表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

再会


結局テストも無事に終わり、12月を迎えていた。


今頃、本当だったらなと最近はいつも思ってしまう。でもその度にそんな事考えても仕方ないと思うのだけど気付いたら溜息をついていた。折角の休日の日曜日が台無しだ。


「そんなに落ち込んでないで私と出掛けよー!お姉ちゃん。」

春香が気を遣って誘ってくれる。姉なのに情けないと思いつつ承諾した。


「でもどこ行くの?」

少し疑問に思ったので聞いてみる。あまり服とか選ぶのは好きじゃないというか、恥ずかしい気持ちがまだ残ってるので苦手だ。


「うーんとね。まず映画館に行って映画見て、その後はまあ流れによる。」


「映画館か。久しぶりだなー。よし!楽しみになったから速く行こう。春香。」


「お姉ちゃん切り替えはやっ。でも強引なお姉ちゃんも好きだよ」

…取り敢えず映画館に向かおう。




無事映画館に着いた。そういえば何を見るんだろう?何か見たい映画でもあったのかな?個人的にはミステリーとかも好きなんだけど…


「コレ!コレ見たかったの。」

そう言って春香は看板を指差した。あらすじは…周りに女同士の恋愛というだけで反対されながらも自分たちの気持ちを最後まで貫く純愛ラブストーリー…


「春香?私はさ。恋愛は自由だと思うし、女の人が女の人を好きになろうとそれは恋愛の一種だし、偏見を持つのはおかしいと思う。でもこの映画を姉妹で見るのはどうかと思う…」


「それこそ偏見だよ!お姉ちゃん。姉妹でも恋愛は自由!だから一緒に見よ!」

春香に強引に腕を掴まれて、連れていかれる。ミステリー系の映画見たかった…でも今日は春香に気を遣って貰ったんだし少しくらいワガママ聞いてもいいかな。まあ次はないけどね!



「お姉ちゃんどうだった?感動だったでしょ!」


「予想以上にハードだった…うん…たぶんいい意味で。」

周り女の人ばっかりだったし精神的にきた…


「で…この後どこか店寄るの?」

内心では結構疲れて帰りたいと思いながらも聞いてみる。


「うーん。じゃあ小物が見たい!確かここから歩いて10分だったと思うし」


「じゃあ行きますか。」

言葉では元気ないようにするけど正直嬉しかったりする。小物とか集めるのは昔から好きだ。男だった時はあまり自分から言えなかったけど。


ウキウキで歩いてると人にぶつかる。

「あっすみません。」


「あぁ?って可愛いじゃん。許してやるから2人ともちょっと遊ぼうよ」

何か変なのに絡まれた。2人組の男だ。20歳くらいに見える。昔から春香に対するナンパ多かったからな。いつものように私が守らないと。


「嫌です。」


「そう言わずにさ。まあちょっと遊ぶだけだし」

そう言って腕を掴んできた。肘を捻って右腕を背中に回した。


「痛い!痛い!やめてくれ」

よしコレで後1人。しかしそう思った時には既に後ろに周りこまれていた。しまった…私はその時、初めて男が怖いと思った。前とは違う圧倒的な体格差。男の時とは違うんだと嫌でも思い知らされる。覚悟を決める。



しかし私の視界から男が消えた。アレっと思うと叩きつけられていた。どうやら違う男の人が助けてくれたらしい。


ナンパして来た男2人はすぐに逃げていった。どうやら不利だと気付いたみたいだ。良かった。


「大丈夫?」

懐かしい声が掛けられる。顔を見なくてもすぐにその声が誰か私にはすぐ分かった。1ヶ月ぐらいのはずなのに遠い昔のようにら懐かしく感じた。


そう私の目に写っていたのは奈川高校時代にバッテリーを組んでいた松田翔平だった。


「大丈夫です。ありがとうございます。」


「それなら良かった。次からは気を付けるんだよ?女の子なんだから。アレ?もしかして春香ちゃん?」

翔平が春香に気付いたみたいだ。


「って松田さんですか?私全く気が付かなかったです。」


「いや、それは別にいいけど。何で何も言わずに家族で引っ越したんだよ!」

翔平が珍しく声を荒げる。いつも試合の時は笑顔で落ち着かせてくれた翔平だけに考えられなかった。


「それは…」

春香が声を詰まらせた。


「ごめん。言いすぎた。でもオレは秋斗の事が心配だったんだ。いきなり秋斗が学校転校してさ。その理由を聞いても誰も教えてくれない。秋斗には連絡は取れない。それまでずっとバッテリー組んでたのに…諦めきれないだろ。」


「だから秋斗の状況を教えてくれ!頼む。」

翔平が頭を下げた。あぁ…本当に何やってるんだろう。翔平に頭下げさせて…全て私が悪い。でもそれに春香を困らせるのは嫌だ。そういえば翔平と喧嘩した時よく一球勝負で負けた方が折れるって事してたっけ…リスクはあるけどこれなら。



「えーと松田さんですよね?私は春香の従姉妹です。私と1球勝負してください。それで負けたら何も聞かないで下さい。勝ったら質問には答えます。」


「…そういえば秋斗とよくやったな。でも女の子相手でも容赦はしないよ?」


「勿論です。確かにここの近くのバッティングセンターで対戦スペースあったのでそこでお願いします」


「…わかった。」

バッティングセンターに移動してすぐに肩を作る。10分100円だし、そろそろ対戦しますか。1球だけだし勝負は。


翔平がバットを構える。プロが1年からドラ1確実とまで言った逸材だ。1球勝負にも関わらず私は勝率5割だった。ここぞで集中力のある翔平だ。1球でも気は抜けない。


いつものフォームで1番自信のあるストレートをインハイに投げ込む、それで打ち取ってみせる。


モーションに入ると翔平がバットを構えなかった。え?と思いつつストレートを投げ込んだ。ストライクゾーンにボールが通る。私の勝ちだ。




「…何で打たなかったんですか?」

理由はわかっていた。でも聞いてしまう自分がいた。


「特に理由はないよ。それに負けは負けだし質問はしないさ。」


「そうですか…」


「後、最高のストレートだったよ。これでやっと野球に真剣に打ち込める。春香ちゃん。秋斗に言葉だけ伝えてもらえないか?」


「はい!勿論いいですよ。」


「今度一緒に野球する時は決勝戦でやろうって伝えておいてくれ。後、ストレートの癖直しとけって言っといてくれないか?」

あっ…ストレートの時私はタメを意識してるせいかフォームが微妙に遅いらしい。意識してないとなるんだけどさっき意識してなかった。って事は……相変わらず翔平素直じゃないな。


「じゃあまたな。」

翔平は帰っていった。少し満足そうな表情に私は救われたような気がした。



「今日は色々あったね。何か疲れちゃったし帰ろっか?」

欠伸を手で抑えながら春香が言ってきた。私も賛成だ。今日は色々ありすぎた。



「あっ後で映画のマネしようね!」

ぶっ!誰がするか!っとひたすら抗議する私だった。




感想等どんどんお待ちしてます!

後、巨人ファンじゃないですけど優勝おめでとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ