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サービスタイム


サービスの時間です。

ブクマ、評価ありがとうございます。






 メアリは部屋に運び込まれた荷物を片していた。ラインハルトとマリアンヌの部屋を整え、次にメリーアンの部屋に移る。メリーアンの荷物は多かった。ドレスも宝石もマリアンヌより数が多い。その分、時間がかかった。

 そこに国王との謁見が終わったラインハルトたちが戻ってくる。

 声が聞こえて、メアリは部屋の外に迎えに出た。

 マリアンヌとメリーアンが並んで歩いている。ラインハルトはその一歩前にいた。不機嫌そうな顔をしている。

 メリーアンは自分の部屋の前で立ち止まった。


「では、母様。また後で」


 母に挨拶する。


「メアリ」


 呼びかけた。

 メアリは少し驚く。


「はい」


 それを表情には出さず、返事をした。


「パーティで着るドレスを選びたいの。付き合って」


 メリーアンは頼んだ。


「はい」


 メアリは頷く。メリーアンと一緒に部屋に入った。

 マリアンヌがそれを見て複雑な顔をする。メアリはそのことに気づいたが、何故なのかはわからなかった。






 マリアンヌはラインハルトと共に部屋に入った。疲れを感じて、ソファに座る。

 娘との会話はいろいろと衝撃だった。そのショックで、ラインハルトの不機嫌については頭から飛んでいる。


「はあ……」


 ため息を一つ、漏らした。

 子供達の中で、乳母に育てられたメリーアンは一番普通に見えた。王族の姫らしく育っていると思う。だが、それは誤解だったようだ。


(むしろ、一番普通ではなかった)


 その事実に、ちょっと落ち込む。

 自分で育てなければまともに育つと思っていたことが甘かったのかもしれない。


「娘のことで頭が一杯なようですが、わたしも怒っているのですよ」


 ラインハルトはマリアンヌの隣に座った。

 マリアンヌはギクッとする。


「ああ」


 ラインハルトが怒っていたことを思い出した。


(面倒くさい)


 心の中で呟く。もちろん口には出さない。


「さっきの話ですよね?」


 代わりに、そう聞いた。


「ああ。いつ、楽しく酒を飲んだんだ?」


 ラインハルトは問う。


「あー……」


 少し迷って、マリアンヌは本当のことを話した。

 ウリエルとガブリエルと3人で飲んだことがあることを打ち明ける。


「……」


 詳しい状況を聞いて、ラインハルトは何とも微妙な顔をした。


「どうしてそう無謀なんだ?」


 呆れる。


「別に危ないことはありませんでしたよ?」


 マリアンヌは言い訳した。

 だが、ラインハルトは口元をひくつかせる。


「……」


 黙り込んだ。しゃべらないときほど駄目なのは長い結婚生活で知っている。マリアンヌはちょっと焦った。


「メアリも一緒だったので、本当に大丈夫だったんです」


 言い募る。


「……」


 だが、ラインハルトからの返答はなかった。

 マリアンヌは困る。

 だが、違和感も覚えた。怒っているわりに、あまりそんな感じがしない。どこか可笑しかった。


(もしかして……)


 ある想像が頭を過ぎる。


「……どうすれば機嫌を直してくれるか、聞いてもいいですか?」


 聞いてみた。


「娘のアドバイスに従ったらどうだ?」


 ラインハルトは答える。


(つまり、サービスしろってことね)


 マリアンヌは小さく肩を竦めた。どうやら、今怒っているのはポーズらしい。機嫌はもう直っているようだ。


「では、サービスします」


 マリアンヌは立ち上がる。にっこり笑って、ラインハルトの足を跨いだ。ラインハルトの膝に乗る。

 満足そうな顔でラインハルトは抱きしめてきた。





いちゃいちゃの時間です。

妻と娘の会話を聞いて、機嫌は直っていたのです。

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