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メイドさんは見た

私は一八になるベーグルパン国の御抱えメイド、もうひとつの本来のモノと言うべき肩書きは『影の手』ハッキリ言えば国の暗部組織の一員です。

私達国の御抱えメイド、影の手の起源は東方で隠密、忍びと呼ばれるモノを参考に出来たと言われて居ます。


貴族や高給商人等に秘密りに派遣され表向きはメイドとして仕事をします。本来の役目はの派遣先に国に対して反意が無いか、犯罪に手を染めていないか等を調査します。


影の手となるモノは裏切らず忠誠を持つように育てられた孤児や親に売られたモノで構成されています。私の場合は親に物心ついた頃に売られました。

売られ行き着いたのはベーグルパン国のメイド養成所と呼ばれる施設、表向きは国が運営する孤児院の一つです。実態は影の手の育成施設。


メイド養成所に売られた私は指導員の厳しい指導の元、メイドとし作法、護身術等の様々な知識、技術を身に付ける訓練をし、9つの頃に指導員から影の手の一員になる合格点を頂き、10歳の頃より影の手として仕事をし、八年間で既に派遣された家は30を越えています。因みに何もなければ移動は一年から最長10年。同期の人にはまだ一件目の人もいます。まぁつまり私だけ派遣された家はやっていた家ばかり、……運がよほどわるいんですかね。


私的には運が悪いだけと思いますが、上からは問題を見付ける能力が高いと言われ、いまだ18の身ですが一流扱いです。


そんな私にですが有る貴族の不正の報告を上司にし終えた後、次の仕事で急遽明日から学院に通うある御令嬢の専属メイドとなる様にと命令が下りました。   


可笑しいです。


学院にメイドは居ますが、私の様な影の手が学院に行くなんて無かったことです。学院の調査にメイドは不適応ですしね。それに何故私なのでしょう。

私は表面的には如何なる時も表面的には動揺しない事から氷の女と呼ばれております。そのせいか多感な年頃の御令嬢の受けは余り宜しく無いのです。


あと働く内容にも命令が加えられるのも珍しいです。


これから仕える事になる御令嬢には最大限の敬意を持って"通常"のメイドとして奉仕しろはどういう事でしょう?


影の手が潜伏する期間、普通のメイドと偽る事は当たり前の事です。態々指示が来ると言うことは、メイドの仕事の範疇を越えることを一切するな、もしもの時に動くなという事でしょうか?他にも意図が……どう判断すべきか

それに……仕えるべき御令嬢の名前の情報すら教えられ無いと言うのはどういう事でしょう?私が知れたのは学院に居ると言う情報だけです。 


訓練生時代、影の手として働く上で主人の情報は必須だと教え込まれていました。そう指導した元指導員の上司が何故か伝えられないと言います。 上司から今回の仕事は秘匿が重要だと厳しい眼で言われました。


影の手は貴族等の犯罪を監視や告発する関係上、秘匿は基本です。私達の知る情報は王族や信頼できる極一部にしか知られない筈なんです。 ……つまりその極一部や王族にすら情報を流すのは危険という事ですか。考えただけで頭が痛いと言うのははじめての経験かも知れません。

 

翌日私は学院の専属メイドの証である専用のメイド服に着替え仕える御令嬢がいらっしゃる学院に向かいました。

学院に付いた私はまず学院長に挨拶をし上司からの紹介状を見せます。此処で御令嬢の事を教えて貰える事になっている筈なんですが…。渡した紹介状を黙って見る学院長。


御令嬢はこの学院の新しく来た生徒らしいです。


学院の長にどの様な人物か聞きました。


『……………………この資料をみろ』と資料が乱暴に貰えたと思えば追い出されました。出るときにまた舌打ちが聞こえた。


なんだったんでしょう?あの社会不適合な人は、


日が暮れてきている今の時間では授業は無いでしょう。

もう寮搭に居られるでしょうか?

私は資料に書かれた情報を元に今日から仕える御令嬢の部屋に向かいます。


向かいながら学院長に渡された資料を読んだのですが、資料にはこの学園の地図や注意事項など色々と書かれていますが、御令嬢本人の情報がやはりあまり書かれていない?余りというか来た国と名前ぐらいですか。


それに最後の方に私が担当するのは二人だと書かれている。

上司からは御令嬢一人と言われてますが、学院の希望という事でしょうか。


寮の塔に入り御令嬢が使用するとされる部屋へと付いた。

其処は資料だと高官の子息や王族の方が使われる区画ですね。やはり相当に上の身分のかたのようですか。


私はドアをノックした。


中からどうぞという声が聞こえてきた。

口調は女の方ですが…………野太かったような


私は失礼しますとドアを開ける。


部屋の中にいらっしゃったのは二人、いえ三人、三人の内お一人は見た目でわかる少し変わった人の様ですね。筋肉が立派な男性の方ですが女装趣味でしょうか?


「あらメイドさん?」


私が仕えた中で中年貴族だと大抵女装をされる方ばかりでしたが最下位に近いですね。女装をされるなら顔の化粧もされるべきでしょう。無駄毛の処理はされてる様ですが。化粧の指導をすべきですか。ダメですね。メイドの仕事から逸脱します。


私は内心の不満を心に止める。


「ごめんなさいね。今取り込んでるの」


筋肉の方に言われた


確かに取り込んでますね。



私は筋肉の方に軽く頭を下げ、入って一目で存在ごと無視した部屋に居たもう一方な方を見た、この方が本日より仕える事になる御令嬢でしょうか。


月の光の様な淡い光を放つ綺麗な銀髪にエメラルドの瞳を持つ御令嬢がこの方が今日から仕える御令嬢。人形のように美しい顔は穏やかな顔で……コヒューコヒューと言っているズタボロの黒装束の男性を縛ってますね。


一言で現すなら犯行現場でしょうか?


私の口が勝手に辞職したいと言い出す前に御令嬢、名乗られました。シャノン様に挨拶をする。シャノン様は普通に挨拶を返してくれます。常識的な人にも見えますが……。


私は(縛られた後に筋肉の方に踏まれ潰れた蛙の様になってる)男性は何なのかお聞きした。


女の子の部屋に侵入した変態との事です。

私は筋肉の方に行き掛けた視線を懸命に止めました。


黒装束は学院の女子寮に入りシャノン様の部屋に侵入した変態。資料によるお警備は貴族の館よりも厳重です。そんな所まで入るとは何処まで気合いの入った変態ですか。


私は衛兵に直ぐに連絡しにいきました。

衛兵を連れて戻ってくると変態は自分は変態じゃない暗殺者だと暴れてました。暴れると姿が……全身の関節が外されてるのかグニャグニャですね。ご令嬢が言うには少し力を込めたら外れたそうです。どれだけひ弱なんでしょう。


衛兵の人とコソコソ話してます。ひ弱ですし暗殺者だと自分でいう暗殺者などいるでしょうか?変態なら学院への不法侵入の罪、牢で最低七日間だそうです。ご令嬢の部屋に入った罪でどうなるか判りませんが、暗殺者の死罪よりは確実に軽い罪になりますよね。それなのに自分は暗殺者だと変態は喚く。


シャノン様は変態の肩をポンポンと叩き変態の顔(顔面偏差値26点)を見ながら、女性に縁が無いからと言って自暴自棄に成らないようにと女神様の様な慈愛を込めた微笑みで仰有られました


そういう……そういう事ですか。


つまりこの変態は女の子に縁が無さすぎて女子寮に侵入、女子に縁がない男として死ぬより暗殺者として捕まりたいと。其処までモテないと思われる事が辛いのですか。


シャノン様の、いえ我々の変態を見る慈愛に満ちた瞳が心に響いたのか涙が出ている変態。泣きながらもまだ自分は暗殺者だと連呼してます。まだ言いますか。


下着を盗んでないか変態の身体を検査しましたが下着も見つかりませんでしたが武器や毒薬らしき物も一切出てきてません。

暗殺者と名乗るのは無理が有るでしょう。自分の肉体が武器だそうです。線が細い御令嬢に関節が外されてたのに身体が武器?今も関節外れて芋虫みたいな状態。


御令嬢が化物なんだと喚きますが御令嬢は苦笑いでした。

ああ女性に負けたのが認められない痛いタイプですね。それにしても女性を化物扱い、顔もあれなのに性格的にもモテない要素が有るなんて悲惨です。


余りにも哀れだと思ったのか来てもらった衛兵三人、筋肉さんは口々に変態に慰めの言葉をかけました。私も何時かいい出会いが有りますよと慰めます。私はお断りですが。


シャノン様が自分の部屋に侵入した罪は良いですと変態の罪は学院に侵入した罪だけで良いとおっしゃられました。哀れんでですね。大の男が床が濡れるほど泣いてるとか哀れですよね。


被害者からの許しを得て衛兵に慰められながら担がれ連行された変態は、学院に侵入した罪が見付かっただけなので七日間牢で反省する事で済むでしょう。それと再度の犯行を防ぐため変態として学院に似顔絵が配布される事には成ります。




私は連行された変態を見送ってから改めてシャノン様に改めてご挨拶をしました。


挨拶後に上級貴族、王族クラスの寮に住むという事は少なくとも高い身分の筈なのに、私を見下した様子はなく気軽に話し掛ける事を許して頂けました。


それから資料に書かれていなかったのでシャノン様と筋肉の方のお立場を聞きしたのです。ホントどういう立場なんでしょう?


まず筋肉の方から自己紹介をしてくれました。

筋肉、いえプリン様は料理人兼アイの狩人それとカスタード国の将軍だそうです。


そんな立場ですか……将軍とは役職で言えば軍のナンバー3。実戦部隊のトップ。私からすれば雲の上の役職です。カスタード国は国力で言えばベーグルパン国の五倍。流石に嘘とかは無いですよね。


少し目眩がしました。私は後半を聞かなかった事にして、アイの狩人とは何かプリン様に聞きました。アイとはどんな動物なんでしょう?


動物ではなく、心の愛を求める者という意味だそうです。いえ、体も欲しいとのこと、プリン様は女装という事は愛の対象は男性ですよね?……………応援してます。


そして次はシャノン様。

シャノン様は自由なブリーダー兼カスタード国の王女だそうです。ええ、後半は一切聞いてません。何で隠されてる事を平然と言うのか。


シャノン様にブリーダーとは何か聞きました。

動物を育てる人という意味だそうです。



シャノン様は今まで大きなワンちゃんと大きなトカゲ等を育てたそうです。良い仕事ですねと言うと今度連れてくると言ってくれました。……主人のペットの世話はメイドの仕事の範疇?


大きいとはどれぐらいでしょう?

犬は大型犬としてトカゲは?

動物は嫌いでは有りませんが少し大変そうです。

飼育小屋の手配をしませんと。


このあと紅茶を披露する等して初日は終わりました。



翌日の朝…………変態が自殺したと連絡が有りました。

最後まで自分は暗殺者だと言ってたそうです。

哀れな変態にシャノン様に筋肉は来世で彼女が出来るようにと祈ってあげてました。私も祈りました。彼女は勘弁ですが知り合い位にはなってあげても良いですよと。


それにしてもあの変態…………手配書に見たプロの暗殺者に見えたのは気のせいでしょうか?

…ないですね。


手配書に書かれてたのは通称レッド。

レッドはその異常さから暗殺者からも異端視される存在。

先ず殺し方、本来は暗殺は隠すモノ、なのにレッドはその通称通り暗殺した相手の部屋を肉や血で赤く塗装する。

戦闘力も剣を通さない頑強な肌、騎士の鎧なら素手で千切る怪力、捕殺しようした騎士の中隊を全滅させた文字通り化物です。


違いますね。貴族の令嬢に取り抑えられてましたし。泣いてましたし


次回は最初の被害者が戻ってきます。

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