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第092話 華金


 午後からの仕事を終えたので定時で帰る。

 ちょっと混んでいたが、20分程度で家に戻ると、女神様3人衆が部屋で思い思いに過ごしていた。


「ただいま帰りました」


 挨拶をし、部屋に上がる。


「おー、おかえり」

「おかえり……」

「お勤め、ご苦労様です」


 3人の神様に迎えられる俺はものすごい大物なのかもしれない。


「サクヤ様、今晩ですけど、ジュリアさんが居酒屋に行きたいそうですので行きませんか?」

「んー? 居酒屋? 飲みたいのか?」

「それよりも雰囲気を味わいたいって感じでしたね。会社の飲み会は半分仕事ですし」


 楽しくはあるんだが……ちょっとね。


「そういうことか。良いんじゃないか?」

「その後、カラオケも行こうっていうことになりました」

「前に言っておったやつじゃな。2人共、1週間頑張ったわけじゃし、飲み食いして歌い、ストレスを発散すると良い。それに我の美声を聞かせてやろう」


 70点ね。


「タマヒメ様――」

「行かない」


 まだ何も言ってないのに即答……


「行かないんです?」

「私はノルンとゲームをする約束をしてるの」


 いや、まだするの?

 絶対に今日も朝からずっとやってるでしょ。


「歌に自信がないんじゃな」

「何とでも言いなさい」


 ないんだ……


「ノルン様もゲームです?」

「ええ。3人でどうぞ」


 まあ、ノルン様は来ないだろうなとは思ってた。


「わかりました。じゃあ、ゲームを楽しんでください。サクヤ様、外出用のお着替えをお願いします」

「ほいほい」


 サクヤ様がタンスの方に行ったのでスマホを取り出し、ジュリアさんに電話する。

 すると、数コールで呼び出し音がやんだ。


「あ、もしもし? 今、電話大丈夫?」

『はい。ちょうど帰ったところです』


 ジュリアさんもか。


「サクヤ様が行くって言ってるから3人で行こうか」

『タマヒメ様は?』

「ノルン様とゲームをする約束があるんだって」

『あ、そうですか。では、3人で……どうしましょう? タクシーで行きます?』


 飲むのだからそうなるな。


「だね。サクヤ様と転移でそっちに行くから一緒に行こう」

『そうしましょう。では、タクシーを呼んでおきますのでいつでも来てください』

「ありがとー。すぐに行くね」


 電話を切ると、サクヤ様が和服ではない現代の服を着ていた。

 どこか大人っぽいが、とても可愛らしい。

 さすがは我らコンプライアンスかかってこい教の神である。


「ジュリアは?」

「家でタクシーを呼んで待っているそうです。行きましょう」

「うむ。タマちゃん、タコ唐を送ってやるからの」


 タコの唐揚げを送るなんて優しいなー。


「だし巻きにして」


 卵が好きだなー……


「ノルン様は何かあります?」

「軟骨の唐揚げ」


 ノルン様は大人だなー。


「わかりました。サクヤ様、参りましょう」

「うむ」


 俺達は玄関で靴を持ち、ジュリアさんの部屋に転移する。

 すると、制服姿のジュリアさんが座って待っていた。


「お、ジュリア、仕事服か?」

「ええ。制服ですね」

「ええの。できるOLって感じじゃ。ハルトもそう思うじゃろ?」

「髪を上げているのが良いですね」


 可愛いし、できる女って感じ。


「サクヤ様も可愛らしいですし、お美しいと思います」


 ちょっと頬を染めたジュリアさんがサクヤ様を褒める。


「外着じゃな。和服は目立つからの」


 タマヒメ様、中華料理屋で和服だったなー……


「大変お似合いです」

「まあ、我はよい。それよりもタクシーは呼んだか?」

「はい。20分くらいで来るそうなのでちょっと待ちましょう」


 俺達がそのまま待っていると、タクシーが来たので駅に向かってもらう。

 そして、駅に着くと、タクシーから降りた。


「どこの店に行くんじゃ?」


 サクヤ様が聞いてくる。


「ジュリアさん、行きたいところとかある? 特にないなら俺が仕事中にこっそり探した店に行こうかと思っているけど」


 社長、それくらいは許してくれ。

 去年の忘年会でふぐの白子をあげたでしょ。


「特にありませんのでお願いします」

「じゃあ、こっち」


 探しておいた店に向かって歩いていく。


「我は焼肉か焼き鳥が良いのう」

「趣旨が変わるじゃないですか」


 それはまた別ジャンルだ。


「また焼肉か焼き鳥にも行きたいですね」


 ジュリアさんが笑う。


「そうだね。あそこの店だよ」


 指差した先には厳選に厳選を重ねた居酒屋がある。

 あそこは居酒屋の雰囲気もありつつ、メニューも豊富な店だ。

 そして何より、綺麗好きなジュリアさんのことを考えて、清潔感のある女性にも人気な店を選んだ。


「まあ、ええ感じじゃの」

「良いと思います」

「じゃあ、行こうか」


 俺達は店の中に入り、店員に敷居で区切られたボックス席に通されたので俺、ジュリアさんが並んで座り、対面にサクヤ様が座る。


「お飲み物はどうされますか?」


 店員が先に飲み物を聞いてくる。


「我は生」

「えーっと、最初は生なんですかね?」


 ジュリアさんが聞いてくる。


「会社の飲み会は人数がいるし、早く飲みたいからっていうことでそういう風習があるだけだよ。今日はプライベートだし、好きなものを頼んでいいよ。俺もレモンサワーにするし」

「そうなんですね。じゃあ、グレープフルーツサワーで」

「生とレモンサワーとグレープフルーツサワーをお願いします」

「はい、少々お待ちをー」


 店員さんが去っていく。


「あの、ガ〇ガ〇君サワーってありますけど……」


 あー、それね。


「そのまんまだよ。ガ〇ガ〇君が突っ込んである」

「す、すごいですね」


 ネタ感はすごいが、まあ、美味しいんじゃないかね?


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
制服で出勤って言うのは、車通勤のあるあるだけど、流石に居酒屋行く時は私服に着替えるのではないかしら?しかも家に一度帰ってるのに
サクヤ様がとりあえず生なのかかってこいコンプライアンスって感じがしますね
ガリガリ君サワー結構どこでもあるからネタにならない件 夏場はフツーに頼む感じになってる
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