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転生会のこと

結果的にはこうなっています。





 肖像画の件については、ラインハルトから国王に話すことになった。


「母様が自分で言わないのですか?」


 アドリアンは不思議な顔をする。自分の提案なのだから、母が話すのが早いと思った。たぶん、展示の仕方も母は何か考えているだろう。


「わたしから話すメリットが何かあるかしら?」


 マリアンヌは首を傾げた。


「誰から話しても同じなら、ラインハルト様から話すのが早いでしょう?」


 当たり前のように言う。


「あと、面倒そうなことは人任せにするって決めているのよ」


 ふふっと笑った。


「面倒なのか?」


 ラインハルトは微妙な顔をする。


「面会の予約を入れたりするからけっこう面倒ですよ」


 マリアンヌは頷いた。


「まあ、それは……」


 ラインハルトもちょっと思う。そういうラインハルトは大抵の場合、予約を入れる必要がなかった。会いに行けば通してもらえる。

 そういう意味でも、ラインハルトが適任だとマリアンヌは思っていた。

 国王の側近として働くアドリアンとオーレリアンから伝えてもらうことも考えたが、正式な手順を踏んだ方がいいだろう。国王相手に話をするのは、まだ荷が重いとも思った。オーレリアンはともかく、アドリアンには。


「そうそう。ついでに転生会のこと、話しておこうかしら。ちゃんとした話、まだしていないわよね?」


 マリアンヌは思い出したように言った。

 アドリアンとオーレリアンを見る。


「この5年、何もしていなかったわけではないのよ」


 言い訳した。


「まあ、成果が出ていないのだから、胸を張れる様なことではないんだけどね」


 そう続ける。


「手厳しいな」


 ラインハルトは苦く笑った。


「転生会の人はね、何人かは見つけたの。まあ、見つけたというか判明したというか……」


 マリアンヌは言葉を探す。


「それで話を聞いた結果、わかったのは、転生会には縦のつながりも横のつながりも特にはないこと。賢王かもしれないという相手の情報を持ち寄って、話し合いが行われることは不定期ではあるようだけど、そのメンバーは参加している本人にさえわからないらしいわ。フードを目深に被って、顔は見えないようなの。組織であって組織ではないし、纏まっているようで纏まっていない。何とも掴みどころがなくて、どうにも手の打ちようがないのが現状ね」


 ため息をついた。


「じゃあ、何のために存在するの?」


 アドリアンは首を傾げる。何をしたいのか、目的がよくわからない。それは当然の質問だ。


「賢王が転生し再び王になった時、その王を助けるのが転生会にいる人々の目的よ」


 マリアンヌは答える。


「え?」


 オーレリアンが戸惑った顔をした。

 マリアンヌは小さく笑う。


「また賢王の役に立ちたい――あるのはその想いだけらしい。転生するのを待っているというのは、転生した王に仕えたいという意味らしいわ」


 なんとも言えない顔をした。


「再び賢王の役に立つため、騎士なら剣の腕を磨き、商人なら商売で財を貯め、重臣なら政務に励む。それが転生会の基本理念で、組織だてる必要もなければ、縦や横の連携も必要ない」


 ラインハルトが簡潔に纏める。


「それなら、気にする必要もないんじゃない?」


 放っておけばいいという顔をアドリアンはした。


「それはそうなんだけどね」


 マリアンヌは意味深にラインハルトを見る。


「彼らが賢王の生まれ変わりだと信じた相手が王位に就いたなら何の問題もない。彼らは粉骨砕身、頑張ってくれるだろう。だがもし、彼らの信じた相手が王位に就けなかったどうなる? 彼らは賢王の生まれ変わりだと信じる誰かのため、武力や財力を持って、何かをするかもしれない。信じた相手を王にするためになら何でもするだろう」


 ラインハルトの言葉に、アドリアンとオーレリアンは渋い顔をした。


「転生会を放置するというのは、そういう脅威を放置しておくのに等しい。だが困ったことに、彼らは罪を犯しているわけではない。取り締まろうにも取り締まる方法がないし、そんなことをすれば王族に不信感を抱かせるだけだろう」


 ラインハルトの言葉はなかなか重い。


「だから、一番いいのは彼らが賢王の生まれ変わりだと納得した人物が王位に就き、賢王の予言が達成されて転生会という存在が終わることよ」


 マリアンヌはオーレリアンを見た。


「思っている以上に、厄介なんですね」


 オーレリアンはため息を吐く。


「5年で成果が出ない理由も納得できるでしょう? まあ、そうでなければどこかの王の時にもうとっくに誰かが何とかしているわよね。転生会は見えざる脅威で、不気味なことはどの王も感じていたでしょうからね」


 マリアンヌはアドリアンを見た。


「そういうわけで、転生会については最終的にアドリアンとオーレリアンに頑張ってもらうことになるから、頑張ってね。この負の遺産をこれ以上、子孫達に受け継ぐことがないように終わりにしましょう」


 簡単なことのように言う。


「母様って、甘くないよね」


 アドリアンはぼそっと呟いた。









転生会は悪いことはしていないので取り締まれません。

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