勉強会 (後編)
ゲームに負けたら質問に答えるという綾の提案による元男がバレかねない状況に陥っていた。
でもゲームの内容によってかなり勝率が変わる。ババ抜きならポーカーフェイス得意だし自信がある。でもテレビゲームとかになるとあんまりやった事ないから自信がない…
絶対に負けられないこの戦いを勝つには…………ゲームの内容が決まってない内にババ抜きを指定して後はとにかくゴリ押し!
「そういえば何のゲームするか決めてないよね?罰ゲームあるんだし公平なゲームがイイと思う。例えば…そう!ババ抜きなんてどあかな?」
よし!自然な流れで提案出来た……綾に何か呆れられてるけど今は仕方ない。負けられないんだ!っと心の中でビシッと決める。
「これってちなみに最下位が1位に質問されるってルールだよね?」
楓がルールの確認をする。確かにそのルールだ。
「だったら大○闘ようぜ!」
悠がいきなり元気に提案してきた。テレビゲームで4人対戦らしい。でも4人対戦だと勝負できないんじゃ…?
「それならオレは遠慮しようかな。1人だけ違うクラスだし悠以外はあまり詳しくないからね。」
4人対戦だから仕方ないって様子で石田君が遠慮する。だけどそれなら私も遠慮したい…特に質問したいって訳じゃないし。
「わっ私も転校して間もないし、まだクラス詳しくないから私が遠慮しようかな〜なんて…。」
「ダメ。秋!」
「お前抜けたら意味ないだろ!」
「転校して間も無いからこそ色々知りたいでしょ?」
上から順に楓、悠、綾に次々と言われる。何で、こんな事に…
こうなったら腹をくくるしかない。でも普通に考えたら最下位にさえならなければいいんだから、確率的には低いはず…よし。
4人ともキャラを決めてバトルが開始した。比較的にフィールドが大きいらしい。この状況上、私がする事は戦ってるフリをしつつ逃げる事。3人とも私を注目する事はまず無いだろう。だから逃げてばっかりではないという印象を持たせつつ、1人からはひたすら逃げる。そうすれば最下位は免れる。フフッ!我ながら中々完璧な分析だ。
そうと決まれば作戦実行だ。あれ?この広いフィールドで何で私が囲まれてるんだろう…あれー?おかしいな?操作に慣れないせいか一気に距離を詰められる。
マズイ…そう思った時には既に私のキャラは悠のキャラの攻撃により宙を舞っていた。
でもまだまだ反撃は可能だ。取り敢えずは態勢を整えて…しかし私の考えとは裏腹に着地する瞬間を楓のキャラに吹き飛ばされた。一気にフィールド外まで飛ばされた。フィールドに戻ろうとするも操作がイマイチ分からない私のキャラは転落して順位に最下位のマークが出た。
「初心者相手にこの人達容赦なさ過ぎでしょ…」
思わず本音が零れる。最下位だけは逃れる作戦が…
「弱いものから倒すのは定石でしょ?秋。」
綾ニヤニヤした様子で言った。綾のキャラも逃げ場無くしてたし、完璧な弱いものイジメだ。まあ私も経験者なら負けたくないからそうしていたかもしれないけどさ。それでも酷い。うぅー思わずその場で落ち込む。
あの後、綾のキャラがすぐに負けて、その後の2人の戦いは凄かった。特に悠はそのぐらい真面目に勉強しろよ!と内心ツッコミをいれるほどだった。
「やった。私の勝ち!」
「クソー最後にミス無ければオレの勝ちだったのに」
戦いは楓の勝ちだ。はっもしかしたら楓なら…
「2人ともやっぱりゲーム上手いなー私なんて全然なのに。あっちょっと休憩するだけのつもりだったのに時間かなり経ってる。速く勉強に戻ろう!速く速く!」
「秋…いくらなんでもそれに引っかかる子は居ないと思うわよ?」
綾の言葉がぐさっと刺さる。それでも嘘付くのは得意じゃないし、つきたく無いし…
「そうだね。勉強しよっか。質問は今度するよ。」
楓が気を遣ってくれたのか笑顔で言ってくれた。助かった。
「じゃあ悠は勉強にさっきのゲームくらいしないとな。」
石田君がいつもの笑顔こそあるが何か少し怖い。悠は少し引きつっていた。ドンマイ。
結局あの後1時間ほど勉強して、勉強会は終わり、皆家に帰りました。
久しぶりにゲームしたい(笑)