18話 罠に掛かった兎
遅い・・・。
俺・・・一ノ宮和は妙にいらいらする気持ちを抑えながら席を立った。
もう映画が終わったというのに・・・遅すぎる・・・。
「遅いね・・・李玖達」
菊来も同じように席を立つ。
「・・・・そうだね」
何かがおかしい・・・。
光は相当の恐がりだ。それは分かる。
だが本来の光だったら・・・絶対に見ないでおくと思う。
・・・・もしかして。
「・・・・菊来」
「ん?」
「どうして俺らがこのデパートにいるって分かった?」
「えーと・・・それはー・・・・」
「嘘は付かないでね」
「天宮さんが・・・言ってたから・・・」
「・・・!それ本当?」
ってことは・・・・
「菊来」
「え?さっきからどしたの〜?」
「全部罠だよ。光のね」そして俺は小さく微笑んで見せた。
*
眠たい。かなり。
俺が激しい眠気を戦いながら目をうっすらと開けた。
・・・・どうやら自分は眠っていた様だ。
真っ白な天井に向かって軽く伸びた。それと同時に瞼がまた落ちてきそうになる。
それにしても。
「ここはドコなんだ・・・一体・・・」
俺はゆっくりと蘇える記憶をフルスピードで思い出そうとする。
「確か・・・・天宮さんとベンチに座って・・・それで・・・」
天宮さんから渡されたジュース飲んで・・・・・。
・・・・・・・。
思い出した。あの時、睡眠薬入りのジュースを飲んで倒れたんだ多分・・・いや絶対。
俺は重い腰を持ち上げあたりを見回す。
・・・・・・・白い。周りじゅう全部白ずくしだ。
白いベットに白いカーテン。白い床に白い壁。家具はタンスと本棚と机位・・・だな。
俺は自分の服装が変わっている事に気がつく。
「・・・・・これは....」
白いモコモコ?いや、ドレスか?・・・・何で俺がこんな服を・・・って今は女だ。
ベットから降りるとドレスの淵がぶわっと広がる。うわー・・・妙にスカスカしてて気持ち悪い。
その時カチャリと扉が開いた。
「あ、天宮さん・・・」
そこには紺色の着物姿の天宮さん。にっこりと微笑んで俺を見ている。
「やっぱり似合うわねー。どう?ウエディングドレスは?」
「・・・・・は?」
「そのドレスの名前・・・知らないの?李玖ちゃん・・・」
「え・ハイ。この服って天宮さんの趣味じゃ・・・」
「えー違うわよぉ。その格好で分かんない?」
「もしかして・・・・」
「あは☆結婚しましょ?って事よー♪私はね・・・和みたいな慎重派でもないし、紅葉ちゃんみたいな鈍い子じゃないのよ〜☆欲しいモノはすぐ手に入れるのがモットーよw」
「は・・・・?」
じり・・・・と近付いてくる天宮さん。俺は後ざすりをするが背中には壁。
どうしよう・・・・。
俺が色々考えているとポチ、と指先にボタンの様なモノに触れた。すると壁がぐりんと勢いよく回り俺はそのまま一緒に回る。
天地が・・・・ひっくり返る。
「うわぁぁぁあああ!!」
「李玖ちゃ・・・ま、いっか☆」
プツン
俺の記憶をそこでまた途切れる。それにしてもま・いっか・・・って(涙
*
天宮光・・・つまり私はそのまま立ちすくんだまま腕を組む。
「良い考え思いついちゃったかも・・・」
私はそういい残し部屋の壁に付いているレバーをぐっと引く。するとバカッと壁の一部が開きボタンがずらりと出てきた。
「後はこれを・・・」私は慣れた手付きでボタンをパチパチ押す。その内、ビーという音がした。
「これで完了っと・・・」
そのまま向きを変えて私は部屋を出た。私の計算が正しければまた李玖ちゃんは気絶してるわね・・・脳震盪起こしてなきゃいいんだけど。
30分後和達が来るわね・・・そしたらゲームの始まりよ。
うまくコマを動かせたら・・・・どうなるかしら?
自分で思っていた通りに動く・・・・自分にはとても面白い事だと感じてしまい思わず頬が緩んだ。
もうヤル気が無くなって全部消そうかと思ってしまいましたw(笑
だけど頑張って仕上げたいと思います。頑張ります!