幼年期2 家族
転生してから一年経った。
赤ちゃんの体というものは不自由なものなのだと思い知った。うんこは垂れ流し、腹が減ると泣きたくなり、寂しいと泣く。
俺は寂しくても泣かなかったが、うんこ垂れ流した時は泣いた。心が泣いた。すまんかーちゃん。
ようやく簡単な会話は聞き取れるようになってきた。文系的には英語に近いようだ。とは言っても単語とか全然違うのでよくわからん。俺のTOEICの点数はたいして高くなかったのだろう。
最近は言葉を話す練習をしている。あまり泣かない子なので喉の仕事量が同世代の子供に比べ劣ってしまっているかもしれない。ここいらで喉を鍛えておくのもいいだろう。
そういえば、新たな家族の構成を述べていなかったな。
この家は父、母、姉、自分の四人家族である。父はどうも兵士?のようだ。いつも剣を腰に下げていて、装いも簡単ながらも鎧を身につけていた。名前はユニアス。母はリリス、第二使徒ではない。しかし起こると使徒なみに怖いのはこの一年で理解した。姉が俺にイタズラをしたりして怒らせると般若のごとく叱るのだ。おっぱいはデカイ。この一年堪能させていただきました。残念ながら俺の息子は未だにミミズみたくちっこいから反応も何もないんだけどね。
俺の名前はユーリというらしい。ユーリ…前世の名前は覚えていないが意外と心に馴染んだ気がする。
で、姉。リニア、やんちゃっ子。俺によくイタズラをしてくる。弟が可愛いのか、憎いのかわからないがたまに洒落にならないイタズラを仕掛けてくる。一度リニアが持ってきた水晶を覗いたら中から炎が上がったから死ぬほど驚いた。リニアは勝手に持ち出したのと、部屋の天井を少し焦がしたことで叱られていた。
水晶…そう水晶だ。炎が出る水晶ってなんだ!
最近習得したHi-Hi(這い這い)により家中を探索できるようになった俺は水晶の謎を解き明かすべく探検した。
謎は簡単に解決した。キッチンと思われる場所に水晶がはまっていた。母が手をかざすと小さな起動音と共に火が上がる。その火は持続して一定に威力を保ち、母はさっくりとチャーハンを作り上げた。
カーチャンがチャーハンを作った。言いたかっただけだ。
これは魔法!異世界に来たのだからやはり魔法があったんだ!俺の新たな目標が定まった。魔法を覚える。