1秒角のずれ
掲載日:2026/10/29
本当にただごくごくわずかなずれだった。
最初は気づかなかった。
ただ歩いている人生という道を、ゆっくりと進んでいるに過ぎなかった。
でも、それがいつしか引き返せないほどの大きな隔たりとなって、峻厳たる現実としてそびえていることに、気づいてしまった。
何が間違えたんだろうか。
何がおかしかったんだろうか。
そういう過去を振り返る後悔ばかりが積みあがって、それが溝を埋めていく。
なにも手遅れになってから、あの時の選択が間違えだったということを理解できた。
でも、もう戻れない。
たった1秒角、それだけの違いだったとしても、もう人生を引き返すことはできない。
だから、俺は光子て今日も生きている。




