19話 落ちていく。深い、闇の中へ・・・。
キィィィイイー・・・・
「案外楽に開いたな・・・」
一ノ宮さんが隣でぼそりと呟いた。
あたし・・・菊来紅葉は映画館に居た筈なんだけど何かいきなり一ノ宮さんに連れ出されて(詳しく言うと黒塗りの大きな車に乗って)大きな屋敷の前にいる。どこなんだろう、これ・・・。
「菊来さん、行こう」前に進もうとする一ノ宮さん。あたしは「えっ」と声をだす。まって。話と状況が飲み込めない。
「ちょ、ちょっと待ってよッ!」
「・・・?どうしたの」
「状況が飲み込めないんだけど...」
「・・・」
「おーい・・・」
一ノ宮さんは急に黙りこむ。そんに教えたくない事なのだろううか・・・ってもしかして泥棒でもするつもり!?それであたしを巻き込もうって訳なのかな!?うーん・・・でも一ノ宮さんって泥棒とかする程お金に困ってそうじゃないしー・・・・。どうなんだろ一体。
「ねーね・・・どういう事なのー?」
「うーん・・・行こっか☆」
「は!?えぇ!?何!?何なのッ!?」
一ノ宮さんはそれだけさらりと言ってのけるとスタスタと早足になった。あたしも早歩きで追いかける。
いつの間にかもう玄関・・・というかホールっていうのかな・・・多分ホールみたいな所にまで来ている。これじゃあ不法侵入ッ!?だよね!?あわあわと頭の中が不法侵入→泥棒→警察行き・・・という結果に辿り着いている。ぎゃー!ヤバイ!やば過ぎる!!!
「い、ち、の、や、さんッ!!」
この状況をどうにかしなければッ!!!というあたしの懸命な態度によって一ノ宮さんは救われるのよ!(←違う
泥棒行為を止めようと大声で呼びかける。意外にも一ノ宮さんは驚いた顔をしてあたしの方を振り向く。
「わっ!?静かにして!」
とか言いつつ自分も大声だしちゃってる癖に・・・、という事は口には出さない。
「とにかく・・・犯罪行為は警察行きだよ止めなさい今直ぐにッ!」
ふっ・・・決まった!!
ついでにカッコよくポーズも決めておく。
一ノ宮さんはポカン、と呆気らかんとした表情になった・・・と思ったのはほんの数秒で直ぐに笑い顔になる。
「ははははっ・・・何言ってんの菊来さんっ・・・あはははは」
「な」何が可笑しいのよ、という前に一ノ宮さんが言葉を続ける。
「俺は別にこんな所に泥棒をしにきた訳でも変な事しにきた訳でもないよ・・・。俺の目的は、李玖を助け出す事」
「・・・はぁ!??」
どうして此処に李玖が出てくるのよ、と言おうと口を開きかけふと止まる。
・・・そういえば李玖ちゃんが消えた時、天宮さんと一緒だった・・・。
「分かった?つまり光は李玖を拉致したんだよ。自分の都合の為に、ね・・・全く昔っからあいつは欲が強くて・・・」
ぶつぶつと愚痴り始めた一ノ宮さんはまるで子供の様だった。
いや、何ていうか子供なんだけどいつもの何考えてるか分からないそんな一ノ宮さんじゃなくて・・・そう、もっとこう・・・子供らしい無邪気な感じだ。
何か、可愛い。
そう思いつつも口には出さず歩く。
「一ノ宮さん」
「え?」
「天宮さんの事好きなんだね〜」
「・・・・・・・・え!?はぁ!?」
「何となく☆」
一ノ宮さんはあたふたとし始める。何か今日の一ノ宮さん面白いなぁ・・・。これは先刻教えてくれなかった仕返しでいっか・・・。
そんな事をしながらも大きな扉(どれも大きいけどこの扉の方が少しだけ大きい様な気がする)の前にきて一ノ宮さんはピタリと止まる。あたしもつられて止まる。
「?」
「此処だと思うんだけど・・・」
「此処なの・・・?李玖が居る所」
「うーん・・・多分居ると思うんだよね」
そういえば何処か知った様な足取りだった。一ノ宮さんは何故此処が分かるのだろう・・・?此処はもしかして、じゃなくて絶対、
そう考えていた時、バターンッと勢いよく扉が開く。近くに居た一ノ宮さんが扉に顔面を打つかる。
「っ!?」
「いらっしゃーい☆不法侵入はいけない事だけど貴方達だから特別許してあげるわ〜・・・って和、大丈夫?」
出てきたのは天宮光さんだった。
「お前絶対わざとやっただろ・・・」
「え〜?何の事〜???」
「で、李玖は何処?」
一ノ宮さんが急に話題を摩り替える。天宮さんはふふ、と鼻で笑ってあたし達の方を手招きした。
「まーとりあえず私の部屋に入って頂戴」
てくてくと警戒心0であたしは部屋に入る。意外にも予想していたド派手な部屋とは違って、シンプルで落ち着いた部屋だった。白いベットに白いカーテン。白い床に白い壁。家具はタンスと本棚と机位・・・。
一ノ宮さんによると天宮さんが李玖を拉致したらしい――――が。
部屋の何処にも李玖は居ない。と、一ノ宮さんは口を開いた。
「何処にやった?李玖を」
静かな沈黙。腕時計のカチコチという音が機械的に響く。
「何処へやったと思う?」
「おまっ・・・ふざけ」
「だーかーらー本当に知らないのよ―――。だから賭けをしない?」
「か、賭けぇ?」行き成り出てきた言葉に驚き思わず声が出てしまった。どうして賭けになるのよ、と言いたいが真剣な表情なので言葉を飲み込む。
「そう、賭け。李玖ちゃんはきっとこの屋敷の何処かに居るわ。で、李玖ちゃんを探し出して見つけたら和達の勝ち。その時は李玖ちゃんを返すわ。で、負けたら――――」天宮さんは一旦言葉を切り、続ける。
「李玖と結婚させてもらうわ♪期限は一時間」
「え・・・」「ちょっ・・・」
「じゃーやるわよぉー私はこの部屋で待ってるから。3,2、」
「なっ・・・選択権はないのッ!?天宮さん!!」
「無い♪」
「え」
「1,0―――!」
0、と言った瞬間に天宮さんは隣の壁に寄りかかる・・・と思ったら床がパカッと開いた。
言うまでもなく落ちていく。深い、闇の中へ・・・。
もうすぐ最終回?なのかどうなのか(え
書き方なんとなーく変えてみたというより修行しました。一話と比べてみると全然違いますよーvやっとド素人→素人になったのかなー笑(いや、前よりも見にくくなってるかも涙
そういえば菊来さん視点は楽しい事に気づきました。変えちゃうか主人公(おい
それにしても天宮さんのキャラが回を越す事に我侭&やばいキャラになっていく...天宮さん暴走中。読者の方で着いていけなくなった方、気分が悪くなった方はすぐに読むのを止め、外の新鮮な空気をたくさん吸いましょう。
&この回を待ち続けてくれた人へ(居ないか...
本当に御免なさいそして本当に有り難う御座います。
やる気が無くてだらだらと過ごしていましたが、書いて見た方がいい!という訳でイッキに書き上げました。何か楽しかったです(^-^*
それで消そうか消さないかと思っていた時に「頑張ってください。応援しています」の感想(?)をくれたBOBOさん、励みになりました(嬉涙
でもってアクセス数が本当に多くて(自分的)に待ち続けてる人がいるのかもと思いとても励みになりました。
最終回まで頑張りたいと思った自分でした(&次回からもっと早く更新したい笑
お知らせ*リレー小説感覚で小説をまた別に書いています。(名前違いますが涙)
よければ見ていって下さいませー暇つぶしにどぞ。因みにペンネームは蜜月です。
「ありきたりな僕等の。」 http://ncode.syosetu.com/n1361e/
感想はStrike!とまた別にお願いします。(愛のキャラが菊来さんと被ってそうな気が・・・涙