猫神様っ
ご近所の神社ってにゃんこが奉られてるんだってさ☆
小動物スキー♪な私は毎朝出勤前に御参りですよ「今日も垂涎モノのらぶりーにゃんこと出会えます様に♪」
さ、出勤出勤。今日もコンクリートジャングルで油虫な部長に制裁呪文「その領収書は通りません」だぜ☆
そんな事を考えつつ境内の階段を降り様とするとっ……!
あぁぁぁあ!やっぱりヒールの高さ店員の言う通り低めにしとけば良かったぁぁあああ!!!!
「っきゃぁぁぁぁああああ!!!!」
近所の高台にある神社への参道を、見事な位にスッ転んだら何故だか身体が止まらない上に何だか視界が真っ暗になってるし、もう降ってるんだか昇ってるんだかサッパリ判らない位に平衡感覚ってなんでしたっけぇえええ!?
「もぉぉぉおおおう!背中痛い頭痛い何か角にぶつけた角にっっ!!止まってぇぇえ止めてぇえええっ誰かぁぁぁあ!神様ぁ っ助け て…っっ!!」
毎朝出勤前に参拝して行く神社の神様にすら苦し紛れに助けを求めてしまう、そんな事しても止まらないものは止まらな…
「っぐへふぅぅうっ☆」
乙女らしくない呻き声と腹部の激痛と引き換えに何かとぶつかって漸く転げるのは止まったらしい。うつ伏せに倒れたまま、暫くゲホゲホ咳をしてゆっくり深呼吸で腹部の痛みが引くのを待つ。
「すーはーすーはーひっひっふー☆」
…よし、頭がクラックラするのも落ち着いたし、きっと起き上がったら野次馬が遠巻きにスマホ向けてるんだろうなぁ。
くそぅ誰か1人位「大丈夫ですか?」なんて声を掛けるキラキライケメンとか現れても良くない?
…いや前言撤回、実際この状況でやられたら本気で困る。
うぅぅ恥ずか死ねるケド、周りに挨拶でもして何事も無かったかの様に出勤しよう。あ、その前に服もストッキングもぐっちゃだろうから部屋に戻らないと……よしっ女は度胸っ!いや愛嬌?
「いっやぁ!お騒がせしまし……た?」
…引き攣った笑顔を貼り付けて勢い良く起き上がった先には、私がぶつかったであろう高さにして3~40センチ程のミニ鳥居がちょいんと建っておりました。
「何……何処ここ?」
「だ、大丈夫ですか?」
茫然と周りを見渡す私に、ミニ鳥居の奥から掛かる声。
「……」
「………」
猫?
ミニ鳥居の向こうから真っ白なにゃんこが、恐る恐る近寄りつつ此方の様子を見てますがな。
あらやだどうしよう小動物堪らん可愛い撫でくり回したい喉ゴロゴロ鳴らせたい。
「…いや待て私、猫が喋ってるのは超絶世界不思議発見。」
「あの、一応貴女が毎日参拝に来てくれる神社の猫神なんですが。」
な ら ば 無 問 題 ☆
ほーらほらにゃんこよお姉さんのお膝においでー☆と言わんばかりに膝をポンポンすると、尻尾をピンとはって小走りで鳥居をくぐるとー
ポンッ☆
気の抜ける音と共に現れたのは、真っ白な毛…もとい髪の毛に、身長は私の膝下位のちみっこ猫耳+尻尾付きな坊っちゃん。
神社だからか宮司さんの様なお召し物が大変お似合い。
あまりの可愛らしさに固まる私の膝にちょこんと座り、背中を預けて「えへへへ☆」と笑顔で見上げる猫神様に私の亀の子束子並みに毛の生えた心臓はズッギュウウゥンと射ぬかれたのでした…。
「ところで猫神様、ここは何処ですかねぇ?(撫でくり撫でくり)周りが霞がかっててよく見えないんですよー、…綿菓子の国?」
「神様の領域ですよー、転がってる拍子に何故か入り込んじゃったみたいなんですよねー。(尻尾ゆーらゆら)うふふっ、霞は仙人さん達の食事には違いないですから綿菓子みたいってのも強ち間違いでは無いですよねー。」
「そっかー入り込んじゃったかー。じゃあ仕方がないかなー☆(撫でくり撫でくり)」
ごめんよ猫神様、鳥居があるって事は私ったら玄関先でスッ転んで大きな音を立ててたって事なんだね。そりゃ様子も見に来るわな☆
左手は猫神様のお腹部分で固定、右手はお詫びといわんばかりに耳の後ろ・頬・喉やら首回りを撫でくり回す。
っ!猫神様がゴロゴロ喉を鳴らした、よっしゃあぁぁあ堕としたよお父さんっっ☆貴方の娘は人間の男には見向きもされない年齢=彼氏居ない歴でしたが、この不思議世界では犯罪級にプリチーなショタぬこ神様を堕天させる事は出来ましたぁぁあ!
猫神様が目を細めてて、此方を見てない事を良いことに幸甚の涙を流してたら…あらま?何やら上空にキラリと光物が凄い勢いで「猫神ィイイイイ!!」…凄い勢いで虎柄の猫耳な子が落ち…もとい降臨?あんな上空から無事に着地出来るのはやはり猫だからかーと妙に感心してしまう。
「おま、お前の周辺で何か変な波動を感じたんで俺様慌ててててててっ!!」
おおぅそこの虎猫坊や、その変な波動は多分私。心配だったんだろうなー、猫神様を膝上で抱っこしてる私は目に入って無い模様。
「あー、ケット・シー君~。大丈夫ですよ、ちょっと人間の女の人が迷い込んできちゃったみたいなんです。」
ニコニコ笑顔で答える猫神様に対して茫然とした顔の虎猫坊や。あらら坊やと思ったらタータンチャックのスカートですな。…ケット・シーって何かのファンタジーなゲームに居たよなぁ。確かアイルランドの猫妖精。
なら男性でもスカートっぽい民族衣装着てるよねぇ、じゃあ坊やだね。うんうん納得。
「人間の…女?」
と、怪訝そうにケット・シー君。
「はい♪」
と、猫神様。
「どもー☆」
と、猫神様を撫でながら挨拶する私。
ケット・シー君の視線が猫神様から上へー
「人間の女ァァァァア!?」
こそーーっと頭を撫でようとした私の右手に爪が一閃、攻撃と共に後ろへ飛び下がる。ううぬ、やるなオヌシ。そして猫神様、傷を舐めてくれるのはhshsする程嬉しいのですが舌のザラザラが地味に痛い地味に。
「人間の癖に気安く触ろうとするんじゃねぇよ!このブーーーーースゥッ!!」
「おぅおぅ、全身の毛ェ逆立てて出た台詞が小学生低学年並みの悪口とは可愛いねぇ。因みに種族が全く異なるので、容姿についての悪口は負けニャンコの遠吠えですよケット・シーちゃん☆」
そんな猫にはこうしてあげます。
ぱららぱっぱらー♪階段落ちの際に必死こいてた結果掴んでた木の枝~☆(先端葉っぱ付き)
軽く地面をパシンっとすると猫耳が横を向いて目の瞳孔がクワッとひろがり…をー、威嚇してる威嚇してる。ついでに尻尾を叩きつけてるからイライラもしてんなー、やっぱ猫神様を抱いたままだからかなー。
おもむろに枝を高く掲げた私に「…っ人間風情がこの俺様に何しようってんだ!」なーんてニャンニャン喚くけどむしろごちそうさまです(鼻血)
「大体っ「必殺ぅ!スーパーボールの舞いっ」」
長々と続きそうだった話をぶったぎって繰り出したのはそう、ペットショップのガラス越しのにゃんこわんこに大好評[スーパーボールの様な動き]である。先端葉っぱをボールに見立てて、完全弾性衝突とか反発係数がどーとか高校生物理の世界の話な動きをすればあーら不思議。
もう顔ごと動きを追っているケット・シーちゃんの出来上がり☆
「ついでに最近の仲良く喧嘩するニャンコとネズミアニメは喋るようになったのが大変残念無念なネズミの方の舞いっ」
タイトルは長いけど何て事はない、小動物の様な動きで自分の体の後ろに枝を持ってくるだけでーー
ほーらケット・シーちゃん釣ーれた☆
「にゃおおおおおおおおおおおん☆」
ほーらほら、目の前でワッシャワッシャ振るよりもこの生き物の様な動きが魅力的であろう?ヲホホホホホ☆
ふと気付くと膝が寒い、…あ、猫神様までもが夢中になってらっさる。はぁあ白猫と虎猫がキラッキラ笑顔で組んずほぐれつ組んずほぐれつ…、なんだろうここは天国でしょうかお母さん。
力の限りジャレて、笑顔でゼハゼハしてる2人をよーしよしとワッシャワッシャ撫でてたら「猫神様ァァアアアア」…新手でしょうかまたもや上空から光る物体が。…あ、今回はふわっと降臨。
「何やら邪な気が貴方様の側にありましたので、わたくし居ても立ってもいられず様子を見に来ましたのっっ!」
をやをやをや、今度はアーモンドの様なおっきいおめめのエキゾチックな美人黒にゃんこちゃん。
「あー、バステトちゃーん。大丈夫ですよー、ちょっと人間の女の人が」
「人間の女…?」
「どーもー」
ケット・シーちゃんと同じパターンでやっぱり警戒されてますよ。ならば必殺木の枝は……あ、女の子だからかもっと警戒されてしまった。後退りしながら涙目で「フシャアアアッ」なんて言ってて可愛いけども罪悪感半端無い。
うーんうーんうーーーん何か無いかなぁ、なんて考えながら脇に抱えてたバッグを漁る。
「何をしようって言うんですのっ!?負けませんわよ、わたくしは災難を払う家の守護神エジプトのバステト!貴女なんかに貴女なんかにっ…!」
溢れそうな涙をうるうるさせて何とか踏ん張ってるバステトちゃん。五体投地で謝りたくなる光景だけどグッと堪えてバッグから取り出しましたるはー
ぱららぱっぱらー♪スプレーホイップゥゥ☆
説明しよう、スプレーホイップとは。
その名の通りの[缶入りホイップクリーム]の事である。ほんのり甘いのでコーヒー・パンケーキ・アイスクリーム等に気軽に使えて超便利☆因みに私は、職場で頂くコーヒーに山盛りショワワワする為に持ってました。
親指にショワワワッと出して先ずは猫神様の鼻先に差し出す、急に出てきたクリームに目を丸くしてたけどもちょっとフンフン匂いを嗅いでヒトクチぺろりん☆(鼻血)
目を輝かせてぺろぺろぺろぺろしだした猫神様を見て、興味深めに近寄って来たケット・シーちゃんの為に今度は小指にショワワワ☆ををぅ、ケット・シーちゃんは甘噛みタイプですかそうですか(吐血)
2匹が夢中になってるのをポカンと見ているバステトちゃんの為に、中指にショワワワ☆親指・中指・小指にクリーム、残りの指を曲げると妖怪人間ベムの手ソックリになるのは余談である。
さぁバステトちゃんおいでー☆とばかりにチッチッチッチッと舌を鳴らせば、クリームに夢中になって一向に彼女に見向きもしない残念男子達が気になるのか恐る恐る近寄って来る。
フンフンと匂いを嗅いで…目を閉じつつ思いきってヒトクチかぷっ☆
をー、流石はおんにゃのこ。甘いもの好きなんだねぇ花のような笑顔がぱぁぁっと広がりましたぜ☆甘いもので懐柔大作戦成功せりぃぃいいい♪
ほーらほらもっとお食べ~と、指じゃ足りないとばかりに手のひらにショワワワッと出す。ぺろぺろがじがじぱくぱくペロペロガジガジパクパク…。どうして私はスプレーホイップ箱買いしなかったんだろうorz
遺憾千万の涙が溢れない様に上を向いて耐えていると…をや、遠くの空がキラキラ眩しい。
「猫神ぃー」「猫神様ぁぁー」「猫神しゃーん」「猫神君ンンンン」「…☆☆」「…!」「」「」
「あー、シャ・ノワールちゃんにアダンダラ君金華猫さんと猫又っちにグリマルキンさんとリンクスにベータラーちゃんと猫南瓜に…あれは…」
…現世のお父さんお母さん、私は今神様の世界で至福の時を過ごしております。
どうやったら帰れるのか、何で猫耳まみれなのかは謎ですが…あなた方の子供ですもの☆幸せになってみせましょうぞ。
取り合えず生クリームで何匹懐柔出来るかなぁー♪
厳密に言うと、猫南瓜は和歌山県の民話です。インパクト強かったんで出してみた☆
他は世界の猫の姿の神様だったり妖怪だったり妖精だったり、みんな猫好きだねぇ。
良い子のお約束:にゃんこに生クリームあげたい時は砂糖無しでね☆
余談だけどにゃんこは生クリームあげるとひたすら舐めます。かじったりしません、ひたすらぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。可愛いのぅ可愛いのぅ
取り合えずどんなに頑張っても小動物に好かれず涙目のオイラの奥さんに捧ぐ☆