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苦労人

ハワードは気苦労がたえません。





 ハワードはシエルの帰りを待つともなく待っていた。

 マリアンヌの侍女に呼ばれて、シエルが部屋を出て行ってからけっこう経つ。仲のいい姉弟なので、いろいろ話したいことがあるのだろうと、ハワードはさほど気にしなかった。

 アルステリアで過ごす最後の夜を待ったりと過ごす。

 そこにシエルが戻ってきた。


「戻りました」


 ハワードに声をかける。


「お帰り」


 ハワードは微笑んだ。


「ずいふんゆっくりでしたね」


 何気なく、そう言う。マリアンヌがウリエルたちと会っていたなんて夢にも思っていなかった。

 どこか暢気な顔をしている。


「……」


 シエルは何とも微妙な顔をした。


「どうしました?」


 ハワードは首を傾げる。

 シエルは迷いながら、口を開いた。


「実は、姉さんが部屋を留守にするので、留守番していたのです。寝ている子供達を放ってはおけないので」


 打ち明ける。


「えっ……」


 ハワードは言葉に詰まった。


「マリアンヌ様はどちらに出かけたんですか?」


 当然の質問をする。

 嫌な予感がして、眉をしかめた。


「ウリエル様達と飲んでいました」


 シエルは答える。


「何でそんなことに……」


 ハワードは困惑した。


「そんな話、アルステリア側から何も聞いていません」


 渋い顔をする。

 連絡がなかったことを怒った。


「持ちかけたのは姉さんの方です」


 シエルは困った顔をする。


「どうしてそういうことに……」


 ハワードはわけがわからなかった。


「気になることがあると、放っておけない性格なんです」


 シエルはため息を吐く。


「一体、何を話してきたんですか?」


 ハワードは気になった。


「さあ?」


 シエルは首を捻る。


「私には言えないことみたいですが、ハワード様や公爵様には話すつもりのようです。明日、直接聞いてください」


 自分が知っていることを伝えた。


「この件、公爵様はご存知なのですか?」


 ハワードはルーズベルトのことを思い浮かべる。おそらく知らないだろうと思いながら、確認した。


「知らないと思います」


 シエルは苦く笑う。


「そうでしょうね」


 ハワードも苦笑した。

 知っていたら、止めないわけがない。

 イレギュラーなことをルーズベルトは嫌う性格だ。何事もなく終わってほっとしているのに、わざわざ波風を立てるようなことをするわけがない。


「何事もなく、マリアンヌ様は部屋に戻られたんですよね?」


 ハワードはシエルに問うた。


「もちろん」


 シエルは頷く。

 それを聞いて、とりあえずハワードは安堵した。だが、別の気がかりが胸の中で生まれる。


「この件、公爵様にお伝えしないと不味いですよね」


 ぼやくように呟いた。

 報告に行きたくない。

 行けば、ルーズベルトに愚痴られるのはわかっていた。ごちゃごちゃと、過ぎてしまったことについて言われるのは遠慮したい。


「明日、報告すればいいんじゃないですか?」


 シエルはそう言った。言いに行きたくないハワードの気持ちがわかる。

 ルーズベルトは堅物だ。


「話し合いはすでに終わったのですから、急を要することは何もありません。今日はもう遅いのですから、明日にされてはいかがですか?」


 シエルの提案に、ハワードはほっとする。


「じゃあ、明日にします」


 面倒なことは翌日に回すことにした。








夜中にぐちぐち言われるのは嫌なのです。><

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