プロローグ
―――ここはどこだ?
真っ暗な視界の中、思考だけが働く。
何かやりたいことも見つけられずに、ただただ生きていただけの俺。
適当に受験勉強して、そこそこの大学に受かって、まぁまぁの大学生活を送った。
一応大企業と呼ばれる会社にも内定をもらい、残りの学生生活を満喫していたはずだ。
でもなぜかここにいる。真っ暗な世界に・・・。
ふと、腹があるはずのところに違和感が走る。
ひた
ひた
ひた
血が流れてる?
腹から何かでてる?真っ暗で何も見えないが感覚だけが教えてくれている。
このままじゃ死ぬ。
―――死。
―――死ぬ。
理解した瞬間に震えが止まらない。ホントの意味では理解なんてできない。自分が死ぬなんて考えたこともない。いや考えたくなかったんだ。このままでは死ぬ。
なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ?
どうすれば良いんだ…。
腹を抑えても流れ出る命は変わらない。一刻一刻と命が消えていく。
あぁ、死ぬんだ。いや、もう死んでるのかもしれない。
死んだらどうなるのだろう。死後の世界に逝くのか、輪廻転生するのか。
やり残したことは特になかった気がする。そもそも何もやり始めていなかったんだと気がついた。
こんなに死ぬことが怖いなんて知らなかった。
なんでもっと一生懸命生きなかったんだと後悔した。
次の人生は精一杯生きよう。
――――そう思って自分を終えた。