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矛盾
私は言葉を書くのが好きだ。
詩よりも、もっと短い言葉。
何時も持ち歩いている手帳に、とりとめも無くつづっている。
これはいい暇つぶしだ。
授業も聞かずに手帳を開いていると、先生が回って来た。
(やば…。)
さりげなく手帳を閉じて、教科書を引き寄せる。
急激に心拍数が跳ね上がって、首筋に汗が浮かんだ。
(…セーフ。)
溜め息を吐いて、また手帳を開いた。
懲りない私。
結構前、誰かの詩集を読んだ。
意味不明の言葉の羅列。
混沌として、矛盾して。
何だか好きだった。
多分外国人の詩集だと思う。
もう死んじゃった。
小説や詩は、人の目に触れなければ、劣化しない。
けれど、輝くことは無い。
そんなことを考えながら、結構複雑だと思う。
誰かに見られなければ、それは新しい、新鮮なもののままだけど、人に見られなければ評価されることはない。
やっぱり世界は矛盾してる。