呼び出し 2
続いています。
「それで、今後の話だが……」
マリアンヌの夢の話をスルーして、国王は話題を元に戻した。
「わたしの夢の話には全く興味がないんですね」
マリアンヌは恨めしげな顔をする。
「興味を持ったほうがいいのかい?」
真顔で、国王は聞いた。
マリアンヌは少し考える。
「いえ、下手に突きまわされると厄介そうなので、このままスルーしてください。余計なことを言いました。すみません」
直ぐに撤回した。
「それで、国王陛下は何をそんなに心配しているのですか?」
国王に尋ねる。
「こちらの目論見どおりの噂が流れたのはいい。だがそれだけで片がつくなんて甘いことは考えていないのだろう?」
国王は問い返した。
「そうですね」
マリアンヌは頷く。
「次に必要なのは、実績だと思います」
答えた。
「人々が何をもって賢王の生まれ変わりだと認めるのか。答えは一つだと思うのです」
その言葉に、国王は渋い顔をする。
「賢王の実績に並ぶような成果を上げるのは、簡単なことではないぞ」
半ば、脅すようにマリアンヌを睨んだ。
「わかっています」
とても暢気な口調で、マリアンヌは頷く。
「だから、頑張ってもらおうと思います」
微笑んだ。
やるのは自分ではない。
「……」
国王は不安な顔をした。
「何をさせるつもりだ?」
問いかける。
「国民の識字率を上げます」
マリアンヌはあっさり答えた。秘密にするつもりなんて最初からない。
「学校か……」
国王は独り言のように呟いた。
「ええ。アドリアンとオーレリアンに、学校制度の確立を丸投げしました」
それを聞いて、国王は呆れる。
「血も涙もない母親だな」
苦く笑った。
「酷い言われ方ですね。むしろ、優しいと思うのですが。あの子たちは5年も学校に通ったのですもの。学校がどういうものなのか知り尽くしているはずです。あの子たちほど、学校制度を作るのに相応しい人材はいないんじゃありませんか?」
マリアンヌは反論する。
「そのために寄宿学校に通わせたのか?」
国王は問うた。
「まさか」
マリアンヌは否定する。
「あれは本当に見聞を広めさせたかっただけです。学校制度の件はたまたまちょうどいいなと思っただけですよ」
首を横に振った。
「だが、簡単なことではないだろう?」
国王は心配な顔をする。
苦労するに違いない孫達を憐れんだ。
「ええ。簡単ではありませんね。簡単なら、わたしが自分でなんとかしていますから」
マリアンヌは苦く笑う。
「何も、学校という建物を建てろといっているわけではないのです。町ごとにみんなが集まれる広いスペースがあって、そこに子供達を集めて、読み書きと計算を教えるだけ。たった3つのステップで完了するのに、それがとてつもなく難しい。世の中って、ままなりませんね」
ため息を吐いた。
「その内、アドリアンとオーレリアンが、国王陛下に相談に行くかもしれません。その時は親身になってあげてくださいね」
国王に頼む。
「私にまで無茶振りをするのか」
国王は呆れた。
「散々、わたしに無茶振りしてきたんですもの。たまには引き受けてください」
マリアンヌは怯むことなく、言い張った。
たまには無茶振りし返します。
別の話も地味に更新しています。
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今度こそテンプレな転生ものを目指してます。引き続き、楽しんでいただけたら幸いです。
実はもう一つ連載中です。
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