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第十章3 【覇王杯/オーバーロード・カップ/余談】3/唯野 芳一とはこういう男

 しばらく出番のない主人公【唯野 芳一】について少し語ろうとおもう。

 彼は変わった思考の持ち主である。

 人とは違った発想をする男である。

 どう違うか?

 では究極の二択で彼に質問をしてみよう。

 あるところに自分の大切な妻と子供が居た。

 所が、妻と自分の子供が事故に遭い、今にも崖から落ちそうだが、別々の場所で同時に2人は助けられない。

 さて、あなたはどちらを助ける?

 A、妻を助ける。

 B、子供を助ける。

 この2択以外は認めない。

 さぁ、どちらを助ける?

 という質問が合ったとする。

 第三の選択肢が無い。

 その状況下で彼が下す選択は、【その究極の二択を無かった事にする】である。

 【芳一】は、問題の範囲の外側に干渉して正しい答えを持ってこようとする。

 無理の無い範囲で正しい選択をするのであれば、この二択自体を無かった事にしてしまえば、良いのである。

 二択の選択以外で変更出来るのは、この二択の質問自体である。

 この質問自体を聞かなければ、二択を選択する必要は無い。

 質問者が二者択一以外を認めないと言うのであれば、この質問自体を【芳一】が認めなければ二択をする必要すらない。

 そうやって、答えの無い所から答えを作り出す力が彼にはあるのだ。

 コロンブスの卵。

 答えを知ってしまえばどうという事はない。

 だが、その答えを導き出す事が出来るという力は凡人には無理な芸当だ。

 【芳一】は凡人が逆立ちしても出来ないその力を持っている。

 だから、彼は普通に行動しても注目される。

 力ある者は知っている。

 彼が特別であるという事を。

 唯一無二の答えを作り出す力。

 何もない所から答えを作り出してしまう力。

 それを彼は持っている。

 それがあるから力ある存在は彼を恐れる。

 彼の恐ろしさを知ることが出来るというのもそれもまた才能である。

 多くの凡人達は【芳一】の持っているその力の片鱗さえ気付かない。

 【芳一】の才能の凄さを気付くというのもまた才能である。

 その才能を持つ者が恐れる力を持っている【芳一】という男はそれに輪をかけて凄いという事である。

 【芳一】を恐れる者はそれに絶望し、それを乗り越える事で更に上を行く。

 だが、【芳一】はその先をどんどん行っている。

 そこでまた新たな絶望が才能ある者達に降りかかる。

 それを乗り越えまた更に上へ。

 そうやって切磋琢磨していく。

 高みを目指していく。

 それを知らない多くの凡人達は努力する天才達に置いて行かれる。

 他者の凄さを知るという事。

 それもまた大事な才能である。

 【芳一】はその先に居る男である。

 彼が友人との食事会で【全て以外】という屁理屈にも似た考えに至る思考について以下の様に語っている。

「どうして、こういう考えが浮かぶかって言われてもなぁ・・・

 僕はね、何となくなんだけど、表現出来ない曖昧で形を為してないものが見えるんだよね。

 口では説明出来ないものがほとんどで、それを表現出来ないのが僕にはもどかしいんだよね。

 多分、現実にあるものよりずっと多く存在している【それら】をさ、僕は何とか形にしたくて名前とか形として代用出来るものを探すんだよ。

 当然、そのほとんどが答えが出ないんだけどね、たまぁ~に、言葉とかで表現出来ちゃうものがあるんだよね。

 それは、表現出来ないもの全体からしたらかなり下の方のものに過ぎないんだけど、それでも何とか形に出来るものが多少だけどあるんだよ。

 僕はそれを表現しているだけだよ。

 だから僕の様に他の人がなるのは100パーセント無理だと思うよ。

 理由は、僕が何となく見えている視点が他の人は全く持っていないからだよ。

 何となくでも見えないとそこから答えは引き出せない。

 素養が無いのはどうしようもない。

 自分から【気付く】力がないとどうにもならない。

 今更、鍛えてどうにかなるものでもないしね。

 だから、他の人には無理だと思うよ。

 他の人達は自らこの視点を放棄して居るんだよ。

 僕はこの視点を求めて長い人生をかけてようやく手に入れた。

 ただ、それだけだよ」

 と言って、友人にどん引きされていた。

 【芳一】はそれ以前まで全く存在していなかった新しい【概念】を作り出す力と才能を持っている。

 それを一般人に理解しろというのは難しい問題なのかも知れない。

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