表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/185

第094話 久しぶりの王都


 俺達はカラオケを楽しんだ後、タクシーで家に帰る。

 すると、ノルン様はおられなかったが、タマヒメ様が1人でテレビを見ていた。


「あ、おかえり……」


 タマヒメ様が振り向いて、声をかけてくる。


「ただいま帰りました。ノルン様は?」

「あんたらがそろそろ帰ってくるだろうってことで帰った」


 あの人ってどこに帰っているんだろう?


「そうですか。だし巻き、美味しかったです?」

「ええ。良い店ね。ジュリア、居酒屋とカラオケは楽しかった?」


 タマヒメ様がジュリアさんに聞く。


「ええ。すごく楽しかったです」

「そう……なら良かったわ」

「はい。それでタマヒメ様、遅い時間になりましたが、あちら世界の別荘に泊まろうということになりましたので一緒に行きませんか?」


 帰る時にそういう話をしたのだ。

 どうせ明日はフロック王国とはいえ、異世界だし。


「あー……そうね。お風呂にも入りたいし、そうしよっか」

「そうしましょう。それですみませんが、一度、私の家に送ってくれないでしょうか? 着替えや準備がありますので」

「それもそうね。わかったわ。飛ぶわね」


 タマヒメ様がそう言うと、一瞬で2人の姿が消える。


「転移は本当に便利だなー……」

「まあの。我らも準備をするぞ」

「ですね」


 自分とサクヤ様の着替えを用意していく。


「我、思うんじゃが、人は点数をつけるべきではなく、どれだけ自分が満足したかだと思うんじゃよ」


 76点がまだ言ってる……


「そうっすね。ジュリアさんも楽しそうでしたし、それで良かったと思います」


 ジュリアさんは79点だった。

 俺は77点。

 うん、まあ、3人共、その程度だったのだ。


「うむうむ。まったくもってその通りじゃ」


 サクヤ様が頷くと、準備を終えたので別荘に飛んだ。

 そのまましばらく待つと、ジュリアさんとタマヒメ様がやってくる。

 そして、順番に風呂に入っていき、この日は就寝した。


 翌日、いつものように朝風呂に入り、朝御飯を食べると、こっちの世界の服に着替える。

 俺とサクヤ様が下の脱衣所で着替え終え、上に上がると、タマヒメ様が和服姿のままでソファーに座っていた。


「タマヒメ様は行かれません?」

「行かない。私はここで漫画を読んでるから」


 本当に外に出ない人なんだな。


「多分、ノルンから招集を受けるんじゃないか?」

「そうかもね。まあ、そういうわけであんたらで行きなさい。水の国とやらに着いて、安全そうなら声をかけてちょうだい」


 タマヒメ様がソファーに寝転がって漫画を読み始めた。


「こやつは冒険の素晴らしさがわからんらしいな。RPGでもやらせるか?」


 うーん、携帯ゲーム機でも貸そうかな……


「お待たせしました……って、どうしました?」


 着替え終えたジュリアさんが寝室から出てくる。


「タマヒメ様は行かれないんだって」

「あー……まあ、今日はカーティスさんのところとギルドですからね」


 人見知りはダメか。


「そういうことじゃ。では、行くかの」

「そうですね」

「行きましょう」


 俺達はサクヤ様の転移でちょっと懐かしい王都にやってくる。

 建物と建物の間の小道から大通りに出ると、相変わらずの人の多さだった。


「やっぱり朝から賑わってますね」

「さすがは王都じゃの。今日は久しぶりに青船亭の魚介の煮込みパスタにするか」

「良いですねー」


 超人気だったが、さすがに1ヶ月くらい経っているし、落ち着いているだろう。


「そうしましょうか。じゃあ、まずはカーティスさんのところですね」


 俺達はカーティスさんの研究室を目指して歩いていく。


「おるかのー?」

「さあ? いなかったら本邸の方に行ってみますか」


 俺達が久しぶりの王都の町並みを眺めながら歩いていくと、カーティスさんの研究室に到着した。


「カーティスさーん」


 玄関の扉をドンドンと叩き、声をかける。

 すると、中から音がした。


「おるの」

「みたいですね」


 俺達が頷くと、扉が開き、カーティスさんが顔を出す。


「おー! ハルトか! 帰ってきたのか」

「ええ。火の国は良かったですよー」

「そうか、そうか。まあ、入ってくれ」


 俺達は相変わらず、本の多い研究室に入ると、テーブルにつく。

 カーティスさんもまた対面に座った。


「で? 火の国はどうだった?」

「すごかったですねー。眺めも良いし、見るものすべてが新鮮でしたよ。食事も美味しかったですし、温泉も良かったです」

「それは良かった。あそこは季節で色が変わるからまた行くと良い」


 というか、別荘をもらったからしょっちゅう行く予定。


「そういえば、ワイバーンを狩りましたよ」

「ほう! それはすごいな! ドラゴンスレイヤーなら当然だと思うが、狙った狩りは難しいだろう」

「魔法ギルドに専門の人がいたんですよ。手伝ってもらいました」

「専門というと、ハワードか?」


 知っているらしい。

 まあ、この人は顔が広そうだしな。


「ですね。縦にも横にも大きい怖い顔をしたマッチョマンです」

「そいつだ。嫁や娘には会ったか?」

「冒険者ギルドの方にいた娘さんに会いましたよ。全然似てませんでした」


 見た目も雰囲気もしゃべり方も。


「嫁さんを見ると、びっくりするぞ。犯罪臭がすごい」


 まあ、シンディーさんと歩いてても犯罪臭がすると思うが……


「へー……」

「そういうネタになってる男だな。ただ実力は本物だ。引退しているはずだが、運が良かったな」


 担いで持って帰ってくれたしね。


「巫女さんの祈りの護衛で一緒だったんですよ」

「ほう……それは良かったな。あー、そうだ。ワイバーンで思い出したが、ドラゴンの素材の売却が終わったぞ」


 おー!

 金だ!


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

【次にくるライトノベル大賞2025 エントリー】
https://x.gd/OSPb9
― 新着の感想 ―
犯罪臭のする奥さんっていったい…?
一点だけで……なんかどこかのジークみたいな煽り方はマズイような気もしますが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ