予選一日目を終えて 1
評価&ブクマ、ありがとうございます。
無駄に長くなる気がして、わけました。
予選の一日目が終わった。
無事に人数は半数に減る。受かると困る令嬢達は綺麗に排除することができた。
落選した令嬢達の落胆ぶりを見てルイスの心は少し痛んだが、仕方ない。
受かってもらうわけにはいかなかった。彼女達の誰かが王妃になれば、その実家は厄介な存在になる。力を持たせてはいけない家門があった。
ガラガラを回して抽選するだけなので、予選の一日目はそれほど時間がかからない。午前中で終わった。昼前には全ての令嬢が帰る。
ざわついていた王宮はいつもの静寂を取り戻した。
だが、ルイスの仕事は終わっていない。明日の宝探しの宝を庭に埋める作業が残っていた。
庭師たちを集め、小さな箱を埋めさせる。
埋める場所は初めから決まっていた。地図に書き記してある。その場所をルイスは指示した。庭師たちが指示された場所に穴を掘り、埋める。
作業は事務的に行われ、それほど時間はかからなかった。具体的に言えば、お茶の時間前には終わる。
「これで全部だな」
ルイスは地図をチェックし、確認する。
その様子を見ていたベテランの庭師がとても不安な顔をした。
「大丈夫でしょうか?」
ルイスに問う。
「何がだ?」
ルイスは聞き返した。
「この庭は陛下が大切にしている庭です。たくさんの令嬢が庭を歩くことは問題ありませんが、植えてある花を掘り返されると困ります」
花壇を荒らす者がいるのではないかと庭師は心配する。
「まさか。そんな愚かなことをする令嬢はいないだろう」
ルイスは苦く笑った。
宝探しと銘打っていても、何をしてもいいわけではない。
ここが王宮の庭であることを理解していれば、最低限、してはいけないことはわかるだろう。花壇の花を掘り返すなんて言語道断だ。
「レースに必死な令嬢達に、そこまで気を回す余裕があるでしょうか?」
庭師は疑問を呈する。
普段なら、令嬢達もそんなバカなことはしないだろう。だが、レースという特殊な状況下だ。冷静な判断が出来なくなっていても不思議ではない。
「……」
そう言われると、ルイスも不安になった。暫し、考え込む。
「では、見張りの騎士を配置しよう。もともと、防犯のために騎士を多く置く予定ではいた。それを花壇の近くに配置を変えればいい。騎士には花壇の花に手をかけたものは失格にするように言っておく。……それでいいか?」
庭師に問うた。気遣いを見せる。
庭師は平民だ。だが、小さい頃から王宮に出入りしているルイスはその年老いた庭師を昔から知っている。小さい頃は遊んでもらったこともあった。
「十分です」
庭師は配慮に感謝する。
ルイスは庭師と別れて、王子の執務室に向かった。女装を解いて執務に戻っているはずの王子も、そろそろお茶の時間なので休憩を取るだろう。
今日の感想を聞きたいと思った。
実は花を掘り返したら即、失格でした。マリアンヌはそんなことを知らずに、普通に止めます。花がかわいそうだから。




