14赤銅
華蓮の朝は早い。
今年の春から、都会の女子校に通う中学生なので、始業に合わせて登校する。その前に朝のお勤めがある。
華厳宮五行家は道教のながれを組む、魔術師の系譜であり、カレンはその一族の中でも随一の才能を持っており、気を高める修行に日夜励んでいた。
日本の習慣や宗教行事は少なからず古代中国の影響を受けており、魔術形態も陰陽道にも道教の流れを組んでいる。お札や山岳信仰も道教の影響を受けている。
修行といっても、滝行に代表される荒行ばかりでない。カレンのような四神の巫女は金属板の制御に重点が置かれる。端的に言うと電波系?
とある中核都市では幼少の子供から妙齢の女性が行方不明になっていた。
また、男女問わず化け物に犯されるという、不可解な事件が発生していた。
カレンは、道士として事件の調査を行う名目で、都会の学校に通っていた。髪をみつあみにして、地味なふちの眼鏡と丈の長いスカート、カーディガンで野暮ったい女子学生として。
学業も盛んなお嬢様学校。生地と色の変わったセーラー服の学校で、中間服も黒っぽい冬服と同じデザインで見た目は変わらない。夏服もちょっと変わった色の制服は市内でも憧れの制服である。私立の学校は宗教がらみが多いので、受験するにあたり、宗教系の学校がをさけた。魔術形態がかなり特殊なので、学校の宗教観と合わないと思われるという理由である。
女子校に入れさせられたのは、安易に精気を集めないよう、誘惑する男子がいない環境に置きたかった一族の意向である。
彼女の容姿は眉目秀麗、童顔だがスタイルがいい。それにろり巨乳。教師がいたずらに走る、誘拐されてビデオが作成されるレベルであるが、当の本人は無意識で結界を張っているので、近づけば逆に精神を浸蝕され精気をじわじわ吸い取られてしまう。通学電車で痴漢が触っただけで1ストローク目でぐったり。よって田舎では距離を置かれ、触れるために金属板の封印が必要だった。それほど彼女の力は強力である。
そのカレンが、鬼、妖魔の類を討滅するため島にやって来たのだった。
「火の気によって、妖魔の穢れを払い、人の気を流し直す」
カレンが、鳥と介して気の流れを正していく。皆ぐったりしているが、単に気を抜かれたり流れを変えられたための不調に留まっていたため、回復が可能な状態であった。
「ちょっと、私はいいの。って体が……」
ひかりの体にも浄化の光が届いていた。ひかりの場合ちょっとばかり事情が違うので、気を絶たれると波瑠の中に精神コアの思念が断たれて、体の自由がなくなる。
「あ…」
ひかりが跪いてゆかりとみどりを降ろし、桟橋から離れる様に這いつくばっていた。
「その人たちも浄化しなきゃ。それに浜の人たちも、記憶を消さなきゃ。」
カレンは浜に意識を向けたが、そこには饕餮のカードによる結界があった。
『マサキ。奴が面倒にも我々に気を向けている。ネットワーク戦のために、憑代が必要だ。その抱いている娘で代替しよう。』
たわわな肢体がなまめかしく水着がめくり上がり、いやらしい部分がさらにいやらしくテラテラと光っていて、抱いているマサキも改めて久美子に意識を向けてしまうと、なんだか劣情が湧き上がっていた。
「ちょっとまてよ、この娘は関係ないだろう。俺じゃダメなのか?」
『ちょうどあの鬼のおかげで、チャンネルが開いている。どうせ人の気に戻さねば鬼になるのだ。この際一時的に利用して元に戻せば問題ない。』
「いや、あるだろう。」
『それに昏睡状態ではどうにもならない。気の循環を戻してやらねば元には戻らない。さもなければお前が気の注入で喝を入れるか?』
「……ごくり……いやいやいやいや」
DTが捨てられる願ってもない状況が、いやいや昏睡レイプじゃないかとマサキの中で葛藤があった。でもあらわになった見えてはいけない部分にアレを伸ばすには数センチしかなく、事故ならばと考えてと、いろいろ迷った挙句。饕餮の申し出を飲むことにした。
饕餮の金板は、久美子が穢れた部分に金糸を伸ばし、久美子を制御し始める。神経節の初期化し機能の回復が始まると、久美子の意識が戻り始めた。
「なんだか気持ち悪いのに、無理やりされて、わたしはどうなってしまうの?とってもふわふわしてるし、頭もしびれてしまって、これは夢なのかしら。」
久美子の意思は、現実のものか夢なのか突然の信じられない事態に処理が追い付かなくなっていた。
「何かがわたしの中に入ってくる。いや……やめて。んんんんんん~~~~~気持ちいい~~~~~」
久美子の足がぴくぴっくと足だけでなく全身がひくひくしている。
マサキは、たまたま?上に覆いかぶさっていて、喘いでいる豊満な女体が大しゅきホールドで、マサキに抱き着いて着た。
「~~~~~~~~~~~~」
声にならない。衝撃が久美子の体を走り、パッと目が開く。
自分の体が手や足を絡めてだれかを抱きしめている自分がいて、眼前には男子の顔があった。
「え?あれ??????」
久美子は眼前の男子と、いたしていたのかと錯覚した。しかもかなりノリノリで。
「ごめんなさい!!」
マサキと久美子がバッとすぐさま離れ、正座してお互いに謝っていた。
「わたしとしたことが、男子を襲ってしまい申し訳ございません。」
「いえいえ、俺こそ気を失っているのを良いことに調子にのって。」
「え?」
「え?」
「えっと……山田さんがおぼれていたので、俺が助けにいって、それで救護していたんですよ。」
マサキがとっさに苦し紛れに言い放った。
「あ……うん。ありがとうございます。よかった、間違いがなくって……」
「うん……そうだね、間違いがなくてよかった。あはははは……」
『とりあえず、ひかりとの回線が確保できた。無意識のうちに進めるぞ』
「よしわかった。」
マサキが、なんとか事情説明を切り抜けたと思って、桟橋に目を向ける。