三十話 宇宙怪人熊登場!
ピンポーン!
ピンポンが鳴った!一体誰だろう?
「はーい!」
おれが玄関を開けると……
「初めまして宇宙怪人熊の熊吉です」
しゃべる熊がいた……しかし本当に熊のまんまだ。多分ツキノワグマだろうか……でも二本の足で立ち背筋もピンとしている。
このまま玄関で話すと、近所の人に見られたら大変な事になりそうなので、熊吉を部屋に招入れる事にした。
たまたま部屋にいたねこことハムスター達と熊吉の話しを聞く
「熊吉!なんでうちに来たの?」
「僕は熊星から来ました。しかし地球で暮らすのは大変で……何回も駆除されかけました。駆除されたくないので、この家で飼ってくれませんか?」
「うーん、ハムスターやネズミ、猫ならともかく熊はちょっと飼えないかな……近所の人も心配するだろうし……」
「ユーキ!飼ってあげようよ!かわいそうだわ!」
ねここは熊吉に同情したようだ。
「うーん、どうしようかな……ハムタクはどう思う?」
「宇宙怪人熊は、宇宙怪人の中では大人しい方じゃ!僕達とも戦いにならないと思うんじゃ!飼ってやってくれじゃ!」
「そうだな……熊吉!熊の姿じゃなくねここみたいに人間の姿になれないの?」
「僕は人間化する事は苦手で……」
「じゃあハムスター達みたいにちっちゃくなれない?」
「大きくはなれますが、ちっちゃくはなれません……」
「それじゃあダメじゃん……なんとかならないかな……」
手詰まりになったところでコタローが一つ提案した。
「近所の人に危害を加え無いとわかってもらえればいいんじゃないっすか!?熊吉!おいらと動画を撮って投稿したらいいっすよ!それでわかってもらうっす!」
「でもコタロー近所の人見てくれるかな?」
「おいらのチャンネルは近所の人も見てくれてるっす。とりあえずやってみるっす!」
「そうなのか!やってみよう!」
コタローと熊吉は動画を撮りだした。
「どうもみなさんコタローです!今日はみんなに紹介したい人がいるっす!」
「どうも……宇宙怪人熊の熊吉といいます。こんななりですけど動物のツキノワグマではありません。見かけたら気軽に話しかけてください。僕は悪さしないので安心してください!」
始めの方は自信がなさそうだったが、だんだん自信を持って話しが出来たみたいだ。
「今日の動画はここまでっす!見てくれたみなさんありがとうございましたっす!」
撮影が終わった。あとは……
「ユーキさん結局僕を飼ってくれるんですか?今日寝るとこもないんです……」
熊吉は申し訳なさそうに言った。しかしな……
「うーん、父さんと母さんに聞いてみるよ」
おれは帰ってきた二人に聞いてみた。すると……
「さすがに熊はな……しかしかわいそうだ。しばらくは家に暮らしてもいいぞ!」
「でも期間限定よ!宇宙怪人熊をずっと飼うのは無理よー」
という答えだった。これからなんとか自立させないといけないのか……
次の日の事だった。
「あれ熊吉がいないよ!」
「散歩に行くと言ってたッチ」
コタローが動画を上げたとはいえ、熊吉がウロウロすると駆除されるかもしれない……しかし誰か止めてくれよ……
「みんなで探しに行くよ!」
おれ達は近所を探した。
「ユーキ!見つけたぞ!銃を持った人に囲まれているぞ!」
ハムニブから電話がかかってきた。おれ達はみんなで現場に向かった。本当に囲まれている……猟友会の人だろうか?
テレビカメラの姿もある。
「こいつは宇宙怪人熊だぞ!危険はないぞ!」
ハムニブが必死で猟友会の人に説明している!
「僕、日本語しゃべれます!悪さもしません!」
熊吉も危険が無い事をアピールしている!おれも何かしないと……
「こいつは今うちで一時的に飼っているんです!撃たないでください!」
おれは熊吉の前に行って今までの経緯を説明した!すると……
「この子は悪い子じゃないよ!」
動画を見てくれたのだろうか?近所のひとも庇ってくれた。
「わかった。俺達は撃たないよ!これからは宇宙怪人熊だと分かる物を身につけてくれよ!」
何とかその場は収まった。しかし熊吉はなぜ一人で散歩に行ったのだろうか?聞いてみる
「ちょっと運動したくなりまして。」
「え!理由それだけかよ!もう!やめてよね!」
「はい……すみませんでした……」
反省してるみたいだ。もう勘弁してくれよ……
「熊吉!おいらがつけている、赤いネクタイつけるっすか?」
「良いですね!」
「ワシの緑のマフラーもつけるといいけん!」
「それも良いですね!」
「僕の青い蝶ネクタイもつけるかじゃ?」
「それは……赤いネクタイつけると無理ですね」
熊吉はハムスター達が身につけている物をつけて宇宙怪人熊だと分かるようにするようだ。
するとおれの携帯に電話がきた!登録されてない番号のようだが誰だろう?
「ユーキさんですか?私、動物園の物なんですけど。熊吉さんをうちで雇いたいんです!」
「え!ええーーー!!!」
熊吉は動物園で働きだした。普通の動物達よりも人気者になった。給料も結構もらえるため、うちを出て行って一人暮らしを始めた。有名になったのでもう駆除されかける事はないだろう。
一時はどうなるかと思ったが、ちゃんと自立出来て良かったよ……
次回予告
ハムッチ
「暇ッチね〜」
ハムケン
「じゃあ地獄へ行ってみる?」
ユーキ
「え、マジで…」
次回
地獄へようこそ!