言えない気持ち
泣き過ぎて目がパンパンに腫れてしまった。
会社の休憩所でコーヒーを飲みながら鏡を見ていると男の人が映った。
「桜どした?そのひどい顔。」
その声の方を振り返ると、武井直人が立っている。
「ちょっと飲みすぎて・・・」
「何でッ!!何で俺呼んでくれねーの??」
「どーせ来ないくせに。」
「・・・行くし。」
はいはい。出たよいつもの口だけ。
「てか、俺からのプレゼント見た?すごくね??」
「あれはタケちゃんからぢゃなくサンタさんが良い子の
みんなにあげたプレゼントです。」
「はぁ?俺からだし。俺の副業サンタクロースだし。」
「はぃはぃ。サンタはパパのお仕事だもんね。そー言いたいんだね。」
つい、イラついた口調で言ってしまう。
事務所に戻ろうと彼の前を横切ろうとした時
彼が私の腕を掴み耳元でボソりと言った。
「会いに行けなくてごめんな。」
私は何も無かったかの様に彼に笑った。
「いつもの事ぢゃん!別に気にしてないから。」
私はその言葉だけを残してその場を後にした。
笑顔も言葉も全部ウソ。
ずっとあなたからの連絡を待ってた。
あなたのせいでこんな最悪な顔になっちゃった。
あなたが会いに来てくれないから・・・
でもそんな事は言えるわけないよ。
言っちゃいけないもん。
最初からこうなる事がわかってあなたを好きになったんだもん。
あの日あなたに手を差し伸べられた日から・・・