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親子

仲良しです。






 ラインハルトは突然やって来た息子達に驚いた。だが、普通に嬉しい。

 入室の許可を求める声に、ルイスに向かって頷いた。

 ルイスが返事をする。

 それを聞いて、アドリアンとオーレリアンは部屋に入ってきた。

 何故かオーレリアンは怒っている。


(珍しい)


 ラインハルトは少なからず驚いた。

 オーレリアンは昔から感情の起伏がない子だ。いつも一緒にいるアドリアンが喜んだり怒ったり騒がしい子なのでその陰に隠れて気づかれないが、怒ったところなんて見たことない。いつも冷静で、理知的だ。

 そのオーレリアンが、珍しく怒っている。しかも、その対象はアドリアンのようだ。


「何かあったのか?」


 ラインハルトは尋ねる。


「何も」


 アドリアンは首を横に振った。心当たりはないらしい。

 その言葉に、オーレリアンはさらにムッとした。口を尖らす。


「はっきり言おう。私は父様の後を継ぐのはアドリアンがいいと思っている。そうするのが、一番いい」


 オーレリアンはアドリアンに言った。


「……」


 アドリアンはびっくりする。目を丸くして、オーレリアンを見た。


「オーレリアン」


 ラインハルトは苦笑する。


「その話は、ここでは止めよう」


 穏やかに止めた。

 オーレリアンははっとする。

 ちらりと後ろを振り返った。

 ドアの外では、護衛騎士が待機している。部屋の中の声は基本的に聞こえないはずだが、この場で不用意に口にしていい話ではない。

 それはオーレリアンが一番よくわかっていた。


「すいません」


 オーレリアンは反省する。


「その件については、今夜、帰ったらみんなで相談しよう。マリアンヌのいないところで話したら、マリアンヌが怒るからね」


 ラインハルトはわざと軽い口調で茶化した。凹んでいるオーレリアンを慰める。


「すいません」


 オーレリアンはもう一度、謝罪した。


「アドリアンが不用意なことを口にしたことに腹が立って……。でも、私の方がもっと不用意でした」


 落ち込んだ顔をする。


「いいんだよ」


 ラインハルトは笑った。


「むしろ、安心した」


 にこっと微笑む。


「?」


 オーレリアンは首を傾げた。


「オーレリアンは昔から、大人びた子供だったから。ちゃんと子供らしいところがあって、嬉しいよ」


 ラインハルトは息子達を見る。

 まだ自分の手が必要であることに、ほっとした。


「アドリアンとオーレリアンは1人ではないから、2人で協力すれば大抵のことは解決できるのかもしれない。だが、まだ子供だ。私やマリアンヌに頼っていいんだよ」


 そんな言葉をかける。


「……はい」


 少し照れた顔で、オーレリアンは頷いた。

 そんなオーレリアンをアドリアンはにやにやした顔で見ている。

 オーレリアンは肘でそんなアドリアンを小突いた。










兄弟も仲良しです。

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