幼年期4 魔法2
その後はヤム先生による簡単な魔法の実演を行い、勉強会はお開きとなった。実演はリリスが家で使っている水晶での火魔法とミリム流での火魔法であった。リリスとリニア姉、先生が話している間に俺はこっそりとその場を離れる。
ざっくりとした説明は受けたものの、魔法の勉強はあまりできていない。もう少し何か参考になるものがないかヤム先生の家を探すことにした。望むべきは参考書などだ!あまり高度でなくていい、魔法の入門書でもないか探す。
先ほど授業を行っていた部屋に戻るとやたらと大きな本棚の前に行く。下段にある本しか見ることはできないが、俺には新たな能力がある!
壁立ち!
二段目の背表紙が見えるようになった♪
さして変わらないが、とりあえず探すことにした。ここで気がつくべきだったのが俺は文字がまだ読めない。そもそもこの世界に来てから文字を見る機会がほとんどない。うちには本というもの自体ない。こんなに本があるところを見たのも今回が初めてだ。
仕方ないので一番薄く、童話のような本を一冊抜き取り服の中に隠す。高速で移動できるようになった這い這いで元の部屋へと戻る。まずは字を読めるようにならないとそもそも話にならない。まずはそこからだ!
家に帰る途中で俺を抱っこしているリリスは本に気がつき、慌てて返しに行く事になり拳骨をくらった。流石にバレたか。ヤム先生は優しく、本は貸してくれることになった。予想通り童話の本らしく、字は母が教えてくれるとのこと。
殴られたかいあったかな?
それから数週間は言語の勉強だった。紙などは高級品でアラーム村になどあるわけなかったので、家の外の地面に書いてもらい覚えた。この肉体は記憶力が良い!子供の体は皆そうなのかわからないがあっさりと覚えてしまった。まぁ、もともと話せていたわけだしね。