第3章 アギト
ギター資金にアンプを売ったので非常に困ってるorz
一大事な事態。ファルヴァンは家のドアを思い切り開け、大声で彼女を呼んだ。
「リーナ、手伝って! お前同じ…」
家の中全体に届く音量なのに、リーナの返事どころか気配すらしなかった。ふとファルヴァンの脳裏に嫌な予感がした。その予感が外れてると願いつつベッドルームのドアを開いた。真っ暗闇の中、高い位置にある窓から指す月明かりがファルヴァンのベッドにあるモノを照らしてくれた。
「ナニ人のベッドで夢見心地になってんだぁッ!」
覆い被さっていた毛布を奪い取り間抜けな顔でよだれを垂らしているリーナが現れた。急に冷たい空気に触れてぱちっと目が覚める。のんきに大きく伸びをして、
「あ、ヴァンさん。帰ってきてたんですね〜…………………ん?」
きょろきょろと見渡し、次に窓から空を伺った。綺麗な星空と月が輝いていた。
「夜…。私、寝てた…?」
リーナの顔から血の気が引かれていく。ゆっくりと振り返れば眉をぴくぴく痙攣させて苛立つファルヴァンがいた。おびえと焦りから汗を垂らし、さらに声まで震え始めた。
「あの…ですね? これはその………つい心地よい日が差してたモノでして………食器はヴァンさんが帰ってきた頃にやろうと思っ…」
「何…だと…?」
寝室の入り口前で垂れる鼻血を抑えつつシドは口にした。
「こんな美人で眼鏡っ娘に天然…? 反則すぎる…ッ。しかも一人ケダモノな男のベッドに潜り込み自らオネダリするだなんて…ありえんっ!けしからんぞこれは…!」
直後、二人の頭上に鉄槌が降りたのは言うまでもないだろう。
……10分後……
ファルヴァンは倒れていた男の向かいに座り、ただ唖然とその食いっぷりに口を開けて驚くだけだった。男の目の前に置かれた皿は驚く勢いで口の中へ流し込まれていく。
「そんなに急いで食ったら腹こわすぞ…」
ファルヴァンの進言に何も返さず男は最後の皿を間食した。
「はぁーっ、うまかったぁー! 久しぶりに飯にありつけたぜ」
「私のごはん〜…」
男の横に座るリーナは頭に大きなタンコブをつくって羨ましそうに最後の皿を見つめていた。
「こんなに旨い飯は食った事ないな。あんた、なんって言うんだ?」
「その前に自分の名を名乗れよ。どうして家の前で倒れてた?」
「あーそうだな。俺は“アギト”あんたは?」
「ファルヴァン。アーテック騎士団の二等騎士だ」
すると先ほどの暗い雰囲気を放っていたのから一変、明るく元気なリーナが挙手をした。
「はいはーい! 私はリーナ。この街には桜の大樹を描くために来ましたー!」
「で、最後に俺は…」
頭部に一回り大きなタンコブをつけたシドが続けて言おうとした時、アギトがシドを制するように話を始めた。
「ファルヴァンにリーナか。わかった」
「いや、俺まだ…」
「ヴァンさんの料理おいしいんですよー! 特にスパゲッティがおいしくて、今度食べましょうよ」
「作り方教えるからお前が作れ」
「あの…」
「ほぉー、なら明日の昼は決定だなそのすぱげってぃっての作ってくれよ」
「もう泊まるの前提?」
「…すみません…」
「何、泊めてくれない気だったの」
「あんたどうせ聖夜祭見に来た観光客だろ? まぁ一日くらいいいけど、それ以降は宿に泊まってくれ。家にはただでさえ一人で二人分世話の焼ける虫がいるからさぁ」
「虫ってなんですかー! 私虫と高い所は嫌いなんです!」
完全に蚊帳の外にいるシドは静かに縮こまり悲しくも大人しくしていた。
「そうだ。この借りは返さなきゃならないなぁ…」
礼など要らないのに恩を返そうと考え始めるアギト。
「いいって、恩なんて。そんなつもりないし…」
「考えすぎですよーアギトさん。ヴァンさんは人が良いからそんな借りだなんて…」
「お前は返せ」
話しかけのリーナに即答した。
「なっなんで私だけぇー!?」
テーブルの上に体を乗り出しファルヴァンに訊いた。
「お前は二週間家に泊まってんだよッ家に住み着く気かッ」
キッと睨んでやった。リーナは不思議そうな顔して「駄目なんですか?」と質問してきた。
「駄目に決まってんだろ。お前は祭りが終わったらさっさと恩返して家に帰れッ」
すると頬をぷくーっと膨れっ面にして言った。
「じゃぁ明日から私ヴァンさんに恩返しますからっ今までの分全部っ!」
リーナは妙に膨れていた訳がよく分からなかった。
アギトはその二人のやりとりを物おもしろそうに見ていた。
第三章 アギト
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