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関係性

いろんな関係があります。





 マリアンヌが公爵たちとお茶をしている頃、シエルやアドリアンたちはランスロー男爵やアルフレットたちとお茶をしていた。

 今日はルークとユーリもいる。

 こちらはメアリが給仕していた。

 美人なメアリに2人ともちょっとどぎまぎしている。

 それを微笑ましい気持ちで大人達は見ていた。


「アルステリアはどうだった?」


 興味津々という顔でアルフレットが尋ねる。シエルを見た。


「あまり、物珍しい感じはしませんでした」


 シエルは正直な感想を答える。終始、アルス王国と似ていると感じた。そういう部分だけ見せられていたことはマリアンヌから聞いていないので知らない。


「そうか」


 アルフレットはがっかりする。珍しいものを見てきたのではないかと期待していた。


「興味があるんですか?」


 シエルは意外な顔をする。アルフレットが他国に興味を持っているなんて思いもしなかった。

 普段はこういう話題に入ってこない。いつも一歩引いていた。


「興味はあるが、立場的に私はあまりこういうことに関わらないほうがいいからね」


 アルフレットは苦笑する。

 自分が興味を示せば、いろんな意味で誤解を招きかねないのはわかっていた。アルフレットは自分の立場をよくわかっている。マルクスに迷惑をかけるようなことは出来なかった。


「ちゃんとしているんだな、みんな」


 シエルは呟く。


「みんな?」


 アルフレットは首を傾げた。誰がそこに含まれているのかわからない。


「姉さんもちゃんとしていた」


 シエルは答えた。

 その言い方にはどこか寂しそうな響きがある。落ち込んでいるようにも見えた。


「何かあったのか?」


 男爵が心配して尋ねる。


「いや、別に」


 シエルは否定した。


「ただ、初めて姉さんが公務する姿を見て、意外にちゃんとしていてびっくりしただけ」


 ぼやく。

 急に、姉が遠くなったように感じた。

 王子と結婚しても、子供を産んでも、皇太子妃になっても、マリアンヌは基本的に変わらないように見えた。だが、そうではなかったのだと知る。自分に変わったところを見せなかっただけなのだろう。

 もしくは、自分が姉の変わった部分から目を逸らしていたのかもしれない。


「マリアンヌは最初から意外とちゃんとしているだろう?」


 アルフレットは何を今さらという顔をした。


「何も考えていないように見えて、実は人一倍いろいろと考えているがマリアンヌだ」


 シエルが何に凹んでいるのかわからない。


「それはまあ、そうだけど……」


 シエルは納得出来ない顔をした。反論されて、アルフレットを睨む。


「そんなに寂しいのか?」


 アルフレットは笑った。


「寂しいとは言っていない」


 シエルはむきになる。

 子供みたいな言い合いを2人は続けた。

 それはいつものことなので、その場にいるほとんどの人間は気にしない。

 だが、オーレリアンは2人のやり取りを興味深そうに見ていた。


「仲良しなんですね」


 そんなことを言う。

 ふっと男爵は噴出した。くすくす笑う。

 シエルは恥ずかしくなった。笑う父を恨めしげに見る。


「仲良くないよ」


 シエルはオーレリアンに向かって、笑顔で否定した。仲良しだなんて認めるつもりはない。


「私は仲がいいつもりでいるけどね」


 アルフレットはそんなシエルをからかうように笑った。




仲良くやっています。

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