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結果

さくっと優勝者が決まります。





 優勝したのはオフィーリアだった。


「あら、まあ。やっぱり」


 マリアンヌはそう呟く。

 アドリアンは母を見た。


「勝つと思っていたのですか?」


 問いかける。

 マリアンヌはふふっと笑った。さっき書いた優勝予想の紙を開いて見せる。そこにはオフィーリアの名前があった。


「負けず嫌いで、戦略を立てられて……。このゲームにわりと向いていると思ったのよ」


 マリアンヌは予想が当たったことを自慢した。子供みたいに胸を張る。


「それなら私も」


 オーレリアンは自分も予想の紙を開いて見せる。そこにもオフィーリアの名前があった。


「あら。勝つと思っていたの?」


 マリアンヌは意外な顔でオーレリアンを見た。


「彼女、昔からこういうカードゲーム得意だったのです」


 オーレリアンは説明する。

 それを聞いたアドリアンは拗ねた顔をした。


「いつ、一緒にカードゲームなんてしたんだ?」


 焼きもちをやく。


(そっちか!)


 マリアンヌは心の中で突っ込んだ。


「一緒にしたことはないよ。でも、彼女が勝っている姿はけっこう見かけた。こういうゲームが得意なんだろうなと思っただけ」


 オーレリアンは説明する。安心させるように、アドリアンの背中をポンポンと手で叩いた。


「ほとんど一緒に行動していたのに、アドリアンは気づかなかったの?」


 マリアンヌが困った顔をする。


「その分、私が見ているから大丈夫です。私達は2人で一人分なんですよ、たぶん」


 オーレリアンが笑った。

 自分と一緒にいる時、基本、アドリアンの視線は自分に向けられている。

 周りの様子なんて、たいして気にしない。そこにいる人も含めて丸ごとただの背景だ。

 だからオーレリアンがその分、周りを観察することにしている。それに、意識していなくてもアドリアンは記憶している。本当に必要な時はその記憶に頼ることが出来た。


「補い合うことで困らないなら、それでいいんじゃないか?」


 変なところで息子に甘いラインハルトはアドリアンの味方をする。


「悪いとは言っていないですよ。ただ、少し注意力が散漫なことを心配しただけです」


 マリアンヌは苦笑した。


「これからはオフィーリアもそういう部分を補ってくれるでしょうから大丈夫じゃないですか?」


 オーレリアンが言う。意外と高くオフィーリアを評価しているようだ。


「ずいぶんと肩を持つんだな」


 アドリアンが子供みたいなことを言う。オーレリアンにじゃれたいだけのようだ。


(貴方の心配をみんなしているんですよ)


 喉まで出かかった言葉を、マリアンヌは飲み込む。そんなこと言わなくても、本人はわかっているだろう。

 こういうところ、アドリアンはラインハルトと似ていると思った。仕事は出来るのに、プライベートはちょっと残念なところがある。だがそういうところが放っておけなかった。

 それはきっとオーレリアンも同じなのだろうとマリアンヌは思う。

 オーレリアンは困った顔をしながらも、自分のことが大好きなアドリアンにちょっと嬉しそうな顔をしていた。


「そんなことより、今後のことを話し合わないと」


 マリアンヌは息子達を促す。

 これから表彰式が待っていた。その後は国王への謁見がある。

 優勝者を婚約者として紹介しなければならない。

 結婚の準備について話し合う必要があった。他国から嫁を迎えるのは初めてなので、いろいろと忙しくなるだろう。


「そういえば結局、アルステリアと縁が出来ることになってしまったわ」


 マリアンヌはぽつりと呟く。

 あの時はアルステリアの皇太子だった現国王の、望むとおりになってしまったなと思った。







アルス王国と縁を作るのはアルステリア国王の希望でした。

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