15話 お買い物日和!<3>
「わ〜広〜いっ!さすが大型デパートの映画館〜!」映画館に着いたとき、紅葉がわっと歓声をあげた。
「広いわね〜。でも都会の方はもっともっと広いと思うわ〜」天宮さんがにこにこと微笑みながら頷く。
俺は二人の会話を聞きながら、周りをぐるっと見回す。一ノ宮がいない・・・。
「な・一ノ宮は?」
「あぁ。トイレにいってたわ〜。そんな事よりも早く映画決めちゃいましょ」軽ーく一ノ宮の事を受け流す天宮さん。そんな事よりもって・・・・:
映画館は薄暗い場所で通常の明るいライトでは無く、いかにも暗闇とマッチしそうな紫色のライトになっていた。
俺達は今日入る映画の内容が書かれた紙を貰ったので、その中から選ぶ事に。映画は今日あまり入らないらしく、一つ目は超ホラー・二つ目は超感動物語・三つ目は超恋愛系・四つ目はアニメっぽい映画・五つ目はジャンルはよく分からないが、「ピヨピヨ物語」というものだった。(なんだこのネーミングセンス....)
「どれ見る〜?」
「私はどれでもいいわ」
「あたしも〜!」
「って事は俺が決めてもいって事?」
「「OK〜」」何故か英語で返事。俺はつっこみもせずに映画の内容が書かれた紙に目を通した。
・・・・どーしよっかな〜・・・・。
「じゃ・このホラー系ので!」やっぱホラーだろ!と思い、いかにもホラーっぽいばさばさした前髪をたらし、顔が全然見えなくなっている女の人が写されていた。見えるのは白目になっている片目だけ。白い着物には血がばしゃっとかかっていた。俺がそのホラー映画を選んだ途端天宮さんはさーっと血の気が引いた顔になった。
「・・・・え、もしかしてホラー苦手なのか・・・?」俺はおそるおそる尋ねながら、青い顔をしている天宮さんの顔を見る。7
天宮さんはぶんぶんと横に首を振り、「全然!」と言った。俺には相当無理している様な・・・。紅葉は「いいよー」とかなんとか。
その時一ノ宮が俺達の元へ走ってきた。
一ノ宮は映画の内容が書かれた紙をちらりと見ると、「決まった?」と俺に聞く。
俺は天宮さんを刺激させない様にヒソヒソとなるべく小さな声で伝えた。すると一ノ宮はニヤっと笑い、「光はホラー苦手なんだよ。小さい頃見に行った時なんか・・・」と言いかけぷっ、と小さく吹き出した。そしてにっこりと微笑む。「とにかくいい気味だよ。だってさっき俺に無理矢理ハンバーガー押し込んだ件の仕返しにもなるし...そーだ。写真撮っておこう!」
「楽しそうだね・・・・」
「もちろん!」
「・・・・・そうか....」
「じゃ・映画の券買ってくるから李玖達は食べ物とか買ってて」
「ん、分かった。じゃ、紅葉と天宮さん行こうか」と、振り向くとカチンコチンになった二人が居て、なんだか可笑しくなった。一ノ宮の気持ち今なら分かるかも。
「うん!」「・・・・分かったわ・・・・」
元気いっぱいの紅葉に対し、天宮さんはよろよろと重い足を運ばせた。その時天宮さんのバックからポロリと何かが落ちる。
「?」
天宮さんは気づいていなかったので、俺はその何かを拾った。
何だー...生徒張かぁ...って、ん?
男?
生徒張に写っているのはまぎれもなく男の写真で。でも氏名は天宮光で。
・・・・・・・・・・・?
「天宮さん、これ....もしかして.....」
天宮さんはロングの髪をふらりと揺らしながら俺の方を向いた。
「あ、私の・・・」
「落ちてた。っていうか・・・・男の写真みたいなんだけど...。もしかして間違えて入れた?」
「え、それ私よ」
「生徒張に写るものだからやっぱ女装は止めなさいって言われたのよ〜。男のカッコなんて私らしくないのに〜」
「.....えっとつまり.....天宮さんは.....」
「男よ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!
俺は天宮さんの少し前の言葉をふと思い出す。
『私の事皆分かりきってない事たくさんあるわよ〜』と。
なんか変なトコで切れました;このセリフはこうゆう意味なのです。^^*問題解決!(14話 お買い物日和!<2>に書いてありますw)&ネット小説の人気投票に参加しています。投票していただけると励みになります。(月1回)