憂鬱
今日の授業はつまらないものばかり。
机の下で見えないようにケータイを弄る。
(あ、メール。)
バイブが小さく音を立てた。
チャラチャラとキーホルダーが音を奏でる。
キーンコーンカーンコーン…
間抜けなチャイム。
「きりーつ、礼。」
「ありがとうごさいましたー。」
教科書を用意して、机に座ってぼんやり。
はやく“今日”が終わればいいのに。
(今日はバイト、あるんだ…。)
シフト表のそれにがっかり。
(めんどーだなぁー…。)
お金が入る事だけが救い。
始業のチャイムが鳴っても先生が来ない。
(はぁー…。)
最近の授業は検定対策だけ。
三週連続の実施。
いい迷惑。
やっと先生が来て、プリントを回して行く。
一枚足らない。
(ちっ、)
「せんせー、一枚足りませーん。」
やりたくも無いプリントを催促する。
どうせやらないけど。
六時限目のLHR。
内容は進路について。
私には夢がある。
ドックトレーナー。
だから私は専門学校に行きたい。
お金を貯める為にバイトも始めた。
行きたい学校も決まってる。
本当は中卒で行きたかった。
親がダメって言ったから、私は今ココに居る。
ひとりになりたい。
家族なんて、今は邪魔なだけのただの足枷。