3話 龍之介先生は超KY!
俺と菊来さんは2−2へと着いた。
なんとなく....だがここまでの道のりが長かったような気がするのは気のせいだろうか・・・。
俺達は緑色の黒板に貼ってある席順の真っ白い紙を見た。紙に教室の簡単な図が書かれていた。のんびりと自分の席を見つけようとしたその瞬間。
「きゃぁーーーーーーーーーーっ!」
この声は・・・
「菊来さん?」俺は隣で飛び跳ねながら「やったー」と言っている菊来さんを見た。
「良かったーっ。李玖ちゃんと隣〜〜!」
・・・・・・・・・・・そゆこと。
「ねー李玖ちゃんっ運命的だよねぇー」菊来さんは感動しているのかピョコピョコ跳ねていた。(なぜ跳ねるのかは知らねーけど....)
菊来さんと俺は隣同士だった。(この事に感動して叫んだらしい)
ちなみに俺から見て菊来さんは廊下側の右側の席。
「ねー!そう思わない?」
「あ....ああ」
「ごっ・・・・御免・・・・。迷惑だった?」
うるっと菊来さんの瞳がにじむ。俺はあわてて訂正。「違う違う!迷惑じゃないって!」
「有り難う!」と、ニコリと笑った。菊来さんは笑うと可愛い、と思う。
そういえば今度は抱きついてこなかった・・・・・って何ガッカリしてんだ俺///
俺は深呼吸で心を落ち着かせた。・・・・よし!
「じゃ、席に着こうか」
「いいよ〜」
そして、俺らは席に着いた。ガタリと音をたてて席に座る。前から3番目・・・なかなかいい席かな。・・・とかなんとか思う。
そいえば。
男の頃の友達は俺の事・・・覚えてるだろうか?
いや!覚えてるよな!きっと!友達だしっ!
俺は淡い期待をこめ、男だった時の友達に会いに行く事にした。そして立ち上がる。
「あのー・・・李玖ちゃん?先生くるよ・・・?どこ行くの?」
「あ・すぐ終わる終わる!」テキトーに返事。俺は男の頃の友達に軽い足取りで会いに行った。
*
2−5にて。俺は2−5にいる男だった時の友達で一番仲の良かった宮本健司に会いに行った。で、2−5の傍らに居た男に宮本を呼んでほしいと頼んだのだが・・・・。
「なっ!コイツ誰なんだよっ!新学期だってのにいきなり呼び出されて!」呼んでと頼まれた男が宮本にせきたてる。コイツに呼んでと頼んだのは地雷だったようだ。
男に「なんでもねーよ」と言い追い払うと、宮本はだるそうな顔で俺を見つめた。「で、俺に何のよう?ってか誰?」
「は?お前・・・俺の事覚えてねーのか?」
「・・・・・全くもって知らないんだが...しかも女の子は自分で俺とか言わないほうがいいぞ」
俺は宮本の注意など耳に入らなかった。くるりと方向を変えて、宮本に一言。「・・・・・・わざわざ呼び出して御免。じゃ」
「え?あぁ」
俺は宮本に背を向けて2−2へと走った。2−5からはさっきの呼び出してと頼んだ男の声。「なんかあったのか〜?」と聞こえた。それに答える宮本の声。「なんにもないよ、多分」
・・・・・・なんにもあるしっ!
結果・・・誰も覚えてないみたいだ......。最悪、宮本のアホ!忘れ魔!(←ヒドイ;)
*
教室に帰ると菊来が俺の机の隣で待っていた。
「早いじゃん・・・ってゆうか何かあったの?」
「・・・・ないよ(本当はある)」
「・・・・ごっ御免!あたしったら本当に迷惑な事言ったよね・・・・・うっ」瞳に涙がたまる。ヤバイ!!
「無いって!菊来さんっ!」
「本当・・・・・・?」
「うんうん!」
「ありがとっ!」菊来さんの明るい笑顔。良かった・・・。
ガラガラ.....
するとタイミング良く先生が扉をガラガラと開け入ってきた。
「おーい皆さっさと席につけぇー、始業式の前に話をするぞぉー」
先生はオッサン・・・って感じ。皆にオッサンの絵描いてといわれたらこの先生の様な人をだいたいは描くだろう...それほどオッサンのイメージがぴったりの中年オッサン(?)だ。
「えー・・・コホン、私の名前はーー前川龍之介というのであーるぅ。宜しくなのだぁ」
「あはは・・・ぅ」俺は笑い出しそうなのを必死に止めた。だってこの喋り方・・・・。「あーる」とか「なのだ」なんて今ドキ使うやついるかよ!しかも語尾に小さく「ぅ」とか「ぁ」とか言ってる・・・・。しかも名前が見た目とウラハラに渋い!
こんな先生いるかよ!つか、こうゆう奴自体いんのかよ!
つっこみたくなる口を必死におさえた。駄目だ...先生の姿を見るだけで・・・
周りの皆を見ると、皆も龍之介先生に目を合わさないようにしながら笑いを必死でこたえていた。
皆が必死だというのに、龍之介先生は喋り続けた。
「ではぁ〜皆さん。私が軽くじこっ・・・自己紹介をぉっ」
・・・・・・・・・・・噛んだ。
しかも思いっきり。
しかも2回!!
俺達は耐え切れなくなってイッキにドッとふきだした。中には涙まで出る人も。
「先生ぇー!可笑しすぎー!」
「そうそう!あはは...」
「だってさーこのギャップで名前が龍之介?おかしくねぇー!」
「しかも巻き舌だし!つーか何時代の人?初めてみたっ!こういう奴っ」
「俺も俺もー!」
「先生マジKYじゃねえー?」
皆は口々に言い合い、大笑いした。龍之介先生を除いては・・・。
「なぁ、KYってなんなのだぁ?」
龍之介先生は、のんび〜りとした口調で訪ねる。皆はその言葉も可笑しくて大笑いしたのだった。
KYとは空気読めない,,,という意味ですw龍之介先生は超KYですが...(笑w(^^* 次回からは多分のんびり更新になると思います。そしてコメくださった和藤渚さん有り難うございました!