったら、その……」

「わ、わかっています。無理言ってすみません。でも、俺はその……やっぱり、由乃さんとですね。ああ、もうナシにしましょう、この話」

 何かあったら、由乃さんに迷惑がかかるのはガキの俺でもわかるので、今日はもう我慢する事にする。

 うう、由乃さんはめっちゃ魅力的なんだけど、仕方ないか。


「ありがとう。陸翔君、思っていた以上にしっかりしているんだね」

「い、いえ……」

「そうだよ。だから、お礼に……ちゅっ……」

「あ……」

 由乃さんは俺の頭を優しくなでた後、頬に軽くキスをしてくれた。


「こ、これで……ああ、もしかして、やっぱりまだ足りない?」

「いえ、ありがとうございます」

 ああ、由乃さんの柔らかい唇が頬に触れるのやっぱり良いなあ。

 でもどうせなら……。

「あの、親御さん、いつ頃帰ってきますか?」

「え? ああ、そうだね……六時ごろって言っていたから、まだ大丈夫だよ」

 時計を見ると、まだ四時半だから、恐らく大丈夫だろう。


「その……ちゃんとキスしたいです」

「え? う、うん……じゃあ、いいよ」

「は、はい。ん……」

 前にもやったけど、もう一回、ちゃんとキスをしたくて、由乃さんと唇を重ねる。

 ああ、奈々子ともやった事ない事を、由乃さんとは短期間でやってしまっている。

 それだけ由乃さんが女性として……好きなんだろうな。


「ん……あ、そうだ……お茶のおかわりする?」

「あ、いいですね。飲みましょう」

「うん。あ、お湯入れてくるね」

 二人で顔を離した後、由乃さんは顔を真っ赤にしながら、ポットを持ちながら部屋を出ていく。

 ああ、やっぱり由乃さんは可愛いなあ……二人でこうやってイチャついているだけで、めっちゃ心が和むと言うか幸せな気分になる。


「あの、そろそろ帰りますね」

「うん。えっと……また来てくれる?」

 午後の五時過ぎになり、そろそろご家族が帰ってくる時間になってしまうので、家に帰ることにする。

「もちろんです。ていうか、今度、俺の家に来てくれませんか?」

「陸翔君の? うん、いいよ」

「もう、いつでも来てください。何なら、両親に紹介しましょうか」

「そ、それは流石にハードル高いよ……」

 まあ、そうだけどさ。由乃さんみたいな綺麗なお姉さんなら反対はしないだろう。


「わかりました。じゃあ、誰も居ない日があったら、連絡しますね」

「うん。またね」

「はい、おじゃましました」

 二人で俺の家に来る約束をし、俺も名残惜しい気持ちが残ったまま家を後にする。

 ああ、二人の仲、一気に縮んだなあ……来てよかったよ。


「あ……」

 由乃さんの家を出てすぐに、何と奈々子とバッタリ会ってしまった。

「な、何でここに?」

「私の家なんだけど、ここ」

「あ、ああ……そうだったな」

 やべえ、奈々子にバレてしまった……何か、前に奈々子の家に遊びに行った時と同じシチュだなこれ。


「お姉ちゃんと一緒だったんだ」

「うん」

「そう。私の部屋、勝手に入ってないでしょうね」

「入ってねえよ」

「もし、入っていたら、マジ怒るよ。元カノの家だからって、変な勘違いしないでよ」

「思ってねえよ!」

 と、思いっきり嫌味を言ってきた奈々子と帰り際に会ったことで、さっきまでの由乃さんとの甘い一時も完全に水を差されて台無しにされた気分になってしまった。


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