表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

翔鶴型安上がり空母、就役

軍縮条約失効と共に、帝国海軍では新たな艦隊計画が実行されていた。

その計画の目玉として、世界最大、最強の戦艦となる大和型戦艦6隻の建造が予定されていた。海軍は建造資金確保のために架空の駆逐艦の建造計画を国会に提出するのみならず、内閣に対し金本位制と萎縮経済政策をさっさとやめさせてとにかく景気をよくして経済を回すよう圧力をかけた。

しかし、それをもってしても大和型6隻は海軍にとって大きな出費である。どこかで金を節約してその費用を捻出しなければならない。どこかに節約できそうな出費は…


あった。航空母艦の建造計画である。考えようを変えれば航空母艦は艦隊に追従できる最低限の速力があれば後はたくさん飛行機を詰め込んで運ぶだけのただの輸送船である。他の輸送船との違いはクレーンがない代わりに貨物に自力で載ってもらうことだけである。つまりはドでかい貨物船なのだ。貨物船に金をかけることはできない。よし、航空母艦の予算を減らそう。


そう決めた海軍の行動は早かった。北海道は室蘭にある北海道炭鉱グループの工業担当、室蘭鉄工所にはした金を押し付けて「でっかい空母を2隻ほどつくってね♡」と命令したのだ。


室蘭鉄工所の面々もそう頭の回らない人間ではない。戦艦作りすぎて金がなくなったのだと理解するや否や、いかにして手抜き工事で空母を作るかという議論が始まった。行き着く先は先の海軍の結論と同じであり、ソコに技術的な会話が少々加わったのみである。早速図面が引かれ、工期が計算された後、室蘭鉄工所造船部室蘭第3船渠と函館第2船渠において手抜き空母の建造が始まった。


設計の概要はこうだ。300メートル級の巨大なタンカーをとにかく価格重視で作り、その上に下から二段式格納庫、搭乗員室、配管室、飛行甲板の順で載せる。格納庫の壁なんてまともに作ってられないので、ところどころ防火シャッターを流用して「なんちゃって壁」とし、鋼材を節約。飛行甲板は滑走路、つまりは道路なのでコンクリートと土で舗装する。空母は飛行機だけでなく、飛行機が使う魚雷や爆弾も運ぶのでそれをたくさん積めるように超巨大な弾薬倉庫を用意。また空母は外洋を航行する輸送船なので馬鹿でかい燃料タンクが必要なため、水密区画をほとんど設置せず超ドンガラ船とした。また輸送船は燃費が命、艦本式ボイラー&タービンなどという熱効率の低い機関は使用せず、自社のディーゼルエンジンを16機設置した。またそのスペースを確保するため、機関室は馬鹿デカイ部屋1つにまとめた。


そしてなんと着工から二年後の1938年、早くも翔鶴型空母の一番艦となる翔鶴が完成し、続けざまに二番艦瑞鶴が完成した。両艦はすぐさま処女航海と訓練を済ませ、艦載機それぞれ120機という大編隊を搭載して第5航空戦隊を編成、南雲機動部隊に加わった。


南雲機動部隊での翔鶴型の評価は散々だった。艦首形状がいいせいで抵抗が小さいのが災いして、巡航速力が24ノットと異常に速く、艦隊運動をする上で邪魔な存在となった。またその巨体のせいで旋回性能が低く、もっさりとした動きしかできないため他艦の回避運動の邪魔になった。さらには艦が馬鹿デカイ癖に一発食らったら轟沈しかねない構造をしているため、戦闘機の割合を増やさねば鳴らず、航空隊の対艦攻撃能力の低下に繋がった。


そして時は流れ1941年12月8日、ポンコツ空母翔鶴型は南雲機動部隊に属して真珠湾攻撃に向かっていた…





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あれ?設定読む限りは良艦じゃ?? 武装も高射砲なしで機銃のみだったりしてww
[良い点] 一発で轟沈? 当たらなければどうということはない(キリッ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ