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入部試験


ふ〜やっと一日目の授業終わったー!後はホームルームだけだ。いきなり体育はどうなるかと思ったけど何とか今日は乗り切った。これから毎回更衣室で着替えると思うと少し鬱になりそうだ。


「じゃあ今日は解散!」

先生の言葉でクラスが部活に行く人や雑談する人、帰る人に分かれた。いつもなら部活に行く人なんだけどな〜。思わず少しため息をついた。でもやる事ないし帰るか。まずは教科書とかバックに入れないと…


うん?肩を叩かれた。振り向いてみると綾と楓だ。何だろう?用でもあるのかな?


「楓が野球の練習見るから秋もどう?だって!秋、野球観戦が趣味って言ってたしダメかな?」


「勿論大丈夫だよ。野球の練習でも見るのは好きだし、寧ろ誘ってくれてありがとう。」


「よし!!やったね。楓。あっでも私、先に購買の自販機で飲み物買ってから行くから先行ってて。」


「うん。分かった。じゃあ楓と先に行ってるね!」


それにしても野球観戦か…プレイするのがやっぱり1番だけど野球は見るだけでも楽しいからな〜。楽しみだ。

そう思いながらグランドに向かった。


「秋は高校野球好き?」

楓がいきなり質問してきた。好きも何も大好きだからプレーしてたんだよなー今はしてないけど。


「もちろん好きだよ。それに詳しい方だと思うよ!楓は?」


「私も大好き。秋は知ってる?秋の全国大会である神宮大会で準優勝したエースの高橋秋斗の事。」


え?……もしかして疑われてるとか?名前が似てるから?でも髙橋って苗字多いし。それに女の子だし。流石にバレてないはず。普通に冷静に返事しないと。


「知ってるよ。でも周りに助けられてる所が大きいと思うけどね。最後もサヨナラ負けだし。」

思い出すだけで悔しさが溢れ出てくる。あの時抑えてたら全国制覇もあったのに…古川にホームランさえ打たれなければ…決め球のスクリューに拘らなければ…でももう遅いし仕方ない。今は楓との会話に集中しよう。


「秋は厳しいね。でもプロ確実で一部の高校野球ファンからは天才投手と言われてるんだよ。神宮大会は注目度低いけど春の甲子園では注目されるよ。絶対に。」


…そう…そのはずだったんだ。私は。甲子園で北条高校にリベンジするはずだったのに…

あの病気さえなければ…ああ…翔平やチームメイトに申し訳ない。それに楓にも申し訳ないな…でも出ない事は言っとかないと。


「実は髙橋秋斗、部活辞めたらしいよ。噂では試合で負けたショックで辞めたとか。残念だね。楓。」


「え?……嘘…あの人のピッチング大好きだったのに。残念だなー。もう見れないのかーでも辞めたのは仕方ないよね。」


楓は笑顔で誤魔化してるけどショックだったのか目線下げていた。そっか私のピッチング好きだったんだ……いつか…いや今見せてあげたい。私の本気のピッチングを。


「ちょっとトイレ行って来るから先行ってて!すぐ追いつくから。」


「え!?…うっうん。」

急いで私は走りだした。トイレに着くと体操服に着替え、グランドに走った。


「すみません。入部試験受けれませんか?希望は投手です。女子でも実力次第ですよね?」

野球部 は大半驚いてるみたいだった。ウチの野球部に入部するためには試験に合格する必要がある。勿論中堅私立レベルとはいえ、女性の合格者は1人もいない。それをいきなり転校生の美少女が受けにきたらビックリするだろう。


「えーと髙橋さん?本気?」

クラスで見た人が聞いてきた。あっ石井君だ。

「もちろん本気だよ?えーとスタメン全員抑えたら入部していい?」

流石に周りも怒る事を忘れてビックリしていた。いきなりこれは失礼と分かりつつ、今は仕方ないと自分に言い訳する。


「いいの?そのルールで髙橋さん?」

職員室の案内してくれた石田君か。ニコッと笑顔つくる。正直本当に生意気で申し訳ないな…でも…


「うん。いいよ。抑えるつもりで頑張るだけだし。」


「なら仕方ないか。こっちも全力で打たして

もらうよ。」


対戦ルール

入部条件

スタメン全員抑えたら秋の勝ち。

抑えれなければ入部はなし。

野球部のベンチメンバーが守備につきます。

以上。



いつの間にか周りには人だかりが出来ていた。その中には楓や綾の姿もあった。


「秋いきなり何やってるの?野球観戦じゃなくて野球部にある意味殴りこみじゃん。」


「分からない。でも意味があるんだと思う」


「意味?」


「それを見るの。」

綾は状況がよく分からないって感じだ。まあそりゃそうなるか。



審判がプレイボールを告げる。試験の始まりだ。


「特徴も左投げぐらいだし、1番がいきなり試験終わらしたらいいぞ。時間の無駄だし」

2年の大竹が言った。了解っと同じく二年の高浜が返事をする。


秋の投げた初球はカーブだ。こんなの遅いだけだろと高浜がスイングする。空振りだ。思ったより曲がっている。確かに女子にしたら一級品かもな。自信を持つ理由も分かる。けど2球目もこれなら打てる。


秋が投じた二球目はまたもカーブだ。高浜のスイングはボールを捉えるもファールになる。打ち損じだ。次こそは…


対する秋は思わずため息をついた。感覚のズレにココまで苦戦するとは…でもカーブで大体掴めた。次からは少し本気だ。


秋は同じフォームで三球目を投じる。高浜がカーブだと確信するが球の軌道は予想外の方向に曲がった。スライダーだ。それもカーブよりキレがいい。三振。一人目を打ち取った。感覚が戻って来ている。スピードこそ落ちてるが変化球は大丈夫そうだ。


少し野球部の雰囲気が変わっていた。



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