少年期4 奴隷4
戦えなかったああああああああ
次こそは…次こそは…
「どの奴隷になるかきまりましたか?」
アヤカは無機質な、事務的な視線を向けて聞いてきた。
「一つ聞きたいのですがいいですか?」
「はい。いま一つ聞いたので終わりでいいですか。」
「え!?」
「冗談です。でなにが聞きたいのですか?」
冗談なんかいうのか、少しイメージが崩れたぞ。メイドレイめ。
「何か成果をあげたら奴隷から解放されることはあるんでしょうか?」
「あります。しかし、それは極めて異例です。奴隷はなったが最後死ぬまで奴隷です。」
「あるんならいいです。それはどういった場合ですか?あと脱走した場合は?」
「何個も質問されていますが…いいでしょう。解放されるのはメイド奴隷で旦那様や他のお客様に気に入られた場合、妾としてでていく場合が多いです。同様に性奴隷でも気に入られ出ていくことが希に存在します。戦闘奴隷では拳闘会で極めて優秀な結果を出した場合、奴隷の身分から上がる事ができます。農奴隷は解放されたケースは知りません。一番脱走が多いのは農奴隷ですが、今まで成功したものは一人としていません。これで満足ですか?」
脱走を成功させたものが居ないということは、何かしら制限または魔法をかけられていたのではないか?
もしかすると俺にも同じような事が既にされているのかもしれない。下手に脱走するのは良策とは言えなくなってしまった。
「で、どの奴隷にしますか」
どうする・・・性奴隷かメイド奴隷か。
でも盗賊に襲われた時は、強さがいるって思い知ったじゃないか。
逃げてるだけじゃ戦いは避けられない。
性奴隷として誰かに媚を売っても、奴隷を解放されてもその相手から逃げられるとは限らない。メイド奴隷だって同じだ。奴隷じゃなくなったとしても誰かに縛られ続ける。
それは「生きてる」っていえるのだろうか。
自分の意志の介在しない人生は「しんでる」のと同義なんじゃないのか。
「おれは・・・戦闘奴隷に志願します。」
「…そうですか。実際戦闘奴隷を選ばれる方は多いのですよ。ですが、実際に戦闘奴隷として生きて奴隷を終えたものはいないんですよ。大きな怪我を抱え、農奴隷になったり、心を壊して性奴隷として使い壊される。そんなものですよ」
「…っかまいません。」
意外と無機質にみえたアヤカはやさしい人なのかもしれなかった。
「では、試験を始めます。ついてきてください。この試験を乗り越えられれば戦闘奴隷として今後働いてもらいます。この試験を乗り越えられないようであるなら…魔物の餌になるだけですのでご容赦ください」
アヤカに連れられて部屋を出る。進んだ先は一つの大きなコロッセオのような場所だった。それこそドコでもドアで扉と扉をつなげたような現象が起きたのだ。
先ほど入ってくるまでは普通の廊下だったはずなのに。何が起こったのかわからなく慌てた。
アヤカは入口付近にあったショートソードを一本俺に渡すと綺麗にお辞儀をし、ドアの向こう側へと消えていった。
「生き残ってくださいね。後片付けするのもたいへんなので」
扉が締まると同時に鉄柵の入口が開かれる。まるで導かれるように前に進むとそこは中世ヨーロッパに存在したコロッセオのようだった。観客席と思われる場所には大勢の魔族が座っており、罵声や怒号、歓声を上げている。
異様な雰囲気に自然と息を呑む。
丁度円形の会場の反対側の扉が開かれる。そこには三体の魔物がいた。
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