8話 ライバル同士
「今日、用事あるから一人で帰るね」
私は今日寄りたい所があったので帰りは李玖とではなく、一人で帰る事にした。
寄りたい所とは本屋だ。
本屋なら李玖と寄っても良かったけど李玖の家と反対方向だがら断った。
李玖にそういったら無理して着いてくると思うから無理させたくない。
と、いう訳で一人で帰ってるあたしです。
「喋り相手がいないのは辛いな〜」独り言を呟く。だが誰も反応しない。寂しいなー・・・。
本屋は学校からでて徒歩20分。結構遠い。だがあたしは近道を知ってるからへっちゃらだわ!
近道と言うのは建物と建物の間の道だ。ココを通るとわりと早く行ける。あたしは前ここを通ったときに見つけたのである!
「よいしょっ・・・と。相変わらず狭いなー」建物と建物の間はわずか50cmほど。肩幅の広い人は通れないと思う。しかも足元は空き缶などがちらばり、さらに歩きにくい。
わりとスムーズに歩けてるぞ、あたし!あともう少し・・・。
その時。
ドシンっ!
「わきゃっ!だ、誰!?」ぶつかった・・・けど、人はいない。人影も見当たらない。
「俺だよ俺」
聞き覚えのある声・・・・。
「い、一ノ宮さん!?」
「大当たり〜。とりあえずココ暗いから出ようか」
「は・はい...」
あたしと一ノ宮さんはとりあいえず出る事にした。空き缶が足にぶつかったりもしたけどなんとか通り抜けられた。
「で・何してたのあんなトコで」
「こっちのセリフよっ」
「俺はあそこを近道にしてたんだよ。で、今は帰ってたとこにぶつかった」
「え・どこ行ってたの?」
「秘密」
「なっ」
「それにしても。ここで話すのもなんだし、どっか行かない?」
「え〜・・・・」
「えーとはなんだ、えーとは。話たい事あるしさ。俺のおごりでもいいから」
「行く!」おごってもらえるんだったら当然行きたい!
「・・・じゃ・行こうか」一ノ宮さんは苦笑しながらも、歩き出した。あたしもそれに続いて
歩き出した。
あたし達が着いたのは、「M」の黄色い文字に赤い看板のお店。
「え・マック!?」
「うん・そう。どこからどうみてもマック」
「えー。安いトコでおごりなんてずるいじゃんかー」
「安さうえに旨いんだよコレ」
「・・・そうだけど」
「ね・何食う?」
「ビックマック・ハンバーガー・ポテト・ナゲット・サラダディッシュにコーラ・ソフトクリームぐらいかな」
「え・結構食うじゃん!しかもビックマックって」
「・・・・?普通だよ?」
「普通じゃないって....」
「え〜普通だって!それより・一ノ宮さんは何食べるの?」
「あ・俺?ハンバーガーかな」
「えっ!少っっ」
「菊来さんが普通じゃないと思うな・・・夕食前にそんなに食う人といないと思うし」と、ニッコリと微笑む一ノ宮さん。時々李玖が『一ノ宮の微笑みは悪だ悪!不吉な事が起きる!』とか行ってるけどそんな事無いと思うな、あたし。(おごってくれたしね)
適当な席にカタリとあたし達は座った。
よし、食べるぞ!
あたしは目の前にある食べ物(ビックマック)に手を伸ばし、かぶりついた。
もくもくと食べるあたしに一ノ宮さんは苦笑。「よく食べるなー。本当に女の子なの?」
「ほーだよ゛。お゛んふぁほのごだほ」
「・・・・・。もう一回。今度は食べてから言ってよ」
「そーだよ。女の子だよ」あたしはそれだけ言うともくもくとまたビックマックにかぶりつく。これ、ビックマックとかいってるけどたいしたことないな・・・。
「菊来ってさー・・・食べ物の事になると口数少なくなるな」
「ぼーだよ(そーだよ)」もぐもぐもぐ。
「ね・これ見てみな」と言い、携帯を取り出した。そしてビックマックを食べ終えた私にビッと突き出す。
そこには涙でぐしゃぐしゃになったあたしがいた。も・し・か・し・て.......
「李玖が送ってきた。面白いでしょ、この顔」と、ニヤリと笑った。どこが面白いんだ、こんな写真!
「・・・このヤロ...!」私はさっき思った事を訂正しよう。コイツは悪だ!
握り拳に力を入れた。
「何度見ても笑えるよな。この顔」
あたしはその瞬間に一ノ宮和の憎たらしい微笑みを浮かべる顔に力いっぱい叩いた。
パチーンッ!
鈍い音がした。その音に皆が反応して振り向いた。
「女をからかうと、こうゆうことになるのよ!」
「はい・・・」一ノ宮さんの頬には、くっきりと手の後がついていたけど無視!
「それで...話って?まさかこの写真の事じゃないよね?」
「違うって・・・ちょっと聞きたい事があってね....」晴れ上がった頬を痛そうにする一ノ宮さん。(けど無視!)
「・・・・君さ、李玖の事好きだよね?」
・・・キミサ、リクノコトスキダヨネ?
「・・・・・・・は?」あたしはそれを聞いて一瞬固まった(と思う)。今、何ていった?
「李玖の事好きだよね?菊来って」
「なっ・・・!違うっ!」みるみるうちに顔が赤くなるのが自分でも分かる。嫌。恥ずかしい。
「図星じゃん。そんなに赤くなっちゃって」
「女なのあたしは!赤くなったのはびっくりしてるだけ!」
「女でもいいじゃん?」
「ちょっ.....もういい!帰る!」と、あたしは食べ物をバックに詰めた。席を立ち上がり行こうとすると、一ノ宮さんが笑う。「食べ物は持って帰るんだね」
うるさーいっ!!!!、と思ったけど声には出さない。出した瞬間に泣きそうになる。
マックを出ると涼しい風が吹き寄せてきた。もう日は沈み、真っ暗になっていた。
あたしの赤くなった頬もなんとなく元に戻ってきた。
あたしはふと一ノ宮さんのニヤニヤ笑いを思い出す。・・・・今度からは李玖と一緒に血祭にあげよう!(←ヒドイ;)
あたしはそう思いながらも、ずんずん歩いた。バックの中の食べ物が重い。
あたしの李玖の思いは雪の様に降り積もっている事も知らずに・・・。
次回からは李玖視点に戻ります。時々、誰が主人公か分からなくなる時があります;(苦笑&ネット小説の人気投票に参加しています!投票していただけると励みになります。(月1回)