幼年期8 友達
どんどん飛ばします
改めて友達となった子、モナコというそうだ。
内気な子で、フードを被っているからわからなかったが女の子のようだ。顔は丸顔で可愛らいい感じだった。
次の日から一緒に遊ぶようになった!主にランニング・魔法特訓・読書についてきてもらう。以上だ!
え?遊びじゃない?そんなことはわかっている。でも遊びって何すればいいかわからなかったのでとりあえず付いてきてもらうことにした。
モナコもそれでいいみたいだったので、強行した。
しばらく過ごした結果、モナコちゃんすごい子…。
俺よりも一つ年上の4歳。ランニングは俺よりも全然早かった。ま、まぁ子供の頃の一歳差は大きいからね!悔しくなんてないぞ!
魔法は俺と同じぐらいまですぐに上達した。水弾も作れ、何度も俺の顔にぶち当ててくれた。ぐぬぬ…やはり才能がないのか。
嫉妬の力を魔力に変え、力ずくで水弾を形成させモナコにぶつけようとしたらあっさり避けられた。ヤム先生のうちを水びだしにしてしまいリニア姉に怒られた。なんでお前が怒るんだよ!ヤム先生は相変わらず苦笑い。ごめんなさい。
文字の方は流石に読めないようなので、俺が教えてあげることに。村長に聞けばいいのにといったら
「おじいちゃんタバコ臭いんだもん」
とのこと。孫に嫌われていますよ!おじいちゃん!
モナコの能力の高さに驚きつつも共にすごした。やはりライバルの存在は大きいね!努力する気になる。
しばらくした時、村のハズレで二人で魔術の練習をしていたら他の子供たち三人組に指をさされ、わらわれた。
「おまえ、ユーリだよな!そんな獣人と一緒にいてこわくないのかよ」
獣人?誰のことだ?周りを見るがそんな奴はいない。
「獣人なんていないぞ?」
「お前の隣のやつだよ!」
そういうと三人組の中で一番大きな奴がモナコのそばまでやってきて、無理やりフードを外す。
「や、やめて!!」
嫌がるモナコを構いもせずに力任せにフードを外すとそこには獣の耳をした女の子がいた。
黒い毛でおおわれ、ペタンと垂れ下がった耳はとても可愛らしい!けものみみ!そう、あれは獣耳だ!
すごい触りたい!頬ずりしたい!ぺろぺろし…うおっほん!
すこし理性が乱れてしまったみたいだ。落ち着こう。
泣きそうな顔で俺のことを見てくるモナコ。可愛い…違った、何を不安に思うのか俺のことを見つめてくる。
「こいつ獣人なんだぞ?こわくないのかよ?」
「?どこがです?めちゃくちゃ可愛いじゃないですか」
そういうと俺はモナコを自分の背中に隠す。驚いたようにモナコは俺のシャツを掴む。
「てめ…仲間はずれにされてもしらねーぞ!」
そもそも友達がモナコしかいないから関係ないな。
ガキ大将みたいなやつは去っていった。こういう時って何かしら暴力されると思っていたがそういうわけではないようだ。
「こわくないの?」
「ぜんぜん!むしろ可愛いねその耳!少し触ってみてもいい?」
モナコは恥ずかしそうに頷くと俺に耳を触らせてくれた。もふもふ♪きもちええ…。あんまり触るとモナコがくすぐったそうなのでやめた。
しばらく経った。
いつものようにモナコを呼びに行き、ランニングをしようとしたら父から呼び止められた。
「今日は貴族の方が視察に来るからな、失礼な事はするんじゃないぞ?はっはっは!」
「会ったらどうすればいいの?」
「まぁ、頭でも下げとけばいい。怒られはしないだろ」
それだけ聞けば十分なので外に出た。
今回視察に来るのはアラーム村はラナーク男爵の領地であり、今回は村の年貢等の視察ということらしい。村長の家に赴き、色々話をするのだろう。食料に困ったりはしていないので今回はどんな話なのだろうか?
まぁ、子供の俺にはあまり関係ないな。
モナコのところ、村長の家に向かうと貴族様の馬車と思われるものかあった。今村長の家に入るのは迷惑かもしれない。俺は一応家の裏手に回って様子を見ることにした。
すると村長の家の裏から一人の子供がでてきた。中々身なりのいい子供である。こっそりと行動していたつもりなのか俺と目が合うと「しー」とポーズでやってくる。
「ちょっとついてこい!」
腕をとられ、そのまま物陰に連れて行かれる。
「俺はこの村をちょっと探検したいんだ!案内してくれないか?」
身なりの良い子どもはそんなことを言ってきた。いるよねー、自分の望みは全て叶うと思ってるわがまま坊ちゃん。仕方ない少し付き合ってやるか。
「かまわないですが、なんにもないむらですよ?」
「それでもいいよ!あいつらに付きまとわれるのは飽き飽きしてたんだ!」
あいつらっていうと村長の家の前に陣取っている強そうな兵士さんのことか。
つまりはこの子は貴族の息子さんってところかな。あまりそういった高位の方と知り合いになると後々面倒な事に巻き込まれたりするから適当に付き合って別れることにしよう。
「ではこちらに」
そういってぼくらは村を散策し始めた。
五分も経たずに貴族の坊ちゃんは文句をブーたれる。
「つまらん・・・」
そりゃなんもない村だからね。家畜とか畑とか見ても何も楽しいことはないだろう。
「そうだ!聞いてなかったが、お主の名前はなんだ?」
「ユーリといいます。きみの名前は?」
「俺か!俺はアルベルト・ル・ラナークだ!アルって呼んでくれ!友よ!」
いきなり友達とか言われても…困るってか。
困ったような表情を浮かべたらアルはなにやら泣きそうな顔をしていた。
「おでど、ともだちはいやか?」
なんか潤目だった。
「いや、嬉しいよ!アル。俺のことはユーリって呼んでくれ!」
そう言うと破顔するアル。俺たちはあっさり友達になった。そのあとはアルの家族のことを聞いたり、領内の状況が少し悪くなってきていることなど聞いた。俺からは魔法の修行をしていることなど主に話した。アルも魔法を習いたいみたいだが危険が伴うからダメなんだそうだ。
少し経つと慌ててアルを探してきた騎士の方たちに連れられて、アルは村長の家に帰った。
その夜、俺の父は村長の家に呼び出され帰って来なかったがもしや俺がアルに不用意に話したせいで怒られたのではないかと心配になった。