別れと再会
試験が終わり、最後の報告にとお母さんと2人で塾にやってきた。
受付で入谷先生を呼んでもらおうとしたのだが。
「入谷先生は先週でお辞めになられました」
「「え?」」
あれから16年後、私は宣言通りデザイナーとして働いていた。あの頃の5人とは今でもよく飲みに行く。先生の教えを忠実にこなした結果、全員がやりたい仕事に就けた。唯は結局看護師になり、医師になった園倉くんと結婚をした。佐野くんも優佳と共に東工大に進んで研究課程に進み、つい去年卒業して結婚をした。私ひとり置いてけぼりを喰らったようだ。くそう。
「お昼入りまーす」
会社の端にあるテレビのある休憩スペースでお弁当を食べながらニュースを見ていた。
「あれ、優佳だ」
優佳から電話がかかってきた。今日は佐野くんのロケット打ち上げがあるのに。
「もしもし、優佳? どうしたの?」
「おぉ、久しぶりだな。星月」
「え……入谷先生?」
何故か電話口からは懐かしい声が聞こえてきた。
「そうだぞ。久しぶりだな、元気にしてたか?」
「元気にしてたか?じゃありません! 優佳は!」
久しぶりすぎて錯乱してきた。自分でもなに言ってるのかわからない。
「ごめんね百合愛! いろいろあって、今さっき先生と再会したんだ!」
「綾瀬と佐野にロケット発射場で会ってな。園倉や柴田にも連絡してもらった。とりあえず荷物まとめて早く来い。また後でな」
そう言って電話を切られた。
突然塾から消えたことなどいろいろ問い質さねばならないことがたくさんある。私は仕事を早退し、急いで北海道に向かった。
それが波乱の幕開けとも知らずに。
「私はイリヤ・ロード。北海道に特別行政区をつくることをここに宣言する」
最後までお読みいただきありがとうございました。
同じ世界線でイリヤを中心にした長編を執筆しています。タイトルの創造主はイリヤのことを指しますが、詳しくは長編をお待ち下さい。ブクマやコメントいただくと励みになります。よろしくお願いいたします。
(2020年1月30日追記)
『とある創造主の建国日記 〜愛娘たちのために全知全能をフル活用します〜』として公開しました。https://ncode.syosetu.com/n7506fz/