表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/185

第082話 やはり筋肉だ


 翌朝、前にも見た同じ布団で寝るサクヤ様とタマヒメ様を見て、絶対にあの1話だけで寝てないなと思いつつ、2人を起こす。

 そして、3人で朝食のパンを食べると、準備をした。


「前から気になってたけど、あんたら、なんで着替えてるの? しかも、なんかコスプレみたい」

「異世界はこんな感じなんですよ。こっちの服で行ったらめっちゃ見られました」


 多分、この服でこっちの世界をうろつく感じだと思う。


「へー……だからジュリアもそんな感じなんだ。まあ、似合ってるんじゃないの?」

「タマヒメ様もノルン様にいただいたらどうです?」

「行かないってば」


 タマヒメ様がふるふると首を横に振る。

 なんか可愛い。


「タマちゃんは魔法使いっぽい格好が似合うと思うな」

「えー、絶対に白魔導士ですよ」

「そうかー?」


 癒し系だもん。


「だから行かないし、服もいらないってば」


 タマヒメ様がまたもやふるふると首を横に振る。

 やっぱり可愛い。


「まあよいか。ハルト、ジュリアのところに行こう」

「ええ。いつでも来ていいってメールが来てます」

「よし」


 サクヤ様が頷くと、ジュリアさんの家に飛ぶ。

 すると、ジュリアさんもあっちの服に着替え終えており、座って待っていた。

 ただ、リュックサックを背負っている。


「おはようございます」


 ジュリアさんが微笑みながら挨拶をしてきた。


「おはよー。そのリュックはどうしたの?」

「今日はサラさんと修験道に行きますからお弁当です。昼にサラさんを置いて帰るわけにも行きませんし、連れてくるのも良くないと思いますので」


 なるほど。


「あ、じゃあ、リュックは俺が持つよ」

「よい。我が背負おう」


 おや? 珍しい。


「大丈夫です?」

「中身は弁当じゃろ? 問題ない。それにおぬしらは戦闘もあるし、弁当がぐちゃぐちゃになる。嫌じゃい」


 まあ、確かにね。

 ジュリアさんの弁当は見た目も綺麗だし。


「いけます?」

「任せろ、任せろ。我に秘策があるのじゃ」


 サクヤ様はジュリアさんからリュックを受け取ると、弁当を取り出し、テーブルに置く。

 そして、空になったリュックを背負った。


「あー、サクヤ様、〇次元ポケットならぬ転移が使えますもんね」


 さすがはサクえもん。


「そういうことじゃ。よし、準備はええか?」

「はい。いつでも行けます」

「私も大丈夫です」


 俺とジュリアさんが頷く。


「では、行こう」


 またもや視界が変わると、眺めが良く、部屋の隅で赤い結晶が輝く聖都の別荘に飛んできた。


「今日はここに泊まりませんか?」


 ジュリアさんが提案してくる。


「そうじゃの。あのキョロ神を連れてくるか」


 タマヒメ様ね。


「良いと思いますよ。ジュリアさん、タマヒメ様って辛いのを食べられるの?」

「大丈夫だと思います」

「じゃあ、問題ないね」


 マグマ亭で決定。


「ハルト、ワイバーンを狩るんじゃぞ」

「できたらやります」

「おぬしはできる子じゃ。よし、行くぞ」


 俺達は別荘を出ると、駅に向かい、教区行きのトロッコに乗り込む。

 そして、車窓から覗く景色を楽しみながら揺られ、教区にやってきた。


「暑くなってきましたが、この辺は涼しくて良いですね」

「うむ。絶好のハイキング日和じゃの」

「そうですね。あの……」


 ジュリアさんがおそるおそるこちらを振り向く。

 理由はわかっている。

 神殿の入口付近にごついおっさんが立っているのだ。


「例のあれですかね?」

「まあ、プロフェッショナルじゃしの」

「い、行ってみましょうか」


 俺達はそーっと神殿に近づき、じーっと見てくるマッチョマンに気付かないフリをしながら扉を開けた。


「あ、おはようございます」


 神殿の中にはサラさんがおり、こちらにやってくる。


「おはようございます」

「おはようございます」

「おはよー、なのじゃ」


 俺達も挨拶を返した。


「すみません。まだもう御一方が来てなくて……」

「あ、いや、ここに……」


 外を覗くと、魔法ギルドのハワードさんがいる。


「あれ? ハワードさん、外で待ってたんですか?」


 サラさんも外を覗き、ハワードさんに声をかけた。


「こいつらを待っていたんだ。無視されたが……」

「怖いんですよー」


 縦にも横にでかすぎ。


「あー、ちょっと怖いかもしれませんね。昔から知っている人なのであまり意識はしていませんでした」

「知ってるの?」


 まあ、同じ町だが……


「冒険者ギルドのシンディーのお父さんですよ。シンディーとは同級生なんです」


 あ、それでか。


「へー……」


 まあ、心強いと思うか。

 この人、歴戦の戦士だし……あ、いや、魔法使いか。


「ハワードさん、今日はよろしくお願いします」


 サラさんが笑顔で頭を下げた。


「ああ……俺は基本、サラの護衛をする。お前達はお前達で動くといい。邪魔はせん」


 ん?


「邪魔というのは?」

「魔物の所有権は魔物を倒した者のものだ。魔石もそうだし、ワイバーンを狩るんだろ? 狩り方は教えるから自分達でやるといい。俺はいらないからな」


 そういやドラゴン狩りを共にした騎士のロバートさんもそんなことを言ってたわ。


「いいんですか?」

「こういう護衛や初心者共の指導なんかはやっているが、基本的に俺はもう引退した身だ。質問があれば答えるし、ピンチがあれば助ける。そうでなければお前達でやれ。まあ、ドラゴンスレイヤーがワイバーンでピンチになるとは思わんがな」


 多分、あのファイアードラゴンは弱いと思う。


「わかりました。それではサラさんをお願いします。正直、護衛の仕事をしたことがないので不安だったんで」

「任せておけ」


 ハワードさんが力強く頷いた。

 怖いけど、その分、とても頼りになる人だ。


「では、役割分担が決まったところで早速、参りましょうか。修験道への入口はこちらになります」


 サラさんがそう言って、神殿の奥に行ったので俺達もついていくことにした。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~
週末のんびり異世界冒険譚 2 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

【次にくるライトノベル大賞2025 エントリー】
https://x.gd/OSPb9
― 新着の感想 ―
あのファイヤードラゴンは弱い(当社比)とかとんでもない男だ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ