1話 新学期
新学期・・・―――。
ある意味、生徒達には嫌〜な日である。わざわざ早起きして、制服きてイチイチ学校に行かなければならないという日だ。
当然俺も行きたくない。
「ふぁああ〜眠っ〜〜」
「ほらー李玖っ。早く食べてしまいなさい。冷めるわよー」母さんは何事もないようにパタパタと動き回っていた。
「そーそ。姉ちゃんただでさえ朝苦手なんやし」
「だってさぁー・・・学校の為に早起きすんのってダリーじゃん?な・そう思うよな!由愛っ」
「・・・・怠け者」
「うっせーっ!これでも忙しいんだよっ」
「いいかげんその喋り方止めたらー?男みたいやよー」
「おまっ・・・・さりげなくスルーすんなよっっ」
「姉ちゃんだってー」
「まーまーその位にしてっ。食べたら学校行きなさいよっ」
「「うるせーっ」」
「なんか行った?」と、凄い眼つきでギロリ。
「「いっ・・・いえ!」」
俺らはなんか知らないけどもくもくと朝食を食べるのに集中した。
それにしても.....
母さん達は(つまり由愛とか友達とか)俺の男だった時の事覚えているのだろうか?
覚えてるよな・・・・多分.....
「な・母さん、由愛」
「何?」「なんや?用件は手短にね」
「お前ら・・・俺が男だった事覚えてるか?」
「「・・・・・・は?」」二人でハモル。
「だからー!俺が男だった事覚えてるか?なんか朝起きたらこんな姿になっちまったんだよ!」俺は少々キレぎみで説明する。俺だって一応混乱してるんだからな!
真剣な俺にたいして二人は一瞬黙りこんだ。
だが.....
二人は同時にふきだして笑い始めたのである!
「なっ・・・・なんだよ母さん、由愛!笑うなよっ!俺だって本気なんだぞ!」
「はいはい...あんたの言いたい事は十分分かったから早く食べて学校いきなさい。でないと遅れるわよ、新学期なのに」母さんは笑いをこらえながらも俺を馬鹿にしたような口調でサラリと話題を受け流した。それに由愛も付け足すように言う。「そーそ。今日、何か変やと思ってたらそのせいやったんか。頭でも打ったんちゃう?」
「なっ・・・・」
「そうそう!気にしない気にしない!」母さんは俺に構ってられんといわんばかりに家事を続行した。
「気にしない奴がいるかよっ!」
「何かご不満でも?」と、ギロリ。その眼つきが酷く、恐ろしいモノだったので俺はすぐさま「いぇっ!」と言い、もくもくと朝食を口に運んだ。
ああ、悲しいな、俺...こんなに弱いんだ・・・・。
「じゃなくてー、お母さんが恐いんちゃう?」
「うわっ!勝手に人の心の中読むなよ!由愛っ!」
「きょほほほほ〜」
「何気に誤魔化すなっしかも気持ちの悪い笑い声だすなよ〜」
「早く食べなさいっ!遅れるわよっ!!」と、またもやギロリ。
「はい....」
二人は縮こまり、必死に朝食を食べた。
*
「何年何組・・・・あー学年は同じだったかー」李玖は玄関に張り付けられた組が書かれた紙を見ながらぼやいていた。毎年クラス変えがあるので新学期は皆ドキドキしている。ちなみに今年で中2だ。すると肩を軽く叩かれた。振り向くと自分より頭一つ分くらい低い中性的な女の子が立っていた。(ちなみに顔も中性的)
「あ・水野さんって2組だよね〜アタシもなんだ!一緒に行かない?」
「え・そうなんだ・・・2組なのか〜自分は。初めてなったなー2組...」ぼやや〜っ、マイ・ワールドに入ってると女の子が「おーい」と声をかけてきた。
「水野さん?」
「あ・御免御免....OーK。えと・・・」
「菊来紅葉よ!宜しくね、水野さん。あ・李玖ちゃんって呼んでいいかな?」それだけいうとニコリと笑った。うわ、可愛いかも。
落ち着け!俺!
ドキドキしている心を落ち着かせる為深呼吸。うん。だいぶ楽になった・・・。
「よ、宜しくな〜。あと、いいよ。ちゃん付けで」
「ありがと。じゃ、行こうか」
「あ・・・・あぁ」
こうして、俺らは2−2に向かって歩き出したのだった。
短いです。で、プロローグと終わり方がすごく似てます!&ネット小説の人気投票に参加しています!投票していただけると励みになります。(月1回)