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第098話 完璧!


 そのまま進んでいくと、1時間は余裕で超え、メーター的には55キロ以上は進んでいた。


「そろそろだと思うんですけど、やっぱり何も見えませんね」

「ジュリア、ちょっと止まってくれ」

「はい」


 ジュリアさんが車を止め、灯りを消す。

 すると、サクヤ様が外に出て、前方をじーっと見始めた。

 これを5分ごとにやっている。


「星が綺麗だねー」

「ホントですよね」


 サクヤ様を尻目に俺とジュリアさんは星空を眺めている。

 これも何度目かになる。


「あれがアルタイルだよ」

「ふふっ、絶対に違いますね」


 異世界だもんね。


「うーむ……」

「どうですかー?」


 前方を見ながら唸っているサクヤ様に聞く。


「なんかあるような気がするな。でも、まだちょっと遠いと思う。ジュリア、あと5分だけ進め。あとは明日にでも我らが歩こう」


 起こして騒がすのも悪いし、そうするか。


「わかりました。では、もう少しだけ進みます」


 俺達が車に乗り込むと、5分だけ進み、停車した。


「こんなところじゃの。帰るぞ」

「ええ。明日はお願いしますね」


 俺達はここまでにし、転移で倉庫に帰ると、車を置き、ジュリアさんの部屋に戻る。


「じゃあ、明日の夜にまた進もう」

「はい。おやすみなさい」

「おやすみー」

「おやすみなのじゃ」


 俺とサクヤ様は家に戻ると、お風呂に入り、ちょっとだけゲームをしてから就寝した。


 翌日、朝早くに起き、上司に体調不良で休む旨を伝えると、そのままぱたんと倒れ、睡魔に逆らわずに二度寝する。

 そして、何かのBGMで目が覚めたので上半身を起こすと、俺の中で美しいと評判のノルン様がゲームをしていた。


「あんた、ようやく起きたの? もう10時よ?」


 俺の中で可愛いと評判のタマヒメ様がテーブルに頬づえをつきながらジト目で見ている。


「おはようございます……昨日、ちょっと夜更かしをしましてね。サクヤ様ー、起きてください」


 同じく夜更かしをし、まだ寝ているウチの神様を揺すり起こす。


「はいはい……起きればいいんじゃろ、起きれば」


 サクヤ様が渋々起き出した。


「岩見は堕落してるわねー」

「関係ないわい」


 うん、誰だって二度寝はする。


「サクヤ様、午後からでいいです?」

「そうじゃの。昼食を食べてから行こうぞ」


 俺達は午前中はゆっくりし、とんでもない手の動きをしているノルン様のゲームを眺めながら過ごした。

 そして、昼食のうどんを食べると、異世界の服に着替え、昨日進んだところに転移する。


「あれじゃな」

「ちょっと距離がありますね」


 前方には砦が見えているが、1キロ以上は離れてそうだ。


「これ以上はのう……まあ、健康のために歩こうじゃないか」

「それもそうですね」


 俺達は前方に見える砦を目指して歩いていく。

 そして、1時間くらい歩くと、砦の前にやってきた。

 俺達以外には通行人がいないようでいっぱいいる兵士達がずっと俺達を見ている。


「なんか怖いですね」

「安心せい。全員おぬし以下じゃ。ドラゴンスレイヤーなんじゃから堂々と行け」


 まあ、通行証があるし、ギルドカードもあるしね。


 俺達が砦に近づくと、1人の兵士が前に出てきた。


「水の国へ行くのか?」


 兵士が聞いてくる。


「ええ。王都から来ました。配達の仕事と観光ですね。あ、これが通行証です」

「ほう。通行証があるのか……」


 通行証を渡すと、兵士がじっくりと読みだす。


「カーティスさんからもらいました」

「カーティス様か……魔法ギルドに所属しているのか?」

「ええ。一緒に仕事したりしてます」

「なるほど。問題はないようだし、通っていいぞ」


 やっぱりあっさりだ。

 さすがは通行証。


「ありがとうございます」

「しかし、君らは歩きか? 普通は寄り合い馬車なんかを使うんだが……」

「歩くのが好きなんですよ」


 大嘘。


「物好きだな。まあ、気を付けてくれ」

「では、行ってきます」


 俺達は兵士に軽く頭を下げ、砦を抜けた。

 そして、砦を抜けてもある程度の距離を稼ぐためにそのまま歩く。


「問題なかったですね」

「じゃの。昨日の車のライトも特に問題になっているわけではなさそうじゃった」


 やっぱりハイビームがダメなんだな。


「さっさと離れて帰りますか」

「そうじゃのう。今日明日で着くか?」

「多分、明日ですね」


 頑張れば今日でも着くだろうが、今週はまだ時間があるし、急ぐことでもないだろう。


「ふむ。なら週末は問題なく行けそうじゃのう」

「ですね」


 俺達はその後も歩き続け、砦が小さくなるくらいまで歩き、振り向く。


「こんなもんじゃな」

「これだけ離れていたら大丈夫でしょうね。帰りましょう」


 俺達は転移で家に帰る。

 すると、やはりノルン様がゲームをしておられた。


「ノルン様、ちょっとよろしいですか」


 床に座ると、ノルン様に声をかける。


「何でしょう?」


 ノルン様はこちらを一切見ないが、ゲームをしておられる時のノルン様の標準スタイルなので気にしない。


「水の国は海産物が有名と聞きましたが、俺達の身体で大丈夫です? やばい寄生虫とか毒魚とかいません?」

「いますよ。こちらの世界だってアニサキスやフグがいるでしょう?」


 いるね。


「死んじゃいませんよね?」

「ワクチンを打ったから問題ありません。火の国で高山病にだってならなかったでしょう?」


 確かにまったくならなかった。


「大丈夫なら良かったです。サクヤ様やタマヒメ様は神様なので大丈夫でしょうが、俺やジュリアさんは普通に死んじゃうんで」

「安心なさい。私が与える加護は完璧なのです」


 さすがはノルン様。

 マニュアルにノルン様と同じような完璧さって書いてあるんだろうな。


「あのー、それってこっちの世界でも効くんです?」

「当然です。試しにフグでも食べてみるといいですよ」

「それはさすがに遠慮しておきます……」


 怖いっす……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ノルン様凄い
と言うことは美味しいけどヤバい毒キノコもいけるのか( ´ ▽ ` ) 素人キノコ狩りも安心はでかい!(かも
お、こっちでも有効なんだ いいなー
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