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その他大勢のわたしの平穏無事な貴族生活  作者: みらい さつき
第三部 第三章 妃になりました。
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天蓋

いちゃいちゃしかしていません。






 食事が終わり、わたしはメアリを呼んだ。

 片づけを頼む。

 呼ばれたメアリはにやにやしていた。

 わたしはそれを無視する。

 片づけが終わったら、そのまま下がっていいと伝えた。


「はい」


 メアリは返事をする。

 彼女が部屋を出て行くのを見届けてから、わたしは立ち上がった。


「さて、準備は出来ました」


 ラインハルトを見る。


「お部屋に行きますか?」


 問いかけた。


「もういいのですか?」


 ラインハルトは問う。


「はい」


 わたしは頷いた。


「では」


 ラインハルトも立ち上がる。

 手を差し出した。

 その手をわたしは握る。

 そのまま手を引かれて歩いた。

 抱き上げて運ぶとかされなくて良かったとほっとする。

 昼を過ぎたばかりなので、寝室は明るかった。

 カーテンも開いている。

 わたしがちらりとそれを見たことに、ラインハルトは気づいたようだ。


「閉めますか?」


 問う。


「そうですね」


 わたしは頷いた。

 部屋の明るさ云々もあるが、それよりも外から丸見えなことが気になる。


「私が閉めるので、マリアンヌは座っていてください」


 言われるまま、私はベッドに腰掛けた。

 ラインハルトがカーテンを閉めるのを眺める。


(王子様は自分でカーテンを閉めたことなんてあるのかな?)


 そんなことを考えると、可笑しくなった。

 くすくす笑う。


「何が可笑しいんです?」


 戻って来てわたしの前に立ったラインハルトに問われた。


「カーテンを閉める王子様ってレアだなと思ったんです」


 答えたわたしの頬をラインハルトの両手が包み込む。

 ゆっくりと顔が近づいてきた。

 優しくキスされる。

 触れるだけで、それは離れた。

 気遣ってくれているのがわかる。


(優しい人)


 胸が熱くなるのをわたしは感じた。

 チュッと自分からもキスをする。

 にこっと笑って、立ち上がった。


「自分では脱げないんですが、紐、外してもらえますか?」


 頼む。


「もちろん」


 ラインハルトは頷いた。

 わたしはラインハルトに背を向ける。

 髪を持ち上げ、前に流した。

 ラインハルトの手が紐を掴む。

 その手が震えていることにわたしは気づいた。


「もしかして、緊張していますか?」


 小声で問う。


「私だって緊張することがあるんですよ」


 ラインハルトは答えた。


「じゃあ、一緒ですね」


 わたしは笑う。

 紐が解かれて、ドレスを脱がされた。

 ドレスの下には下着をつけている。

 キャミソールのワンピースという感じで、前世の感覚では下着っぽくなかった。

 その下着姿で、脱いだドレスを片付ける。

 寝室にあるソファにドレスを置いた。

 私がそんなことをしている間に、ラインハルトも正装を脱いでいる。

 手持ち無沙汰なわたしは先にベッドに入った。

 ラインハルトの方を見るのは躊躇われて、背を向ける。

 カーテンを閉めたので、部屋の中は薄暗かった。

 夜ではないが、そういう雰囲気になる。

 ドキドキしていると、ラインハルトもベッドに入ってきた。

 天蓋が下ろされ、さらに暗くなる。


「マリアンヌ」


 背中から抱きしめられた。

 振り返ると、ラインハルトが覆い被さってくる。

 わたしはラインハルトを見上げた。


「覚悟は決まりましたか?」


 ラインハルトは問う。

 その優しさに、わたしは笑みがこぼれた。


「どうぞ」


 囁く。


「ラインハルト様のものにしてください」


 暗いから言えるセリフを口にした。

 顔が赤くなる。

 本当は今でも逃げ出したかった。

 でも、もう逃げない。

 ラインハルトは嬉しそうに微笑んだ。

 顔が近づいてくる。

 わたしは黙って目を閉じた。

 唇が塞がれ、キスされる。

 キスだけなら何度もしたのに、いつもと違う感じがした

 ラインハルトの手が胸に触れる。

 布越しに触られたことはあるが、直接掴まれたのは初めてだ。

 ピクッと身体が震える。


「大丈夫。痛いことはしません」


 囁かれた。

 強張った身体から、わたしは力を抜く。

 ラインハルトの手で下着も全て脱がされた。

 肌と肌が直接触れる。

 優しい手がわたしの身体のあちこちに触れた。

 とても優しく扱われているのがわかる。

 求められるまま、わたしは身体を開いた。






 終わった後、いっぱいいっぱいだったわたしはそのまま寝てしまったらしい。

 気づいたら、ラインハルトに腕枕されていた。

 裸のままだが、身体は綺麗になっている。

 どうやら、後始末してくれたようだ。

 天蓋は半分ほど上げられ、テーブルにはお湯が入ったたらいのようなものがある。

 使ったタオルも見えた。

 わたしがもぞりと身じろぐと、ラインハルトが目を覚ます。


「目が覚めましたか?」


 幸せそうな顔で尋ねられた。

 蕩けそうなほど甘い表情が、恥ずかしい。


(とうとう、やってしまった!!)


 心の中で喚いた。

 それを口に出さずに我慢した自分を誉めたい。


「いろいろしてもらったみたいで、すいません」


 小声で謝った。


「いろいろ?」


 ラインハルトは首を傾げる。


「後始末とか、その……」


 わたしはもごもごと口ごもった。

 ラインハルトはにやける。


「楽しかったですよ」


 じっくり見られて――と、いやらしい顔をした。


「……」


 わたしは黙って、布団に潜り込む。

 逃げた。

 だがそんなわたしをラインハルトは逃がしてくれない。

 布団を捲られた。


「なっ」


 抗議しようとした口はキスで塞がれる。

 舌がするりと入り込んできた。

 手が胸を揉む。


「もう一回……」


 甘い声が耳元で囁いた。


(こんなの、ずるい)


 心の中でわたしは叫ぶ。

 駄目だなんて言えるわけがなかった。

 わたしは黙って、ラインハルトの背中に手を回す。

 ラインハルトは腰を進めてきた。



全年齢と自分に言い聞かせました。

私的には大丈夫だと思っています。

寝台では露骨なので天蓋になりました。


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