第2話
突然小説家になろうに現れた者です、カクヨムでも同じ作品を投稿しています。
ヒーローの格好をした僕が霧山さんを助けた、そんな信じられないような出来事が起きてから1日経った。
「なぁ大輔、知ってるか?」
「何を?」
月曜日の朝、僕はいつものように学校に登校して自分のクラスである1年A組の座席に着いてからしばらくすると友達の郷裕二が声を掛けてきた。
裕二は僕と同じでゲームや特撮作品が好きな男トモダチで、陰キャである僕にとっては数少ない友達で小学校からずっと一緒の幼なじみだ。
人のことを観察したりするのが得意で気も使えて優しい性格の持ち主でクラスからの人気も高い、僕なんかには勿体ない人間だ。
「こないだの日曜日、霧山さんを助けたヒーローがいるんだってよ。一体誰なんだろうな?」
「さ、さぁ?僕は知らないよ…」
僕はなにも知らないフリをしながら裕二から目線を逸らすと友人と楽しそうに話している霧山さんが視界に入った。
どうやら昨日のできことは学校でかなり噂になっているようだ。
「しかもその助けた人、本当にヒーローのコスプレをしていたんだって。なんか作り話みたいな話だよなー」
「そう…だね」
僕は裕二の言葉に対して合わせるように答えた。
ここで「それ、僕です」なんて言える勇気はないし何より信じてくれないだろう、なので僕はこの件については黙秘することにした。
それから時間はすぐに流れ、気が付いたら放課後になっていて僕は裕二と一緒に学校から帰ろうとしていた。
「ごめん裕二、先に玄関で待っててくれない?」
「いいけど、どうした?」
「忘れ物、教室に財布と定期券置いてきちゃったみたいで」
「わかった、先に待ってる」
「うん、ありがとう」
だけど僕は財布と定期券を教室に忘れていたことに今気が付いた、このままじゃ帰れないので申し訳ないけど裕二には玄関で待ってもらって僕はその間に教室に忘れ物を取りに行くことにした。
「あった、あった。裕二も待たせてるし早く行かないと」
教室に向かった僕はすぐに自分の机の中を確認してみると探していたものはすぐに見つかった、僕は裕二を長時間待たせるのは申し訳ないので後ろの扉から出て、さっさと玄関に向かうと思ったけど…
「霧山さん?」
僕が後ろの扉から教室に出た瞬間、霧山さん達が前の扉から入れ替わりで教室に入ってきた。
どうやら霧山さん達は僕の存在に気付いていない、それもそうだ、僕はあまり目立たない特撮オタク陰キャなのだから。
「霧山さん達、何話してるんだろう?」
話の内容が気になった僕はつい聞き耳を立ててしまった、盗み聞きなんてことはだめなのはわかっている、けどなんとなく話の内容が気になってしまったのだ。
「そんじゃあ約束通り、ゲームに負けた凛子は罰ゲームは決定ってことで!」
「えっ…あれ、本気だったの?」
「あったりまえじゃ〜ん」
流石に扉越しだったのでわからないところもいくつかあったけど僕が聞こえる範囲でわかったことして、霧山さん達は罰ゲームをかけてゲーム対決をしていたみたいで不幸なことに霧山さんが負けてしまったみたいだ。
「罰ゲームって…何すればいいの?」
「ん〜そうだねぇ…」
とは言っても罰ゲームの内容自体は考えていないみたいで霧山さんに聞かれて内容を考えているみたい。
「決めた!罰ゲームの内容は凛子がこのクラスの男子の誰かに《《告白》》するってことで」
「ええええっ!?」
罰ゲームで告白か、なんというか霧山さんも可哀想だし、告白された側も複雑な気持ちになるんだろうなぁ…
そう思った僕は苦笑いするしかなかった。
「あ、そろそろ行かないと」
僕は腕に付けていたGショックの腕時計を確認してみると彼これ15分近く経っている事に気が付いた。
さすがにこれ以上裕二を待たせる訳にはいかない、そう思った僕は霧山さん達に気付かれないように教室の近くを後にした。
「遅かったな、何かあったのか?」
「別に、なにもないよ」
「そっか」
この時の僕はさっきの話を他人事に思っていたので裕二には話さなかった。
「んじゃあ、俺こっちだから」
「うん、また明日」
だからわからなかった、この話がまさか僕に関係してくるなんて微塵にも思っていなかったから…
次の日、僕はいつも通りに学校に登校してきていて玄関で靴を履き替えようとしていた。
ちなみに僕の登校時間は周りと比べると少し速めだ。
「あれ、何か入ってる?」
上靴に手を伸ばした時、その上に二つ折りにされている手紙のような物があることに気が付いた、内容が気になった僕はそれを開いて中を読んでみる事にした。
「えっ?」
手紙の内容を見た僕は思わず目を丸くした、そこには綺麗な字で(今日の放課後、校舎裏に来て)と書かれていた。
名前は書かれていないが恐らく女子が執筆した手紙だと思われる。
『まさか…いやいや!そんな事あるわけない!』
思わず僕は期待してしまうがすぐに平常心を取り戻して教室に向かった。
僕なんかが告白されるはずないからだ。
『まぁでも一応…行ってはみよう、ここまでやってもらってるのに会わないのは失礼だし』
だけどこのまま会わないのもなんか失礼な気がする。
なので僕は悩んだが一応、放課後に来てほしいと書かれていた場所に行ってみることにした。
「それにしても、一体誰が僕なんかに手紙を書いたんだろう?」
いい事なんてなにもないはずなのに、そんな少し卑下するような事を考えながら僕は校舎裏で待っていた。
この場所は基本的に誰も来ないし、話の内容を聞かれることも少なくて秘密の話なんかをするにはもってこいの場所だ。
何か聞かれたくない話でもあるのかな?そんな事を考えながら待っていると目の前にある人物が歩いてきた。
「あ、もう来てたんだね。ごめん、待った?」
「き、霧山さん?」
その人物はなんと霧山さんだった、僕は頭の処理が追いつかず混乱し始めた。
なぜ彼女みたいな人が地味で目立たない僕なんかと?
「あの手紙ってもしかして…霧山さんだったの?」
「うん、そうなんだ。びっくりさせちゃってごめんね」
「い、いえ…」
気になって尋ねてみたらやはりあの手紙は霧山さんが書いたものだったようだ。
確かに驚きはしたが嫌ではない、むしろ僕なんかに時間を使わせて申し訳なく感じていた。
「あ、あの…僕、霧山さんに何かしましたっけ?
い、嫌がるような事をしてたなら謝りますから」
「ち、違うよ!?そうゆうので呼んだんじゃないから!」
僕の言葉に霧山さんは慌てて否定した、とりあえず僕が彼女に対して嫌なことをしていたわけではなくて安心した。
だとしたらどうして僕を呼んだんだろう?その事に対する疑問は増すばかりだった。
「あ、あのね…」
霧山さんは何か言いたそうにしながら体をもじもじし始め、顔の頬を赤らめていた。
僕は思わず霧山さんの引き締まってるところは締まっているのに出ている所は出てる体のボディに目が行きそうになったがすぐに目線を彼女の目を見るように戻した。
「あ、あなたのことが…ずっと好きでした。
す、好きです!付き合ってください!」
「…えっ?」
どうゆう事だろうか、なんと彼女は突然僕に告白してきたのだ、その言葉を聞いた僕は信じられなくて気の抜けた声が出てしまった。
僕とほとんど関わりのないはずの彼女がどうして…考えてみると理由はすぐに浮かんできた。
罰ゲームだ、恐らく彼女は友人達との約束を果たすために罰ゲームで僕に告白してきたのだ。
人生16年生きていて始めてされた女子からの告白、しかもこんな美少女に罰ゲームだとわかっていても嬉しかった。
とはいえここでOKしてもいいのだろうか?確かにこれは罰ゲームであるが彼女は本気で僕に告白してきてくれた、なんだか簡単にごめんなさいと言うのもダメな気がする。
どうすればいいのかわからなくなった僕はなんとなく上を見上げた、それにより僕の目には衝撃的な光景が映った。
なんと彼女の上の2階の窓ガラスから机が落ちてきたのだ、理由はわからないけどこのままじゃ彼女が怪我をする。
「霧山さん!」
「きゃっ!?」
それだけは防がないといけないと思った僕は彼女に近づいて机が落ちてくる前に背中を押して横にズラした。
間に合った!そう思ったのは束の間、僕の頭にとても強い衝撃が加わった。
「痛ったぁぁぁ!?誰?机を投げ…」
僕がそう言いかけたその時、落下の勢いで机の中から飛び出してきた教科書の角が頭に直撃した。
たださえ机がぶつかっただけでも意識が朦朧としてたのに教科書の角によってトドメを刺された僕は地面に倒れた。
「大輔!」
「あ、きり…やまさん、よかっ…た怪我、しなくて。僕は…大丈夫だから」
「全然大丈夫じゃない!頭から血出してるんだよ!」
それからすぐに僕に駆け寄っできてくれた霧山さんに指摘されて僕は頭から出血している事に気が付いた。
でもそんな事はどうでもいい、とりあえず彼女の綺麗な顔に傷をつけるような事にならなくて安心した。
「触ったら…だめ。
服、汚れるかも…しれない…から…」
「大輔!大輔ー!!」
僕はどんどん意識を失っていった、そんな僕に聞こえたのは霧山さんが僕の名前を叫ぶ声だけだった…