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クラス替え

 


 半年間私はずっとこの生活が続くと思っていた。だがそれが完全に間違いだということをいきなり思い知らされた。


「え? クラス発表?」


 すっかり今日まで忘れていた。あの月例テストがクラス分けの基準になることを。

 

「私は……Bクラスだ」

 

 私は春季講習から入谷先生の担当するクラスから外れてしまった。私だけではない。居残りしていた5人全員がAクラス〜Cクラスのどこかに上がっていた。

 

「私たちはBクラスだね。喜んでいいのかどうなのかわからないや」

 

 既に発表を見終わっていたのか、綾瀬さんに声をかけられた。

 

「そうだね。どうしたらいいんだろうね。クラス変わっても補習してくれたりしないかな」

 

 私はそう呟いてみると

 

「授業終わったら一緒に聞きに行ってみようか」

 

 綾瀬さんはそう言ってくれた。

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 今日の授業を終え、大量の宿題を抱えながら入谷先生を訪ねる。

 

「入谷先生は春季期間中はおやすみです」

 

「「「「「え。。。」」」」」

 

 休み時間に声かけて集合した5人は絶句した。

 

「あ、あの、辞めたわけじゃないんですよね?」

 

 たまらず私は聞いた。

 

「そうですね。4月からの授業には戻ってくるはずです」

 

 ほっと胸を撫で下ろす。また4月の授業始まったら来よう。

 

「ありがとうございます」


 

「今後どうしようか? 俺のクラスは宿題少なめだけど、綾瀬たちのクラスは多いだろ」

 

 佐野くんは一番上のクラスになった。なんでDクラスにいたんだよ。

 

「多いねー、これじゃあ先生の追加課題やる時間がないよ。授業もつまらないし、そもそも板書を取らなきゃいけないから授業が全然聞けない。あの授業に戻りたい」

 

 そうなんだよね。私たちの算数の授業は、入谷先生がダメな授業の典型として話していたあのノートを綺麗に作る授業だった。授業の内容は全然入ってこない。

 

「僕たちも宿題は多いね。でもBクラスほどじゃないかな」

 

 Cクラスになった園倉くんが私たちの宿題を聞いてそう言う。柴田さんも同じCクラスになった。

 

「とりあえず宿題はちゃんとやろうか。その上で、追加課題をやろう」

 

「そうですね。1ヶ月頑張ってきたんですから、宿題もすぐ終わらせられますよ」

 

 そうかなぁ。どうしても私は柴田さんの意見には同意できなかった。

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 家に帰り、入谷先生に言われた通り復習として基礎問題をやろうとした。不安は的中した。

 

 全然解けない。

 

 今日最初の授業で時間かかって、授業中に課題やる時間なかったから分からなかったけどここまでとは。

 

 仕方ない。教科書を読んで理解することにした。

 

 20分後。なんとか理解できた。

 

 あれ? 20分?

 

 確か、授業では60分も説明された気がする。もしかして1人で予習したほうが効率いいのでは?

 

 そして、理解した後は早かった。宿題がいかに多かろうと、解くスピードが昔とは桁違いなので今日中には全部終わりそうだった。

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 次の日、教室で昨日の夜のことを綾瀬さんに話した。すると


「私も全く同じこと思って、今日は予習してきたよ。百合愛も?」

 

 やはり同じ結論に至ったらしい。まあそうなるよね。

 

「さっき廊下で唯にも会ったけど、同じだったからきっと5人とも同じこと考えたみたいだね」

 

 この前まで赤の他人だった私たち5人。気づけば戦友のようになっていた。

 

 

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