花に雹
夜は足音を立てない
静謐のルーエ
暮らしは灯りのさきに
やわらかな体温を湛える
分化してゆく
骨に
花に
ひとの別れをおもうのは
それが営みだから
ぬくもりを
覚えている
ただ耳もとで
花の名前を
囁いておわる
恋の体温を
夜は足音を立てず
しんと静かな部屋のすみ
ぼんやりと影の骨格がみえる
分化してゆけ
骨に芦
花に雹
暮らしとして、所作を
忘れるという所作
無音の調べに
軸足を置く
ぬるい夜を知り
ニトログリセリンのにおい
だれもが夢とおもうくらいの
ありったけを
花を