少年期3 奴隷3
ふむ…説明会は簡単に筆が進む。話はつまんないか?次こそはバトルパートまでいきたし
真ん中にいた男、ルーメリスという魔族らしい。
細かな事情などは奴隷の身分では知る由もない。気絶させられた俺はルーメリスの屋敷に連れて行かれ、そのまま一つの部屋に連れて行かれた。
石畳の粗悪な部屋だったが一応人間が生きていける環境であるらしかった。
「目は覚めた?」
目を開けるとそこには一人のメイドがいた。そうメイドだ。
あれ?頭おかしくなったかな?色々ありすぎて幻覚が見えるようになってしまったらしい。さっきまで感じていた憎しみ・生への執着といったものは沈んでしまった。それぐらいびっくりしたということだ。
「ええ、とあなたは?」
「私はこの屋敷に使えるメイド奴隷のアヤカと申します。疑問などございましたら何なりと聞いてください
。」
「お、おれは奴隷になったんだよね?」
「はい。未だにどんな奴隷になるか決定はしておりませんが、それもすぐに決まるでしょう」
ハキハキと答えるメイドのアヤカ。外見的に15歳前後といったところか。俺の前世のイメージにあるメイドさんをそっくりそのまま連れてきたような感じである。キリッと伸びた背筋、立ち振る舞いはスキがない武人のようにも見えた。
「細かな疑問はあるでしょうが、これから試験を受けていただきます。奴隷には本家においてメイド奴隷・性奴隷・農奴隷・戦闘奴隷と四種類あります。その中からご自分の適性にあったモノをお選びください。メイド奴隷は邸宅内の清掃、食事の準備、雑務などを執り行います。性奴隷は文字通り性交渉をする部門となっております。旦那様やお客様を相手にしていただく事が多いです。農奴隷は旦那様の領地に赴き主に農民のように暮らしていただきます。戦闘奴隷は闘技場で戦闘行為を行っていただきます。ここまでで何かご質問は?」
質問しかなかったがとりあえず頷いておく。アヤカの手に一瞬光るものが見えたからビビったわけではない。
「一時間後にまたどの奴隷になるのか聞きますので考えておいてください。また、ここは魔界なので会話は魔界語で行います。今後は人間語の使用を禁じます。何か問題がある場合は私に言ってください。では」
それだけ言い残すとアヤカというメイドは去っていった。
色々話されたが、簡単に言ってしまえば
・魔界語のみ使用
・どんな奴隷になる?
の二つだ。その他のことはきっとどの奴隷になるかを決めた後に説明するのだろう。
しかし随分と選択肢の広い奴隷だことだ。前世の常識だと最初から決まっているものだと思っていたが…。
しかしこれだけ選択肢が多いのにはワケがあるのだろう。
入れ替えが早いとか、すぐ死んでしまうとか。奴隷の命なんてそんなものだ。虫の命と同じくらい軽い。
そう考えると先ほどのアヤカという少女も奴隷らしかったが、随分と綺麗な身だしなみをしていた。
今の俺とくらべたら雲泥、いや月とすっぽん、まぁ言い方はなんでもいいが大差あるかんじだ。
今の俺に残っているものは「しにたくない」という思いとやはり盗賊どもへの「復讐」あとは家族が心配だということだけだ。父ユニウスから託された「守ってくれ」という言葉だけだ。
どうにか奴隷を抜け、アラーム村に帰らなくちゃ、いや、帰りたい!
奴隷の選択は重要だ。
メイド奴隷というのは家政婦だろうか?男でもなれるのかわからないがおそらく無理なのではないだろうか。次に性奴隷。小汚い人族の子どもを性欲処理として使うもの好きがいるってことだろう。しかし他の選択に対して精神がやられてしまう可能性が大きい。安全かもしれないが、相手は魔族だ病気をもらったり、気に入らないと嬲り殺される可能性もある。
その点安全なのは農奴隷だろうか。作業は今まで村を手伝ってきた頃に比べ過酷なものになるかもしれないが、死なないであろう点は魅力的だ。しかし、その作業に終わりは来ないだろう。農奴隷が奴隷抜けするところが想像できない。そもそも奴隷抜けなんてできるのだろうか。
戦闘奴隷はきっとすぐに死ぬだろう。「しにたくない」と言っているのだからありえない。
きっかり一時間後アヤカは再びやってきた。