表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
650/651

閑話: 幸せの形

評価&ブクマ、ありがとうございます。

マリアンヌ視点です。




 婚約から2年後、アドリアンとオフィーリアの結婚式は予定通りに行われた。さらにそのほぼ1年後、オフィーリアは男の子を出産する。

 それにより、アドリアンは皇太子になる資格を得た。それを機に国王は退任を決める。ラインハルトが即位することになり、アドリアンは皇太子になることが決定した。

 それはつまり、わたしが王妃になると言うことでもある。

 正直、気は重かった。だが、逃げられないこともわかっている。気分転換に、オフィーリアの所に孫の顔を見に向かった。

 疲れているであろうオフィーリアにベッドに横になったままでいいと告げて、わたしはベビーベッドに眠る赤ちゃんの顔を見る。

 赤ちゃんはすやすや寝ていた。アドリアンは母やシエルにそっくりだが、この子はそうでもない。だが顔立ちなんて関係なく、ただ可愛かった。


(子供より孫の方が可愛いっていうけど、本当かも)


 心の中で呟く。

 何の責任もなく、ただ可愛がるだけでいいなんてとても気楽だ。首が据わったら構い倒そうと心に決めて、起こす前にそっと離れる。

 オフィーリアの側にある椅子に座った。


「すごく順調に予定通りね」


 オフィーリアに囁く。


「ええ。予定通りです」


 オフイーリアは頷いた。にこやかに微笑む。

 オフィーリアとアドリアンの間に男女の恋愛感情はない。だが、2人の仲は決して悪くなかった。例えるなら、運命共同体という感じがする。オフィーリアは積極的にアドリアンの業務を手伝っていた。同時に、女性の雇用を積極的に推し進めている。それは女性の社会進出に一役買っていた。


(わたしよりずっと上に立つことに向いている)


 オフィーリアを見ているとわたしはそう思う。

 それに、オフィーリアはわたしが思っていたよりずっと計画的な人だ。効率よく最短で妊娠するために妊活も厭わない。基礎体温や生理周期を記録し、妊娠に適した時を割り出した。その時だけ、アドリアンと子作りに励む。それはかなり事務的で、見ているこっちが不安になるくらいだった。しかしわずか数回でそれは成功する。アルステリアには妊活の秘伝書のようなものがあるそうだ。それを活用したのだと後から聞く。

 そんなものがあるなんて知らなかったと驚いていたら、メアリにこの国にも似たようなものがあると教えられた。王家にも伝わっているらしい。そんなこと一度も聞いたことがないと拗ねたら、必要無いから言わなかったと言い返された。


(確かに、必要無かった)


 自分とラインハルトのことを顧みると、そう思う。むしろ避妊方法を教えて欲しいくらいだ。もちろん、そんなことは口には出さない。


「これで、わたしは自分がやりたいことを頑張ってもいいんですよね?」


 オフィーリアに問われた。オフィーリアはキャリアウーマンタイプだ。育児より仕事がしたいらしい。権力を必要としたのも仕事をするためだ。この国では女性が仕事をするのは難しい。


「ええ。妃としての務めは十分に果たしたわ。だから、これからは貴方のしたい仕事をしていい。協力は惜しまないわ」


 わたしは約束する。


「でも、今さらこんなこというのはなんだけど……。本当にアドリアンで良かったの?」


 オフィーリアが幸せになれるのか、心配する。アドリアンは我が子だが、夫としてはお勧めできる人物ではない。アドリアンにとって大切なのはオーレリアンだけだ。


「むしろ、アドリアンで良かったです」


 オフィーリアは即答する。


「アドリアンはわたしを愛することはないですが、他の女性を愛することもありません。アドリアンにとって、特別なのはオーレリアンだけでしょう?」


 わたしに問うた。


「ええ。そうよ」


 わたしは頷く。


「他に女を作り、その人が男の子を産むことがなければわたしはそれでいいのです。息子が皇位争いをしたり、そのことで母親としてわたしが神経をすり減らすのは嫌なのです。その心配がないのがわたしとしては一番いいことです」


 オフィーリアははっきり言った。


「幸せの形は人それぞれね」


 わたしは苦く笑う。そういう意味では、アドリアンとオフィーリアは利害関係が一致しているようだ。だから、仲良く出来るのだろう。


「ええ。わたしはちゃんと幸せです」


 オフィーリアのその言葉を聞いて、わたしはほっとした。


「できるだ早く、貴女に王妃の座を明け渡してあげるわね。王子妃より王妃の方がきっとできることは多いはずよ」


 約束する。


「それはお義母様が王妃の座を退きたいだけですよね?」


 オフィーリアは笑った。


「そうとも言うわね」


 わたしは素直に認める。王妃なんてわたしには荷が重い。


(早くラインハルト様と2人で田舎でスローライフが送りたい)


 密かな野望をわたしは持っていた。





何が幸せなのか、決めるのは自分です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ