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最後の補習


 

 夏休み直前。私の塾人生でラストの補習が始まった。

 

「みんなや先生と出会ってもう半年だねー」

 

「そうだね。あの時はこんなことになるとは思ってなかったよ」

 

「確かに。でも、あの時僕たちはあの場に残り、先生に教えを乞うた。あの判断は間違ってなかったと思う」

 

 優佳の言葉を皮切りに、次々と当時のことを思い出しす。

 

「みんな嬉しいことを言ってくれるな。ありがとう。でも、まだまだ小4の夏休み前だ。これから勉強はどんどん難しくなっていく。それでも君たちならお互い協力しあって今後も乗り越えられると信じてるよ」

 

「先生、今日で最後みたいな言い方するね。そんなことないのに」

 

「ははっ、ごめんな。先生も半年前のこと思い出すと懐かしくなってしまって」

 

 そう明るく先生は唯に返す。しかし、私は今日が塾に来る最後の日になる。先生のおかげで無事に両親に認められ、明日から夏休みはずっと絵を描く。みんなに黙って辞めていいのだろうか。

 

「こうやって先生含めると6人が一緒に出会うなんて奇跡だと思ってる。だからこそこの出会いを大切にしてほしい」

 

 その先生の言葉でみんなに打ち明けることを決めた。

 

「みんな聞いてほしい。私は今日で塾を辞める」

 

「「「「え?」」」」

 

「私は絵を描くことが好き。勉強しながらだと絵を描けなくて去年1年間ずっと泣いていた。4年生になって先生に出会い、想いを打ち明けると『半年だけ頑張ろう』と言われた。だからみんなと同じように課題をやりながら、半年後に塾を辞めても勉強できるようにたくさん先生に教わってきた。黙っていてごめんなさい」

 

「そっか。百合愛と先生が決めたことなら私が何かいうことじゃない。頑張ってね応援してるから」

 

 優佳が泣きながら応援してくれた。

 

「なぁ、みんなで連絡先交換しようぜ! またいつでも遊びに来ていいし、みんなで集まったりしよう!」

 

「そうだね、それはいい」

 

 佐野くんの提案にみんな賛同してくれ、連絡先を交換した。

 

「星月、良かったな」

 

 先生にそう言われ、ついに泣いてしまった。

 

「先生、ほんとうにほんとうにありがとうございました。また遊びに来てもいいですか?」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

 先生は一瞬逡巡した後、そう答えてくれた。

 

「さぁ、夏休み前最後の月例テストに向けて、星月の最後のテストに向けて補習を始めようか」

 

 

次がラストになります。気に入っていただけましたら是非ブクマやコメントよろしくお願いします。

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