『かみさまとぼく』
『 かみさまとぼく 』
むかしむかし あるところに とてもちいさなせかいがありました
そこは かみさまとおとこのこだけの ちいさなちいさなせかいでした
ふたりは そこで なかよくくらしていました
あるひのことです
おとこのこは かみさまにききました
「ねえねえかみさま どうしてこのせかいは こんなにしずかなの?」
かみさまはなにもこたえません
ただただ くびをかしげています
「ねえねえかみさま どうしてこのせかいは こんなにさみしいの?」
かみさまはなにもこたえません
ただただ くびをかしげています
「ねえねえかみさま どうしてこのせかいは こんなにかなしいの?」
かみさまはなにもこたえません
ただただ くびをかしげています
「ねえねえかみさま どうしてこのせかいは かみさまとぼくしかいないの?」
かみさまはなにもこたえません
ただただ くびをかしげています
おとこのこはかみさまにききつづけました
「ねえねえ かみさま」
「ねえねえ かみさま」
「ねえねえ かみさま」
とうとうきくこともなくなってきたおとこのこは さいごにかみさまにききました
「ねえねえ かみさま どうしてかみさまは ぼくになにもいってくれないの?」
かみさまは ただただ くびをかしげつづけました
それからしばらくあとのことです
かみさまとおとこのこしかいなかったせかいに おきゃくさまがやってきました
どうやら このちいさなせかいに まよいこんでしまったようです
おとこのこは おきゃくさまを かんげいしました
かみさまも にこにことわらっていました
おきゃくさまはおとこのこにききました
「きみ ひとりでさみしくなかったの?」
「ひとり? ひとりじゃないよ かみさまもいっしょだよ」
おとこのこのことばに おきゃくさまはくびをかしげました
「かみさまも いっしょ? どこにいるの?」
「ここだよ?」
おとこのこは ふしぎそうにくびをかしげているかみさまを ゆびさしました
おきゃくさまはますますくびをかしげました
「そこにいるのはきみでしょう?」
きょとんとしたかおのおとこのことかみさまが そこにいました